声帯の動きが悪くなる原因も様々です。ウイルス性の風邪からの一時的なものが最も多いですが、回復しない場合や、時には腫瘍が隠れていて症状が進行する場合もあります。当院では経過を診ながら、必要に応じて精査してゆきます。
声帯麻痺の原因
体質的な喉頭斜位による可動性制限
風邪による喉頭炎の部分的な腫脹で声帯の動きが悪くなる
反回神経麻痺;反回神経は脳から伸びる迷走神経の枝です。肺の内側の縦隔まで下行して走行した後、反回して喉頭筋を動かします。
外傷性
挿管麻酔後、術後の障害;一時的なリンパのうっ滞、披裂軟骨の脱臼
全身性神経疾患;両側、進行性が多い。パーキンソン病などの初期
特発性;原因不明
反回神経麻痺の原因;
一般的なウイルスによる急性神経炎
単純ヘルペスウイルスの再活性による急性神経炎
(ラムゼイ)ハント症候群;帯状疱疹ウイルスの再活性、難治性の傾向あり
甲状腺腫瘍、肺癌、食道癌、縦隔腫瘍
乳癌などの縦隔リンパ節転移
弓部大動脈瘤などの術後
症 状:
片側の傍正中位、開大位;声がれ、発声時間の短縮
両側開大位;誤嚥
両側正中位;呼吸困難
検 査:
喉頭ファイバー
ヘルペスの抗体検査;帯状疱疹ヘルペス CF抗体価16倍以上または、IgG抗体の1週間隔のペア検査での抗体価上昇で、帯状疱疹の再活性を疑う
CT、MRI;頭部〜胸部
治 療:
急性期
末梢循環改善剤
ビタミンB12、アデノシン酸
消炎鎮痛解熱剤
ステロイド(吸入、経口);抗炎症、神経賦活作用
抗ヘルペスウイルス薬;発症3日目以内に開始して5〜7日間服薬
麻痺固定時;発症後6ヶ月以降で手術も考慮
声帯内注入術 甲状軟骨形成術T型 披裂軟骨内転術