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当院におけるアレルギー性鼻炎の対処法

当院におけるアレルギー性鼻炎の対処法
 ほこりや花粉などの異物蛋白(抗原)が、湿疹や感染した粘膜から侵入し、自然免疫を介して獲得免疫に記憶されて感作が成立します。IgE抗体が産生されるとともに、自然リンパ球や好酸球も活性化されてサイトカインも産生されます。抗原が再び侵入した際にIgE抗体を介した反応や2型炎症が引き起こされて、くしゃみ,鼻水、咳、痰がでます。刺激が続くと,細小持続性炎症化し、アレルギー性炎症の悪循環(リモデリング)がおこります。また体調や気温・気圧の変化といった非特異的な刺激に弱くなります。特に自律神経の影響で朝方や季節の変わり目に気道過敏症が目立ちます。これらの気道アレルギーがあると、かぜをひきやすく、また長引きやすくなります(感染後気道過敏性亢進など)。また中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎を続発しやすくなるので注意が必要です。

花粉症とまぎらわしい鼻炎:花粉症の方は程度の多少はあるものの平素の過敏症も有しており、さらにほこりのアレルギーを合併する方も多いので、花粉症シーズン以外の時期でも鼻炎の症状が目立つことがあります。
*以下のように、気候や環境からは6-7,9,11月に過敏症が強くなります。
 ①鼻過敏症:鼻の粘膜は毛細血管で構築されていますので血管運動性鼻炎とも称します。扁桃組織の弱い人に多いです。また、加齢による萎縮性鼻炎や、中年期に目立ってくる2型炎症による好酸球性副鼻腔炎、消炎鎮痛解熱剤に対するNSAID過敏症、シックハウス症候群などの化学物質過敏症もあります。妊婦さんでは妊娠後半期にホルモンの影響で妊娠性鼻炎を起こしやすくなります。副交感神経という自律神経が活発になる朝に症状が出やすくなりモーニングアタックと呼びます。また、夏のクーラー・11月初冬の冷え、梅雨や秋雨前線・台風による低気圧、温度変化、乾燥、風邪を引いた後(感冒後過敏症症候群)、黄砂やPM2.5、プールの塩素、化学建材などによる機械的化学的な刺激、精神的肉体的ストレスから惹き起こされる自律神経失調など、様々な要因で過敏になります。
 ②ハウスダストアレルギーによる通年性鼻炎:家ダニ、カビ、ペットに対するアレルギーがあると一年を通じて鼻炎が続きやすくなります。梅雨は高温多湿でダニ、カビが繁殖し、夏に結露の多い住宅や古い畳の多い住宅では夏カビが繁殖します。冷え込みの始まる11月には抗原性の強いダニの死骸やフンが多く発生します。

< 当院で行う主なアレルギー検査 >
鼻汁好酸球:鼻粘膜上の細胞成分を観察して、抗原抗体反応、2型アレルギー反応の存在を類推します.。
□多形核球=炎症細胞  正常0~6%□単核球=正常細胞  94~100% 
□好酸球=過敏症細胞  0% 
 好酸球は風邪などの一般的な炎症ではわずかしか見られません。細胞障害作用とアレルギー性炎症の悪循環(リモデリング)に関与します。以下の病態で出現します。1)ハウスダストや花粉による抗原抗体反応 2)30代以降の女性に多い2型自然リンパ球を介した2型炎症で、増悪すれば鼻ポリープ形成性の副鼻腔炎、気管支喘息を合併する 

抗体検査 :RIST(IgE);抗体の総量
 ハウスダスト;ダニを中心とした家のほこりの抽出物
 カビ;カンジダ、夏カビ
 スギ花粉、ヒノキ花粉;2~5月に飛散
 イネ科花粉;カモガヤなど、5月、9月中心に長期に飛散
 キク科花粉;ヨモギ、ブタクサなど、秋に飛散
 その他,必要に応じて食物や花粉(ハンノキ1~5月)、ペット、昆虫のアレルゲンを検索します。

血中好酸球:抗体を介した1型アレルギー、2型自然リンパ球を介した2型炎症、寄生虫感染で増える

治 療 法:まず鼻、気管の吸入を行い,粘膜の炎症を静めます。症状に応じて内服薬,目薬,鼻,のどの吸入薬、注射(抗体医薬含む)を用います。特に,花粉症で原因の花粉が判っている方は,症状が出る前から予防的に薬を飲む初期治療が効果的です。スギの花粉症ならば,毎年2月初頭からの服薬でシーズン中の症状がでにくくなります。
 症状が年中持続したり季節性でも症状が強い場合には、手術治療や体質改善の為の経口免疫療法、漢方治療も行います。
 手術には、レ-ザ-治療、化学剤手術、高周波電気焼灼、後鼻神経切断術などがあります。ある程度の効果が数年持続します。*スギ花粉症に対するレーザー治療はシーズン前に行います。

< ほこり,ダニ,カビへの対処法 >
1.絨毯・布製ソファ-を取り除き、家具の数を減らす。畳の部屋をフローリングやクッションフロアにする。
2.部屋の掃除を徹底して行い,ほこりをためない。カ-テンも水洗いする。*電灯のカサ,窓のサン,タンスの上まで掃除する
3.ふとんやまくらは,よく干してほこりをたたき出したあと,掃除機でほこりを吸い取る。羽毛,羊毛,そばがら製のものは避ける。ベッドマットはビニ-ルで被い,ガムテ-プで密封する。*フケのたまる,まくらやマットはダニの温床になりやすい。
4.掃除機は,ダニを強力に集埃できるものにする。
5.梅雨は除湿機,夏は冷房,冬は暖房と,除湿に心がける。加湿機は使用しない。
6.こたつ布団は,冬に2~3回は水洗いする。 *湿度60%以下では,ダニもカビも繁殖できない。ホットカ-ペットは熱でダニは繁殖できないので,毎日使用する場合のみ用いる。
○ ほこりへの対応の心構え:職場や学校自体がほこりっぽいこともあり,身の回りからすべてのほこりを追い出すことは不可能です。神経質になる必要はありませんが,少なくとも寝室のほこり、ダニは可能な限り減らすよう心がけてみて下さい。夜間の刺激が少ないと日中の症状が出にくくなります。

<小児・女性・高齢者の花粉症の特徴>
 生後3-4ヶ月までに非病原性細菌のエンドトキシンに暴露する機会がない清潔な環境だとアレルギーを抑制するTH1細胞が増えず、アレルギーを増悪させて2型自然リンパ球やサイトカインを活性化するTH2細胞が増える(衛生仮説)、清潔な衛生環境、乳児期の抗菌薬の服用、腸管免疫機能の低下、動物性蛋白の摂取が増える、環境汚染物質(PM2.5など)の増加で、1960年代から急速に発現頻度が増え、発症年令が低年齢化しています。
 アレルギー体質=異物蛋白の抗体産生力が強い体質の小児は、早ければ6ヶ月で食物、1才でハウスダスト、2才で花粉へのアレルギーを発症します。小学生の2割に雑草花粉3割にスギ5割にハウスダストの抗体が、20才台の7割、妊婦の8割に何らかの吸入性抗原の抗体があるとの報告があります。成長期は抗体産生力が強いので、15才前後まで徐々に症状が強くなる傾向があります。また、女性はホルモンの影響で妊娠後半期や出産後に症状が強くなる場合があります。一般的な花粉症の初発年齢は小学生~40歳代ですが、まれに60歳代でも発症します。逆に50歳代以降では年齢的な反応の減弱化によりアレルギー反応は弱くなり(アネルギーanerugy)ます。

< アトピー体質、アレルギーマーチとは >
  IgE抗体を過剰につくる体質のことです。ある程度の量に達した段階で粘膜が過剰反応を起こすと発症します。親からの遺伝と環境の二つの要因によります。アレルギーが発現する部位が成長とともに変化していくことをアレルギーマーチといいます。乳児湿疹の傷から食物抗原が侵入して抗体が作られやすいこともあり乳児期には食物に反応するアトピー性皮膚炎、食物アレルギーが目立ちます。 2才前後からはハウスダストに反応してアレルギー性鼻炎、気管支喘息になりやすくなります。さらに小学生頃より花粉症としての鼻炎や結膜炎が目立ってきます。

気管支喘息の推移:幼稚園児で喘息だった小児の90%がハウスダストが原因で、中学生まで喘息の割合は3割、成人喘息への移行は1割ですが、高齢期に感染性喘息が再然する傾向にあります。

アレルギ―性鼻炎の推移:小学生で鼻炎だった小児の多くが50歳前後まで症状が続く傾向にあります。

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