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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科専門クリニックです

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

耳介血腫と耳介軟骨膜炎

耳介血腫とは、耳たぶの皮下に血性の液がたまり、こぶのように盛り上がった状態をいいます。耳介の上部内側のへこんだところで軟骨の間がはがれて出血するもので、耳を打撲した時などに起こります。特に、柔道や相撲、レスリング、ラグビーなどの格闘技では耳をこする機会が多いためしばしば見られます。
 アトピー性皮膚炎による湿疹の慢性刺激や知らない間に虫に刺されたり、無意識に耳介を掻くくせがあることが誘引になる場合もあります。耳介は皮膚のすぐ下に軟骨が接しており、外界からの刺激が直接軟骨に加わりやすく、さらに滲出液を吸収する組織もないために貯留して大きく膨隆してしまうことになります。
 以前は軟骨と軟骨膜の間で出血するとされていましたが、最近の知見では多くは軟骨の中が剥離されて滲出液が出てくるものとされています。
 この血腫は、注射器で血液を抜き取とることで一旦は治りますが中に間隙が残っているとそこに滲出液が再度貯留してすぐにもとの状態に戻ってしまいます。そのため治療のポイントは血液を抜き取った後に、いかにして約1週間程度、間隙が出来ないように皮膚の上から圧迫できるかにかかっています。
 2週間以上血腫をそのままにしておいたり、細菌感染を起こして耳介軟骨膜炎を起こしたりすると、耳介が硬く変形して治らなくなってしまいます。カリフラワー耳、ぎょうざ耳、力士耳、柔道耳などと呼ばれます。

 外傷性:打撲、スポーツによる急激な刺激。血性内容物
 耳介偽嚢腫:アトピー性皮膚炎による慢性湿疹、スポーツよる摩擦刺激などの軽微な慢性刺激による。漿液性内容物

耳介軟骨膜炎とは、耳介血腫や虫刺され、外傷で軟骨や軟骨膜に感染の起こった状態をいいます。耳介のような薄い軟骨に一旦感染が起こると高度な変形が残ります。積極的な消毒と抗菌剤の投与を行います。

<治療方針>
・受傷2週間以内の耳介血腫
ステップ1:血腫吸引+用手圧迫 吸引後1週間をめどに、時間の許す限り自分の手で軽く圧迫します。*皮膚が真っ白になるまで強く圧迫して、血行を悪くしないよう注意して下さい。
ステップ2:血腫吸引+抗炎症性ステロイド薬の注入+用手圧迫
ステップ3:アルファンスシーネやヘッドギア、包帯による圧迫固定 *圧迫は軽度で、時間の許す限り装着しておきますが、圧迫し過ぎが心配ですので念のため夜間は外して下さい。
ステップ4:枕縫合による固定  抗生物質を含んだロール状のガーゼで、耳介の両面を縫合して圧迫し、1週間後に外します。その間は軟骨の感染に注意します。処置当日は入浴、飲酒は控え、翌日以降は首から下のシャワー程度の入浴で、ドライシャンプー以外の洗髪は禁止です。

・耳介軟骨膜炎:殺菌消毒を強力に行います。

・耳介軟骨が変形、瘢痕化した状態:美容上の不都合があれば、総合病院の耳鼻咽喉科・形成外科に紹介の上、変形した軟骨の削除を行います。程度によっては入院を必要とします。

*OK432(ピシバニール)注射による硬化療法:溶連菌乾燥菌体を2週間程度かけて複数回投与。注射後に持続的な痛みをともないます。当院では行っていません。