東方見聞録――二日目
慣れないベッドのせいか、はたまた疲れすぎてるせいか、眠りが浅く予定より二時間も早く目が覚めてしまう。でも二度寝しちゃうと待ち合わせまでに起きれそうに無いので、とりあえずお風呂に行って目を覚ます事に。
風呂上りで何もする事が無かったので、とりあえずテレビをつけようかと画策してみる。前日しまさんがプリキュアで起きると聞いたのを思い出したのと、チャンネル数の多さで東京にきた事を実感してみようと思ったのです。
いや、つかなかったんですけどねテレビ。何の罠だこれ。
流石にテレビも何も無しで、室内二時間は鉄板で寝ちゃいそうなので、ひとますホテルを出て喫茶店へ。
エスプレッソで目を覚まさせつつ人間観察と洒落込んでみた――といえば聞こえは良いんですが、本音を言うと電車に乗るのが嫌なだけだったかもしれません。
しまさんから連絡(念のため起こしてもらえるよう頼んでおいた)があって、れーさんも無事に起きた事を確認。昨日の前科があるので確認しておかないと不安ですしね。
覚悟を決めて駅へ。正直皆私の事を馬鹿にしすぎだと思う。
だって迷う余地ないじゃないこれ。まぁどこかのペットは最寄駅なのに迷ったらしいですけれども。<でも切符を買う際タッチミスで二十円無駄にしてたりします。
何のトラブルもなく品川駅に到着。駅の広さに辟易としながらも、明日池袋に向かうために路線の確認をしておく。
それでもまだまだ時間は余っていたので、折角だからと駅を出てその辺りを散策してみる事に。この旅が始まってようやく都会にきた実感が湧きました。
正直これ以上都会になられても、「いち、にぃ、さん。いっぱい」とばかりに脳がオーバーフローすると確信したため、もう私にとって「東京=秋葉」でいいやと決意。この時点で観光は頭の中から消えました。
この気持ちを早速誰かに伝えなくてはと、れーさんに「うっわ都会だ」とシンプルなメールを送信。「一人で動けるじゃねえかこの野郎と」罵られてしまいましたとさ。
や、あくまで電車が苦手なだけであって、歩く分には問題ないじゃない。
駅回りの風景を見ただけでそれなりに満足してしまったので、とりあえず煙草を吸うために喫茶店へ。
都会は電車移動が基本なためか、本当に喫茶店が多いなぁと。地元だと車移動が基本なので、あまり喫茶店入らないんですよね。正直今回の東京行きで一年分ぐらい喫茶店入った気がします。
等と益体も無い事を考えつつ一服していると、べーさんから無事つけたか確認のメールが届く。心配掛けちゃってすみませんでした。でもあれは迷いよう無いって。
等と神妙な気持ちになっていたら、れーさんから「忘れ物しちゃって取りに変えるので遅れる」とのメールが。どうも遅刻しなくては気がすまないようです(悠夜さんにあげるランチボックスを取りにいってた)。
そんなこんなで少し遅れつつも、無事れーさんと合流。帰りの切符を購入しにきたサッキーと見送りにきたべーさんも加わって、しばし駅内で雑談。
真に遺憾ながら、サッキーからべーさんへの道路工事が行われなかった事実を、悲しみに耐えつつここに記しておきたいと思います。二人なら期待に応えてくれると思ったのに(そしたら全力で引きますが)。
二人と別れて、れーさんに連れられ電車移動。
正直私とれーさん二人きりだと、怪しいだけで何の身にもならない事に気が付いてしまう。だって二人とも自分から話題を振るタイプじゃないし。
特に何事も無くしまさんと合流。何故か大量の板チョコをプレゼントされてみたり。正直しまさんはパチンコ行き過ぎだと思います。
全員食事がまだだったので、とりあえず食事をしようかという話になり、私のリクエストで黒いうどんを食する事に。やっぱりお約束ですしね。
感想としてはほら、まぁなんつーか、うん。私が悪かった。もう二人にも申し訳ないというか、何で私黒いうどん食べたいとかいっちゃったんだろうなぁ。
確かに黒く、実に黒く、そして美味しく無かったです、つか残しましたしね。
何だかしょんぼりとしてしまいながら店を出て、悠夜さんの職場を見学に行くため電車で移動。東京観光に行ったはずが初手さいたま。この旅始まってようやくまともな所に行ったと思ったらさいたま。
……うん、間違ってるのはわかってるから。東京で行ってみたい所とか特に無かったんですよ。
駅前ではそこかしこにさいたまと書いてあったり、アナウンスやら何やらでさいたまさいたま連呼されるのを、何故か騙されてるような気になったりしつつ、目的である悠夜さんの職場へてくてくと。
そんな感じで悠夜さんに会う事だけを目的にさいたままでやってきた私達を出迎えたのは、全く相手をしてくれない悠夜さんでしたとさ。悠夜さん冷たい、冷たい悠夜さん。
まぁ仕事中なので当然なんですけどね。邪魔をするのも何なので、れーさんからのランチボックスを渡してそそくさと退散。
せっかく来たんだしゆっくりしようかということで、ショッピングモール内をうろうろし始めたのは良いのだけれど、この三人組が日曜のショッピングモールにそぐわない事この上無し。
協議の結果、私=おのぼりさん・れーさん=子どもに置いてかれたお父さん・しまさん=デートの約束を取り付けたは良いが当日になって女にすっぽかされた男に見えるから大丈夫だろうという結論に達したのでセーフ。人としてはもちろんアウト。
お茶のお店によって紅茶買ったり、本屋をうろうろとしてると、しまさんが一旦用事のため離脱する事に。
残された生産性の無い二人はどうしたものか迷った末、とりあえず今度こそ構ってもらうため再び悠夜さんの所へ。写真を撮ったりして少しだけ相手をしてもらいました。
が、流石に仕事中の人間を長い間邪魔しちゃうのも何なので、とりあえず喫茶店にでも入って休もうとしたのだけれど、日曜のお昼時だったのでモール内のほとんどの店が満席。むしろ店の外までずらりと行列が。
空いてる所もあるにはあったのだけれど、この状況で空いてる店は逆に怖いので回避。どう考えても不自然ですし。
店に入れずモールを出てうろうろとしていると、れーさんの携帯にしまさんから予定よりも遅くなりそうとの連絡が。
二人が今後どうするか相談しはじめたので、とりあえず道の隅っこで煙草を吸って待つ事に。ようやく携帯灰皿を役立てられました。
しまさんの最合流まで結構な時間があったので、これからどうするか相談するために、とりあえず近くにあったサイゼリアへ移動。
どこに行くか改めて相談を始めたのは良いけれども、行きたい観光スポットも店も無ければ、そもそも目的が無いので何も決まるわけが無く、そりゃあ会議も踊るわけで。
れーさんも面倒になってしまったのか。「もう俺家で寝てるから風俗行って来い」と暴言を吐きやがる始末。思わず日記を更新してしまいましたとも。
や、事前に会話の中で、友人Kにやる事無いんだったら風俗でも行ったらどうよって冗談を言われた、って話があったからなんですけどね。<前振りなしであの発言だと凄くアレな人じゃないかと怒られた
相談の結果、池袋に向かおうかとの話になるも、移動時間を考えるとあまり余裕がなさそうだったので(サイゼリアで結構な時間を潰したってのもある)、待ち合わせ場所の秋葉に向かう事に。完全に東京=秋葉は確定。
秋葉に到着したところで、しまさんから予定終わったので最初に決めてた時間に合流できそうとの連絡が入り、一気に時間が無くなる。つか我々予定の立て方が杜撰過ぎ。
とりあえずれーさんがキーボードを探したいというので、色んな店を回ってふらふらと。改めて細部を見て圧倒されてみたり。
結局キーボードは良いのが見つからず、友人Kへのおみやげを買うためドンキホーテへ。というのも土産何が良いって聞いたらOLの制服をドンキで買って来いといわれたのです。
……いや、彼は一応一般人ですよ? まぁ私の友人を長い間やってるぐらいだから当然変ですが。
ちなみに物自体はあっさりと見つかった(普通のと野球拳用の裂ける奴)んですが、これを買ってしまうと私と友人Kの何か大切なものを、またひとつ失ってしまいそうなので購入は断念。つかそんなものを持ってこれからメイド喫茶に行くのは業が深すぎるし。
待ち合わせの時間になったので、しまさんとゲーセンで合流して、コータローさんを出迎えるため駅へと移動。
私は今回が初なので顔もわからないから、来たら教えてくれと二人に頼んだところ、オーラで見つけろと無茶な事を言われる。だってここそんなオーラでてる人しかいないやん。
禁煙に苦しみながら、コータローさんがタバコの煙駄目な人だったら店に入っても吸えないかもなぁ、等と真剣に悩んでいると、しまさんの後ろにコータローさんがサイレントに登場。ぱっと見は優しそうな兄ちゃんって感じでした。
コータローさんに計画性の無さやらを謝りつつ、とりあえずメイドへと向かうも、一軒目二件目は混んでいたので諦める事に。
三件目のCOS-CHAも混んではいたんですが、しまさんが網タイツの誘惑に負けたためおとなしく列に並ぶ事に。何かセクシーメイドウィークみたいなのやってたんですよ。
並んでいる最中に、とりあえずコータローさんに煙草の煙は平気かどうかの確認をとったところで力尽きる。
エネルギー切れと、後ろに並んでた二人組みのアレさ加減で、うっかり人を殺してしまいそうなテンションに。多分話し掛けられたら殴ってたと思う。
そんな状態で入店して、雑談で少しづつテンションを回復させながら注文。
私しか煙草吸う人いないのに喫煙席に座らせてしまった申し訳無さもあり、至福の一服(ビールと前菜、食後に店員さんが煙草に火を点けてくれるサービス付きで2100円)を頼む事に。キャバクラかい。
しまさんもネタ注文として背伸びドリンク(期間限定のアレな名前のジュース)、コータローさんは背伸びカクテルを勧められるも「背伸びされるよりはむしろ俺が屈んでいく、ましてや大人びたら邪道」と主張したため、普通に注文。
会話の内容としては、しまさんの頼んだちょっぴり大人の背伸びドリンクを中心に。
恐らくストローの短さが背丈の低さを。グラスの浅さがカップで、氷の多さはパッドを入れてるんじゃないかと推測されました。ちなみに味としてはグレープフルーツメインっぽい。
テンションを上げきれないままビールと前菜を片付けて、一服を頼むのを躊躇していると、しまさん達から「てんぱった顔が曙、笑うと関根に似ている」との評価を受ける。ってかそれはどんな生き物だ。<貴方です
私としてはこのまま何事も無かったかのように店を出ても良いかなぁとか思ってたんですよ。自分からそういうネタをやるのはともかく、店のサービスの一環とかだと照れるので。
が、コータローさんが横で黙って圧力をかけて来る。というよりむしろ何で躊躇してるのかわかんね。といった空気を発し始めたので、覚悟を決めて店員を呼ぶ事に。
呼ぶ際の腰の低さを散々からかわれたため、「ごめんね。ご主人様なのに借家で」とボケたりしてる間に店員さんが到着。
自分の煙草もあったのだけれど(つか食事を終えてから何本か吸ってる)、せっかくなので店の煙草を選んでおく事に。銘柄はわからなかったけど何かカラフルな奴でした(煙草一本一本が違う色)。
何色が良いですかと聞かれるも、「じゃあ私に似合いそうな色選んで?」等のボケを挟む余裕も無く適当に選んで、せめてもの抵抗として無駄に柄悪い咥え方をするぐらいしか出来ませんでした。
安全のため火勢を小さくしたライターを使っているためか、一回目は火がつかず周りの注目がきっつい事。三人は楽しそうに笑ってましたし。
まぁこういった店では何か失敗をしなければいけない決まりになってると学習した私は、そこまでは予想済みだったので軽く笑いながらずっと同じ体勢で待ち続けてたわけですよ。そしたら二回目も火が点かないでやんの。
あれは間違いなく向こうも素でしたって、こっちも息吸ってたのに。
結局三回目で火は点いたんですが、正直煙草の味なんかわかったもんじゃなし。店員においしい所持ってかれた敗北感でいっぱいですとも。
軽く凹みながらも、コータローさんがわざわざ持ってきてくれた同人誌を受け取った事で持ち直す。本当にわざわざありがとうございました。
素直に通販をりようすれば良いんでしょうが、やっぱり最初ぐらいは直接買いたかったんですよ。対面して受け取って、直接お金をやり取りしってってのも同人誌の醍醐味なんじゃないかと思いますし。
長居するのも何なので、さっくりと会計を済ませて外へ。何処へ行くのかと思ったら、しまさんの先導で何か怪しげな店に向かう事に。何か武器とかいろいろ妖しげな物を売ってる店でした。
いろいろ見物した後、しまさんが鉄扇を購入して駅へ。ちなみに次の目的地はベリアルさんこと僕らのペットのバイト先、こんなのばっかりか私。
体力は底を尽きてるわ苦手な電車での移動だわで、散々弱音を吐きまくりながら移動。そしてそれを出迎えるのは、仕事中にもかかわらず客席で煙草を吸った上しかも片付けてない我らがペット。せめて片付けれやこの汚れ、ととりあえず説教。
注文する前にトイレに向かったところ、店内に無いわなかなか見つからないわで思わぬ大冒険。危機感から無駄にテンションが上がる始末。
結局一度店に戻ってべーさんに場所を聞いてからトイレに行って、その間コータローさんを一人店内に待たせる(れーさんもしまさんもトイレ行った)というアレさ加減。
気を取り直して注文のためべーさんを呼んだところ、「来るんなら連絡してくださいよ、コータローさんの本テーブルに広げておこうと思って持ってきてたのに」と文句を付けられる。
が、コータローさんから逆に「言われなければやれないネタは二流だ」と逆に駄目出し。しょせんペットは弄られキャラのようです。
べーさん弄りもそこそこに美味しいとんかつを注文。冷静に考えてみれば、この旅始まって初めてのまともな食事。当然普通に美味しかったです。
コータローさんからサイトや創作の真面目な話を聞いたり、べーさんが仕事中にもかかわらずメールしたりやりたい放題だったり、しまさんが素であさりとしじみの区別がつかなかったりしつつのんびりと食事。当然の如くれーさんは喋らない。もうこの人にとんかつを与えてはいけないと思う。あとべーさんはもっと真面目に仕事をするべきだと思います。
後半は割と普通に創作の話題が中心だったりして、いろいろと勉強になったなぁと。あとしまさんはコータローさんに8k分は愛されてるようです。
まぁそんな話をしながらも、べーさんにお茶の置き方が悪いと説教したり、「じゃあお湯でも飲んでろ」とか言い返してきたので「持ってこいやゴルァ」「持って来たらぁ」「つげやオラァ」とかじゃれあったりもしてたんですが。
結局閉店まで居座って、べーさんの仕事が終わるまで店の前で待つ事に。そしたらこのペット土産だとかいってジョッキ渡してきやがんの。極普通の麒麟の奴。殴れって事か。
どうしたものか悩んでいたものの、皆の説得により喜んでもらえる事に。コータローさん曰くわらしべ方式でサウジアラビア貰えるらしいよ?
帰りの電車はべーさんについてけばいいやー、とか思ってたら困った事にべーさんは自転車出勤だったりして。おとなしくしまさんについていく事に。
それでもまだ私が無事たどり着けるか不安なのか、べーさんから「どうしても迷いそうだったらコッペパンを撒きながら歩け」とのアドバイスが。都会には鳥がいないらしい。
それだけでなく、「モノレールはジェットコースター並に速い」などと散々脅される。つか乗ってるから。初日に。
信用無いので解散時にも細かく説明されつつ、別れてホテルへ。
風呂に入る気力も出ないほど疲れ果ててはいたものの、何故だか眠れなくてコータローさんの本を読んだり更新したりしながら、二日目の夜が更けていくのでした。