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うな音がした。
「校長先生、若い時から暴力を振るう癖が付い  
とったら、こういうふうに暴力教師にもなって   
しまういうことですか?」権次が顔を顰めなが
ら言った。
「なにお」ロングが再び拳骨を構えた時校長が
言った。
「これは決して暴力ではありません、拳骨によ
る教育です。君たちのように口頭での教育を
頭で理解できない者には、体で理解してもら
うしかないのですよ。さあその拳骨の痛みを
何故受けなければならないか、よく考えて反
省の材料にしなさい。さ、ロング先生続きをど
うぞ」
「先生はなあ、お前たちの暴力と違(ちご)お
て好き好んで殴っとるんじゃないぞ。心の中
で泣きながらお前らを殴っとるんじゃ。泣いて   1
馬謖(ばしょく)を切るじゃ、わかるか?先生   5
は生徒を殴るこの罪を一生忘れん。成長期
にある若者を少し理解がないというだけで、
もしかすると今後の人生のトラウマにもなり
かねない恐怖と苦痛を与え、この処理がもし
や更生に役立ったとしても、先生は死ぬる時
に恐らく地獄に落ちるじゃろ。しかしそれも教
師という職業がら仕方のないことじゃと思うと
る。だから拳骨教育で一人の生徒が立ち直れ
るのなら、先生は地獄だって甘んじて受ける
覚悟でやっとる。お前らも殴られる痛みを人
格形成の肥やしにせい」再び足元で寺の鐘が
鳴り響いた。
「今回だけは東署も偶発的事故として、寛大
な処置を取ってくれたが、次からは堪えてく
れせんぞ。ポンスケが、奥歯を噛み締めい」
ポンスケは雲龍の口癖で、これが出た時には
龍が嵐を呼ぶ前兆で絶対に生徒が殴られるの