6月第412回例会
  講 師  上田 雅一 氏 (一遍会 会友)
  講 話  映画  「阿弥衣がゆく」 上映
 メッセージ 映画「阿弥衣がゆく」は、平成元年十二月八日に道後の郵便貯金会館で初公開されているから凡そ十八年目の再上映である。
 一遍上人遊行足跡を辿り、年二回(春秋)の旅で収録したフィルムには、全国各地の名所旧跡が紹介され、その間同行した会員に依って一遍上人の秀歌を詠んでもらった。
 この趣向は生きていた。独自な本作品の力強い「発言」となっていたのではなかったか。一遍の偉大な行脚足跡も然る事ながら、そのひとの秀抜した「心ばえ」そのすべてを現す原点でもあった。
 「ひとり生まれて独り死す生死の道こそ悲しけれ」  これこそが本命であるし、生と死をつらぬいて生きた一遍の信条は、この映画の主題そのものである。
 一遍遺跡巡拝をともにした人々のなかには、その後、黄泉の国に旅立たれた方もおられます。今は亡きひとの面影が、フィルムに映像として残されている。ともに旅した思い出が脳裏に浮かび、その懐かしのひとの姿にご冥福を祈るのみ。
 およそ完成してより二十年。その歳月の流れが映画「阿弥衣がゆく」の上に何をもたらし、なにを語りかけんとするのであろうか。