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れがぜ、力の無い奴が言うたらそいつも苛め
られますよ」
「その時には先生が出て行って解決するがね、
黙って見とるだけが教師じゃないんじゃ。まず
よく観察して、生徒に解決できることは生徒に
任す。しかしどうしても生徒で解決できないと
みると教師の出番じゃがね。あの時も先生の
出番待っとったら伊吹で解決してしもうて、先
生の出番無しに終わったがね、八ツハッハ」
石田教諭が小さく笑った。
「そうですよ、伊吹君は優しい性格だから、
もうこんなことはしませんよね」
「そうはいかんのですよ、降りかかる火の粉
は払わんといかんのです」権次は石田教諭
と弥生先生に対してだけは、ふて腐れたこと
ばかり言う自分が分らなかった。それにして
も自分の人生は、どうしてこうも暴力を振る   4
わないと解決しないことばかりが起きるのか   5
不思議に思った。
「あっそうか、先生分りました。わし、生れて     
くるのが遅かったんじゃ。戦国時代に生れと   
ったら凄い大将になっとったのに」
「うん、突然おかしなことを言うのがお前の悪
いところだが、言わんとするところは分った。
そうじゃなあ、お前が戦国時代に生れとった 
ら織田信長に匹敵するうつけになっとったか
も分らんのう。そじゃけどお前は現代に生れ
とるんじゃけん、現代にそぐう生き方をせな
いかんのじゃ。火の粉が降りかかってきても
それを払わずに生きる方法があるんじゃ。そ
れが分らぬようでは、伊吹はまだまだ就業が
足りんのじゃ」それを聞いていた泉校長が笑
いながら言った。
「八ツハッハこれはおかしいなあ、伊吹が織田
信長に匹敵するうつけか、八ツハッハハそのと