第1話

一枚の写真

最近、なつかしい写真が出てきた。
20才過ぎの頃だと思う。
友達3人と伊勢半島一周ドライブ旅行に行った時、途中、鈴鹿サーキットに
立寄った。
その日は、ウイークデーだったため観客など誰もいない。
そこで車が、3〜4台テスト走行をしていた。
初めて見る鈴鹿サーキットの風景。
とても興奮したのを覚えている。
そしてなぜかパドックまですんなりと行けたのである。
目の前に初めて見る本物のポルシェ904、ロータスエラン、MGB。
雑誌でしか見たことのない世界のスポーツカーに驚いた。
すぐ近くにあこがれのレーサーが3名。
式場壮吉、生沢徹、三保啓太郎がいた。
運よくひと休みしていた所だったので写真をお願いしたら快くOK。

  
写真左から
   生沢徹   筆者   三保敬太郎  式場壮吉

 僕も一緒に4人で写真をとってもらったのだが、舞い上がってしまっていた事を今も思い出す。
こんなサーキットで、こんな凄い車で、次の第2回日本グランプリレースに向けて練習している光景は、僕にとって別世界に生きている人間に見えた。

数年後、彼らと日本グランプリレースで一緒に走ることとなるが、
まさか・・・まさか・・・
その時には、夢にも思わなかった事である。