第26回                            Turning a New Leaf

 このところ急に冷え込んできて、暖房器具の世話にならねばならなくなった。つい2、3日前まで外出する時にセーターなしで済んでいたのに、もうジャケットが手放せなくなった。そのうちまた、暖かくなって寒くなるといった寒暖の変化が訪れるのだろう。こんな時期によく体調を崩してしまう。先日インフルエンザの予防接種に行ったが、2000円で済んだ。それも、一回の接種でいいと言う。これまで、安くても3000円、高いところになると4000円以上取られた。保険が利かないので各病院のさじ加減次第だそうだが、それにしてもこの格差は一体なんなのだろうか。

 「センセイ、何ひとりでたそがれてるの?」ヒカリがふいに声をかけてくる。
 「いや、急に寒くなったなあって思ってね。」
 「なに年寄りみたいなこと言ってるの。今日は、ばっちり復習してきたからね。」
 「そう言えば、今日から同じ大学のブレスが一緒にレッスン受けるはずだったなあ。」
 「えっ、ほんと!うれしいけど、プレッシャー感じるなあ。なるべく迷惑かけないようがんばるから、よろしくお願いします。」めずらしく、ヒカリが殊勝なことを言う。
 実は、ココロがメーキャップの仕事を本格的にしたいということでしばらく東京にいくことになり、レッスンは一時お休み。そこで、ココロの代わりにブレスが来ることになったのだ。

 今回から、前半は「日本の心」について勉強して、後半は時事問題を取り上げることにした。
 まず、日本人の生活様式や生き方のルーツのひとつである武士道について資料を読み、話し合った。
 日本の武士道と西洋の騎士道(chivalry)には、多くの共通点が見られる。brave, courtesy, loyalty, moralityなどがそうであるが、一方はっきりとした相違点もある。女性や弱者に対する思いやりなどは、騎士道特有のものだと言える。(女性といっても、the upper ranges of soceityの女性に限定されていたとは思うが。)
 また、明治維新以降の日本近代化に元武士達が積極的に関わったことなどからも分かるように、日本の武士は武道に秀でていただけでなく、高い文化や教養を身につけていたと言える。
 … former samurai were actively engaged in the modernization of Japn. As a result, they had a great influence on Japanese society, and the spirit of the samurai, or bushido, was an important factor in molding the Japanese mind.
 いずれにしても、両者とも忠誠心と自己犠牲の精神に最も重きを置いていたのは事実だが、いつの間にか両者の間には大きくな違いが生じてしまったようだ。
   One for all. All for one.(chivalry)
   Die rather than disgrace yourself. (Bushido)
参考文献: Bushido.(1993) Kodansha Encyclopedia of Japan (Tokyo: Kodansha)

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