口臭は「呼吸や会話時に口から出てくる息が、第三者にとって不快に感じられるもの」と定義され、厚労省の調査では15%の人が口臭に悩んでいると報告されています。口臭の主成分は、硫化水素(硫黄成分の温泉のような卵の腐ったようなにおい)、メチルメルカプタン(血なまぐさい魚臭いにおい)、硫化ジメチル(生ごみ臭)です。これに加え多数の成分が混じり合って口臭を形成します。
測定方法:
1、官能試験:医師が直接臭いをかいで判断します。
2、口臭ガス測定器:半導体センサーにより揮発性硫化物を測定します。
<口臭の分類>
病態的分類
●他臭症:本人が自覚せず、周囲の人が感じるもの
●自臭症:本人が自覚したり、口臭があるのではと気にするもので、周囲の人は口臭と感じないもの
原因的分類
@病的口臭:80%以上は、舌苔などの口腔内に原因があります。
1)舌苔:揮発性硫化物の60%が舌から産生されます。血行障害、鉄分・亜鉛不足、カンジダ症(かび)など原因が特定できる場合もあります。
2)歯垢、歯石、歯周病、齲歯(むし歯):齲歯が進行して神経が腐ったり、多数の未処置歯があると、カリエス菌(嫌気性菌)による強い口臭が目立ちます。歯石除去、歯ブラシ指導を含めて歯科に紹介します。
3)義歯:義歯は吸水性で、洗浄を怠ると細菌が繁殖します。
4)唾液分泌の低下:唾液には口腔内の洗浄、抗菌、粘膜保護作用があります。加齢やシェーグレン病などで機能低下が起こると、口内が不潔になります。向精神薬、総合感冒薬などでも唾液分泌が抑制されます。
5)扁桃膿栓症:大量不良時に集患的に扁桃腺から白い膿栓が出てくる場合は、慢性扁桃炎として加療します。
6)細菌性副鼻腔炎による後鼻漏
7)逆流性食道炎、胃炎:呑酸(ゲップ)の過多
8)口腔内の一時的な乾燥:スポーツ、カラオケなどによる過発声、いびき症・鼻炎による口呼吸習慣で起こります。
9)女性ホルモンのバランス変化:
10)飲酒・喫煙:臭気の強い食事の習慣、飲食後の口腔ケアの不備、過剰な飲酒や喫煙習慣
11)薬剤、サプリメントの常用:薬剤の習慣的な摂取により特有の口臭が起こる場合があります。
A非病的口臭(生理的口):起床時、空腹時、疲労時、飲食後の一時的なもの。思春期口臭、老人性口臭。ニンニク、ニラ、生ねぎのどの有臭食品の摂取時。
●仮性口臭(社会的に容認できる口臭)
●口臭恐怖:心因性
<口臭の予防>
一番の原因である口腔内の不潔状態の改善に心掛けます。
・刺激物の摂取を制限する
・歯磨きの励行で歯垢を付けない
・舌苔には歯ブラシ(使い古された先の柔らかくなったもの)や市販の舌ブラシで、起床時などに1日1回まで、過剰に舌を痛めないように舌苔を除去する
・塩水やアズレンなどの炎症を抑えるうがいを行う(イソジンなどの殺菌性のうがいの連用は舌の善玉菌を減らせて、逆に舌が荒れる場合があります)
・口臭予防効果のある洗口剤、清涼剤、歯磨き、ガムや飴(香料で臭いを隠す一時的な遮蔽効果が主体のものが多いです)