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首のリンパ節

首のリンパ節
 首にはリンパ節が数十個以上あり、多くは耳鼻咽喉・頭頸部領域からの感染による炎症性のものですが、悪性腫瘍の転移の可能性もあります。病変の場所によって腫れるリンパ節群がおおよそ決まっており、触診だけでも原病変の部位や悪性の可能性があるのかどうかおおよそ推測できます。頚部リンパ節転移の場合の原発腫瘍部位は9割が頭頚部領域にあるので、首のリンパ節が腫れている場合、ファイバースコープやエコー検査などで頭頸部を入念に検査します。さらに癌の遠隔転移や、悪性リンパ腫・白血病など血液系疾患、結核や膠原病、免疫異常など様々な原因に注意します。

リンパとは:体には第2の血管とも言える、リンパ管という血管より細くて軟らかい管が張りめぐらされており、その中をリンパ液がゆっくりと循環しています。リンパ管は腸から吸収された脂肪分を運んだり、血管から漏れ出た水分を回収したりする役目持っています。また、血管と繋がっており、血液とリンパ液の中をリンパ球が行き来し、免疫のネットワークを形成しています。リンパ管の途中には、ところどころにリンパ節という濾過装置があって、リンパ液の中を流れている異物や細菌などをせき止めます。このリンパ節の中で、過剰な炎症反応が起こった場合にリンパ節が腫れてきます。

【生理的なリンパ節の腫れ】 頚部にはそらまめ大の大きさのリンパ節が多数存在していますが、大人ではほとんど触知しません。ただし、首がスリムな人で触知する場合もあります。また、扁桃腺が肥大している年齢の小児は、リンパ組織の活動も活発なため、普段でも小指頭大のリンパ節を多数触知することは珍しくありません。

【病的なリンパ節の腫れ】

化膿性(細菌性)リンパ節炎
細菌がリンパ節の中で白血球などの攻撃に打ち勝って、どんどん増え始めると、リンパ節の腫れがどんどん大きくなって、痛みや発熱を伴います。表面の皮膚にまで炎症が及び、赤く熱をもってくることもあります。上気道炎や扁桃腺炎を起している、ブドウ球菌や溶連菌などが首のリンパ節炎の原因となっていることが多いです。血液検査では白血球数が増加し、炎症反応CRPが上がります。抗生剤による治療が必要です。

ウイルス性リンパ節炎
細菌性に比べ、発熱と痛みが軽度です。通常、複数のリンパ節が腫れます。抗生剤は効きませんが、時間が経つと自然に腫れは治まってきます。

結核性リンパ節炎:抗生剤に反応せず、リンパ節の腫脹が長引きます。確定診断はリンパ節生検で行いますが、ツベルクリン反応で結核の反応も確認します。

亜急性(組織球性)壊死性リンパ節炎
1972年にわが国で初めて報告された疾患概念です。比較的若い女性に多いです。ウイルスや細菌の感染、あるいは薬物刺激に対する反応などと考えられていますが、はっきりした原因はまだわかっていません。対処療法により、1-3ヶ月で治癒します。典型的な症状:扁桃炎をともなう上気道症状が起こり、それと前後して頚部リンパ節が腫大し、白血球が減少します。上気道症状発現の前後から38℃台の不規則な発熱をみることがあり、これが約 1週間続きます。1ヵ月近く下熱しない例もあります。多くは片側の側頚部の皮下リンパ節が小指頭大に腫大し、その大半に自発痛と触痛があります。少数の例に顎下部、腋窩部、そけい部のリンパ節も腫大します。腫大したリンパ節は一つ一つ分離できて可動性ですが、炎症が顕著な場合には、互いに癒着していることがあります。まれに一過性に風疹様または薬疹様の皮膚発疹、肝・脾腫、多関節痛がみられます。血液検査では白血球数が4000以下に減少し、この状態が数日から数十日にわたって続き、症状が回復するにしたがって正常域の数に近づきます。ときとして血小板も減少し、汎血球減少をきたす例もあります。

猫ひっかき病:猫にひっかかれるか、接触すると、その部位に発疹を生じ、近くのリンパ節が腫れて痛むことがあります。バルトネラという細菌の感染により、腫れは数ヶ月続きますが自然に治まります。抗生剤はほとんど効きません。

頭頚部腫瘍、原発巣不明転移、悪性リンパ腫・白血病などの悪性腫瘍:リンパ節の腫れが親指の頭大を超えて確実に大きくなる傾向があり、硬く癒着し、圧痛が軽度で、連動して他のリンパ節も腫れてきた場合には悪性腫瘍も考えます。抗生剤は全く効果がなく、血液検査では、炎症反応CRPが陰性かあまり高くなく、LDHという酵素が上昇することが多いです。まず原発巣を精査します。もし原発巣が特定できない場合にはリンパ節生検を行います。

⑦その他の感染症:伝染性単核症(EBウイルス)、川崎病、風疹、放線菌、性行為感染症など

⑧リンパ節の腫れと間違いやすいもの
耳下腺・顎下腺、甲状腺:おたふくかぜ、耳下腺・顎下腺・甲状腺腫瘍、放線菌耳下腺炎、反復性顎下腺炎(唾
石)、ガマ腫、リンパ管腫、急性甲状腺炎、梨状陥凹瘻
(左側)、亜急性甲状腺炎
蜂窩織炎(皮下の化膿)、?(せつ)、粉瘤(皮膚嚢腫)(黒点状開口部)、皮様嚢腫・類皮様嚢腫、丹毒、外歯瘻
頚部良性腫瘍:正中頚嚢胞、側頚嚢胞、血管腫、神経鞘腫、繊維腫、脂肪腫など

頚部のリンパ節
 頭頸部や頭皮に炎症が起こると、その下流にあたるリンパ節が腫れてきます。その後、ほとんどのリンパ節からのリンパを2次的に受けている深頚部リンパ節が腫れてきます。最終的に頭頚部のリンパは頚リンパ本幹に集まり、心臓に帰っていきます。

1. 後頭リンパ節:頭頂部や後頭部表層のリンパが流入します。後頭部に湿疹や炎症が生じた場合に、この場所のリンパ節が腫れます。ここからのリンパは浅頚リンパ節に流れ、そこから深頚リンパ節へ注ぎます。

2. 耳介後(乳突)リンパ節:耳介の真後ろにある乳様突起という耳の骨付近のリンパ節群で、側頭部からのリンパを集め、浅頚リンパ節に注ぎます。小児では特別な炎症が無くても目立つことがありますが、自発痛があれば感染の可能性もあります。

3. 耳介前(耳下腺)リンパ節:耳下腺部の表層に位置するリンパ節群で、前頭部や顔面上部のリンパを受け、顎下リンパ節や深頚リンパ節へ注ぎます。この部分のリンパ節は外耳炎・耳介湿疹、ニキビやアトピー性皮膚炎などで顔に炎症がある場合に腫れます。

4. 頬リンパ節

5. 頤(おとがい)下リンパ節:下アゴの直下にあるリンパ節群で、下口唇周囲の炎症で腫れることが多く、比較的浅い部分に触ることが出来ます。

6. 顎下リンパ節:顎下腺の近くにあるリンパ節群で、顔面・口腔・鼻腔・副鼻腔・舌・顎・歯・口唇などのリンパを集め、深頚リンパ節に注ぎます。虫歯や歯肉炎、舌下腺炎などの口腔の炎症や顎下腺の炎症で腫れます。舌癌や口腔癌では初期にこの部にリンパ節転移します。

7. 咽頭後壁リンパ節:口内の奥に赤くブツブツ見えるリンパ節群です。鼻腔・副鼻腔・鼓室・耳管・扁桃などからのリンパを受け、深頚リンパ節に注ぎます。乳幼児ではこの部分に膿が溜まり咽後膿瘍を形成して呼吸困難などの重篤な症状を出すことがあります。

8. 浅頸リンパ節:胸鎖乳突筋よりも浅側であり、外頚静脈に沿って流れるリンパ節群。頭部側面のリンパに加え、後頭リンパ節・耳介後リンパ節からのリンパを受けて深頚リンパ節に注ぎます。

9. 深頸リンパ節:胸鎖乳突筋の深側にあり、内頚静脈に沿うリンパ節群で、流入領域から上・中・下に分けられます。頭頚部のすべてのリンパを集めて頚リンパ本幹に注ぐため、頭頚部領域で最も重要なリンパ節群です。特に左の鎖骨上リンパ節には、腹部の癌が胸管から逆行性に転移することがあります(ウイルヒョウのリンパ節転移)。

10. 喉頭前リンパ節、気管前傍リンパ節:喉頭、気管、甲状腺などからリンパを受け、深頚リンパ節に注ぎます。

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