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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科専門クリニックです

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

扁桃周囲膿瘍、急性喉頭蓋炎
クループ

扁桃周囲炎・膿瘍(のうよう):扁桃炎や咽頭炎の炎症が扁桃腺被膜周囲の軟部組織まで広がると扁桃周囲炎に、扁桃線と上咽頭収縮筋の間にウミがたまると扁桃周囲膿瘍となります。
 ほとんどが片側性で、扁桃腺が口内に突出し、口蓋垂が偏位します。耳の奥まで響く強い痛みが出現し、開口制限により食事が摂れなくなります。レンサ球菌、ブドウ球菌と扁桃腺や咽頭に常在潜伏しているバクテロイデスなどの嫌気性菌による複合感染が多いです。
 扁桃腺の下方へ腫れが広がる下極型では、喉頭蓋炎、喉頭炎への進行し厳重に注意する必要があります。
治療;穿刺・切開による排膿、点滴による強力な消炎、水分補給、消炎後の待機的 口蓋扁桃摘出手術(時には急性炎症中の膿瘍扁摘)

副咽頭間隙膿瘍・咽後膿瘍:咽頭炎や扁桃周囲炎、歯の周囲炎(根尖病巣や歯肉炎)、魚骨などの異物からの炎症が咽頭のより深部に波及し膿瘍を形成したものです。小児と高齢者に多いです。項部強直(首のこわばり)と発熱を来すことが多く、髄膜炎との鑑別が必要です。

頚部蜂窩織炎(ほうかしきえん):咽頭や扁桃周囲、皮膚からの細菌感染が頚部皮膚の深部に広がったものです。

急性喉頭蓋炎:喉頭蓋が腫脹し、最悪の場合窒息します。耳鼻科救急の中でも最も緊急を要します。扁桃線周囲や舌根扁桃からの様々な病原菌の波及で喉頭蓋が腫脹します。特に髄膜炎の代表的な起炎菌であるインフルエンザ桿菌TypeB(Hib)で高度な腫脹を来します。喉頭蓋舌面のみの軽度腫脹は当院でも経過観察しますが、喉頭蓋喉頭面や喉頭披裂部まで腫脹が広がっている場合には、入院による厳重な経過観察と治療が必要なことから、緊急的に紹介しています。

急性声門下喉頭炎(クループ):声帯下部の粘膜が腫脹して、犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)や喘鳴(ぜんめい)、声がれ(嗄声(させい))を認め、ジフテリアによるクループに似た症状になることから仮性クループとも呼ばれます。声門下は小指の太さ程の内径のため、声門下が狭く感染を起こしやすい6ヶ月〜6才の乳幼児に多い病気で、小児の15%が一度は罹るとの報告もあります。病原菌は、75%がパラインフルエンザウイルスとされ、インフルエンザやアデノウイルス、RSウイルス、ヒト・メタニューモウイルス、麻疹、ウイルス感染後の二次感染によるインフルエンザ桿菌、肺炎球菌、モラキセラ菌、ブドウ球菌でも惹き起こされます。
治療;血管収縮作用のあるアドレナリンの吸入、粘膜の腫脹炎症軽減作用のあるステロイドの吸入・内服を行います。多くは2日以内に改善しますが、声門下の腫脹が強い場合や感染初期でさらなる増悪が心配される場合には、入院の上経過を見る必要があります。

!呼吸困難に注意!
 扁桃周囲から舌根の腫れ・喉頭蓋の腫れ・声門下の腫れが進行し、声帯周囲の腫れが極端に強くなれば、最悪の場合、窒息の恐れもでてきます。急激に声が出せなくなる、息が吸いにくくなり「ヒュー」という音がしてのど仏の下が落ち込む、等の症状が出れば救急病院への緊急入院の必要も出てきます。本日の診察では急変の可能性はほとんどないものと判断しましたが、急変する可能性も否定できません。院長の医師としての経験上、これまで帰宅後の急変は1例もありませんが、万一、帰宅後に急変した際には、当院時間外連絡先までご連絡下さい。病院紹介など可能な限り対応する所存ですが、深夜などで直ぐに連絡がつかない場合で呼吸困難が急激にひどくなるようであれば、救急車を呼ぶことも考慮下さい。