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ぞ、さあ殴れと悪態を吐き、拳骨を下ろさせ
てしまうのである。教師も人間であり、自分
の家族を養ってゆく責任があるから、自分
流の教育と免職を天秤にかけられれば、ど
んなに武闘派の教師であっても思わず引き
下がってしまう。高笑いしながら教師を軽蔑
する不良達には、心から説教する教師の言
葉など全く耳に入らない。
 こうなれば学校教育は崩壊である。教育と
は教え育てるということだが、今の世の中で  
は、学校では勉強を教えるだけであり、生徒
が何をしようが放任である。そして家庭内で
も教育をしない親がいるから、手に負えない
不良達が増えている。彼らの一部は暴力団
の組織にも出入りしている。暴力団にとって
は、組織を拡大するためには願ってもない状
況であるが、親分はこのような不良生徒をつ   8
くる現代の教育に不信を抱くジレンマに悩ん
でいた。
 だから親分は自分なりの教育の荒廃立て直
し策を考えていた。まず教師が教師としての
自覚を持たなければならない。教師は聖職だ
が最近は質が低下していて、あまりにも低俗
な事件を起し、世間の非難を浴びることが多
い。こんなことでは教師全体の尊厳は失せて
ゆき、社会的地位は失せてしまう。必然的に
保護者は学校教育で、信頼しなければならな
い教師に不信感を抱いてしまう。親が教師に
不信感を持てば、子供は教師に従わなくなる。
このような風潮を変えることは、社会の意識改
革であり短期的には難しいが、教育委員会が
長期的視野のもとに研鑽を積まなければなら
ない。そのためには教育委員会が教師の資
質の向上を計るとともに、保護者にも理解を
求め、学校と家庭で一貫した指導体制を保つ