第27回                  Eiken 1st Grade

 「やっぱり、英検準1級ダメでした。不合格Bで、まだまだって感じ。また、来年がんばります。」
 ヒカリは今年大学生になったばかりで、やはり力不足は否めなかったのだろう。
 「んで、センセイの方はどうだったの、1級は?」心配しているというより、おもしろがっている風だ。
 「さっき、合格通知がきてた。」
 「え〜、1級合格したんですか?すごい、やっぱ準1級もってなくても合格できるんだ。」妙なことに感心している。
 「その『準1級持ってなくても』っていう冠つけるのもうそろそろやめてもらえないかなあ。」
 「いいでしょ、ホントなんだから。1級の上ってもうないんですか。」
 「日本酒じゃないんだから、特級というのはないんじゃない。」

 ヒカリには、これから1年以内に現在行っている指導法で総合的な英語力を身につけるという形で、英検準1級かTOEICのレベルA(730)をクリアできる力をつけさせてやりたいと思っている。
 「センセイ、英検やTOEIC対策としてどんなことすればいいんでしょうか?」
 「まずは、自分の弱点を知ること。例えば、文法・語法が弱いのなら、大学受験で使っていたテキストをおさらいすればいい。準1級やTOEIC730くらいまでなら桐原の『頻出英文法・語法問題1000』の基本と標準を押さえておけばいいんじゃない。」
 「語彙は?」
 「自分が持っている大学入試レベルの単語帳を何でもいいから、もう一度おさらいする。あとは、英文を読んだり、聞いたりする過程で覚えるようにする。ヒカリの苦手なニュースやビジネスの語彙は、今やっているレッスンで増えると思うよ。」
 「長文読解は?」
 「TOEICと英検じゃあ傾向が違うからひとことでは言えないんだけど、TOEICの方はそれほどむつかしい英文は出題されない。日常生活からビジネスに至るまでアメリカで生活すれば日常的に目にする実用性の高い英文が出題される。例えば、商品の宣伝広告文や求人広告、ビジネスレターやファクス、電話の伝言メモ、結婚や転居の通知、学校の履修科目の情報、ニュースや書籍の批評、時刻表、為替レートなんかがあるな。」
 「うわーっ、大変。」
 「と思うだろうけど、実際はそうでもないんだ。英文自体は簡単だから、過去問でこういった英文に慣れておけば大丈夫。ただ、TOEICは反射神経の良さが求められる要素が大いにあるから、スキミングやスキャニングといった読解方法を身につけておくべきだろうな。」
 「それはどうやれば身につくんですか?」
 「センセイに任せなさい。」
 「頼りになるウ。」
 「英検の方はどうなの?」
 「シンシンドウの『LUSTER』シリーズがいいと思うな。準1級までなら『英語長文20の攻略』で、1級は『精鋭英文読解』。これらのテキストを仕上げれば、あとは自分の読みたいものを読めばいい。二人とも英文科でもないし、英語の勉強ばかりに時間は割けないとおもうから、このレッスンで使っているテキストだけでもいいと思う。」

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