第39回 Perennial と Millennium(ペレニアルとミレニアムって親戚!?)
「港の方に洒落たレストランがオープンしたんだけど、行ってみません?」 「洒落たレストランって、どうシャレてるの?」 「オープンテラスがあって、とてつもなく大きな鏡が掛かっているらしいんです。」 「ふ~ん。とてつもなく大きい鏡っていうのがおもしろそうだね。」 5月末の日曜日に、ブレスに誘われて行ったのは、小さな公園の横にあるシンプルだけど、落ち着きのあるレストランだった。入り口の横に並ぶウッドデッキのオープンテラスがまず目を引く。 ベビーカーの中の赤ちゃんをあやしながら食事を楽しんでいる外国人夫妻がいた。なるほど、オープンテラスがあると子供連れの夫婦でも他のお客さんに気を遣わずに済むわけだ。 一つテーブルを置いた隣には、中年の女性が読書を楽しんでいる。すぐ横では、連れのゴールデンレトリーバーがおとなしくドッグフードを食べている。オープンテラスっていうのは、オシャレなだけかと思っていたが、こんな利用法もあるんだと感心させられた。 次に、左側のガラス張りのサニーテラスに目をやると、たしかに『とてつもなく大きな鏡』があった。それは確かにただの鏡なんだけれど、魂を吸い取られてしまいそうな感覚があり、その存在感の大きさにしばし圧倒された。 「センセ、ここの"Diet books have been perennial best sellers."って文なんですけど、"perennial"って、どういう意味ですか?」 オーダーしたドライカレーを待っている間に、質問があると言う。毎日聞いているテキストの中の、ある英文を指で示しながらブレスが尋ねる。 「それは、『長年続く』、『四季を通じての』という意味だよ。」 「『ぺレニアル』が、なんでそういう意味になるのかなあ。この単語のどこが『長年』とか、『四季を通じて』という意味と関係するんですか。ほんと、覚えにく~い。」 「一見あまりなじみのない単語のように見えるけど、実はよく知られている『ある単語』の仲間なんだ。 「えーっ、なんという単語の仲間なんですか?」 「ブレスは、"millennium"って知っているだろ。」 「はい。あの『ミレニアム』ですよね。」 「そのとおり。"millennium"は、"mill"と"ennium"に分かれるんだ。 "mill"は"thousand"を意味し、 "ennium"はラテン語の"annus"からきていて『年』を表すというわけ。 そのふたつが組み合わされると"thousand years"となって、『千年間』『千年紀』という意味になる。この"millennium"の形容詞形が"millennial"で・・・」 その先を言おうとすると、遮るようにブレスが、 「ということは、"perennial"というのは、"per"と"ennial"に分かれるんですか。」 「さすが、飲み込みが速い。 "per"は"through"、"ennial"は『年間の』だから、『年間をつうじて』『長年にわたる』という意味になるわけ。」 「ふ~ん。ということは、『100年の』を表す"centennial"も同じように考えればいいんですよね。」 「ピンポーン。その他にも、"annual"や『二年生植物』を意味する"biennial"も同じ仲間なんだ。」 「単語の成り立ちがわかるとずいぶん楽に単語を覚えられるんですね。なんだか得しちゃったって感じ。」 「そう。こうやって覚えると、効率的にボキャビルできるってわけ。」 (英語の単語は、日本語の『偏』や『旁』と同じ要素を有しており、『接頭辞+語根+接尾辞』から成り立っています。したがって、語根を中心に意味を覚え、接頭辞で意味の方向づけ、接尾辞で品詞を判断することに慣れれば、単語を覚えることが楽しくなります。 例えば、『"fort"が"strong"を意味する。』と覚えてください。そして、接頭辞の"com, un, en, re, ef"や接尾辞の"ress, tude, able, less"が表す『意味の方向性や品詞』を加味します。そうすれば、"force","fortress","fortitude","comfort","uncomfortable","enforce","reinforce","effort","effortless" といった単語の意味が容易に類推できます。 force =強いこと →力、兵力、強いる fortress =強い場所 →要塞都市 fortitude=強い状態 →不屈の精神 comfort =共に心を強くする→慰める enforce =~の中に力を加える→実施する reinforce=再び強くする →強化する、補強する) 参考文献:語根中心英単語辞典(大修館書店) |