第30回                  Background Knowledge 

  いきなり、ダイアローグを聞かせた。旅行代理店である夫婦が店員と休暇旅行の計画について相談している場面。英語自体はそれほどむつかしくないが、日本人にとっては聞き慣れない単語や表現が次々に出てくる。おそらくアメリカ人なら小学生でも知っているのだろうが、日本人には最も苦手な分野だ。リスニングが弱いという人は案外こういった知識が欠けているのかも知れない。
 例を挙げると、Amtrak(全国鉄道旅客公社), a side trip, tow-nation vacation, Pullman sleeping car bunks(プルマン特別客車), roomettes(寝台車の個室), compartments, scenic observation car(展望車), live with that(我慢できる), itinerary, junior suitesなど。
 Amtrack・・・American Travel and Trackの略で、アメリカの旅客鉄道名
 Pullman ・・・プルマンによって設計された特別客車。現在では、「贅沢な客車」の意味の普通名詞でも通用する。
 この他、地名も日本人には厄介な代物だ。
Chicago, Los Angeles, Seattle, Salt Lake City, San Francisco, Victoria, Vancouver, …。
 比較的なじみのある地名もあるが、中には地理のはっきりしない場所もある。レッスンで取り上げたダイアローグでは、客から「ビクトリアとバンク―バとの間にあるいくつかの島も訪れたい」との要望が出されるが、この二つの地名がシアトルのすぐ北にある、カナダの地名だと知らなければ、この部分に関する設問はとてもむつかしいものになってしまう。裏を返せば、アメリカの歴史、地理、文化について常識程度の知識を身につけておけば、英語を読んだり、聞いたりする際に大きな助けとなるということだ。

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