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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科専門クリニックです

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

鼻茸(はなたけ)(鼻ポリープ) 

 鼻茸は別名、鼻ポリープ(ラテン語でくらげ、軟体動物を意味する)とも呼ばれ、鼻の中にくらげのようなやわらかいかたまりができる病気です。大きさは、小指の先から親指の先くらいですが、中には鶏卵大になるものもあり、鼻腔内にぶらさがるように発生していきます。
 鼻茸の多くは炎症性やアレルギー性のもので、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の増悪時に出る分泌物の刺激のために、副鼻腔や鼻の中の粘膜の表面がむくんだように腫れあがって生じてきます。好酸球性と呼ばれる今のアレルギー学ではまだ充分に解明されていない過敏症の機序によって発生するものはその程度が強いことが多く、原因や有効な治療法の解明が進められつつある段階です。
 症状は鼻づまりが主体です。高度な場合は鼻腔に充満するため、鼻づまりも極めて強くなり、嗅覚が低下します。二次的に頭痛や耳閉感、集中力不足、口呼吸によるいびき、口内乾燥、気管支などの下気道の障害(副鼻腔気管支症候群)も起こります。一旦鼻茸が形成されると、空気の通りが悪くなる→分泌物が貯留しやすくなる→ますます鼻茸が大きくなる の悪循環におちいりやすくなります。鼻炎・副鼻腔炎の治療で鼻茸はある程度小さくなりますが、完全に消失させることは難しい場合が多いです。その場合は、手術的な摘除も考えます。単発性の場合は、鼻の穴から鼻茸の基部にワイヤーをかけて挫滅切除します。しかし、基部の粘膜が腫脹しやすい状態は残るため、鼻炎や副鼻腔炎の治療を継続しないと再び鼻茸が出現することも多いです。

<分 類>
部位と個数より 
単発性
多発性 
後鼻孔ポリープ

原因による分類 
炎症性細菌性副鼻腔炎から続発
アレルギー性:ハウスダストアレルギーや花粉症などの抗体を持つアレルギー性鼻炎から続発
好酸球性:気管支喘息やピリン不耐症(痛み止め、熱さまし、市販の風邪薬への過敏症)の合併や高齢期での増悪に注意します。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)では全身の血管炎が引き起 こされます。検査:MPO-ANCA
出血性:ごくまれ。血管造影検査などの後に慎重に摘出します。
腫瘍(良性・悪性):ごくまれ。痛みやしびれ、鼻血の頻度が進行性の場合には注意します。

<検査と治療>
ステップ1:副鼻腔レントゲン撮影、細菌培養検査により炎症を確認。血液検査によりほこりや花粉などに対する抗体を持つアレルギーや好酸球性過敏症を確認。検査結果を踏まえて、鼻炎や副鼻腔炎の原因治療を行う。特に吸入ステロイドによる点鼻やロイコトリエン受容体拮抗薬、Th2サイトカイン阻害薬などの内服を試みる。

ステップ2:鼻茸への局所ステロイド注入。高血圧、糖尿病、骨粗しょう症、うつ病などでは控えます。

ステップ3:当院での鼻茸摘出術
 単発で出血性でない場合は、当院診察時間内にワイヤーによる切除を行います。多発性でも各鼻茸が孤立性の場合は、複数回に分けて切除します。後鼻孔ポリープはワイヤーがかかる範囲で摘除します。当日は、熱いお風呂や飲酒などの顔を充血させることは控えます。鼻血がにじむ場合には、適宜血管収縮剤を点鼻します。多発性かつ広範囲に及ぶ場合は、水曜日午後の手術日に予約の上、マイクロデブリッダー(鼻内内視鏡手術用シェーバー)と呼ばれる吸引装置で鼻茸を吸引除去します。摘出した鼻茸は成因を確認するために病理組織検査に提出。

ステップ4:関連病院での鼻茸摘出術、内視鏡下副鼻腔手術 
 CTないしはMRIにて副鼻腔炎との関連性を確認。摘出困難な後鼻孔ポリープや出血性鼻茸も含め、精査と内視鏡手術を目的として総合病院耳鼻科へ紹介致します。手術の術式によりますが、多くは1週間程度の入院が必要となります。

* ごくまれに悪性も含めた腫瘍の可能性もあり、その際は頭頸部腫瘍としての精密検査を優先します。
* 好酸球副鼻腔炎にともなう鼻茸は、広範囲に摘除しても再発する可能性が高いです。副鼻腔炎化したものは難病医療助成制度の対象疾患で、市役所に申請すれば、”医療費自己負担2割に減額” ”所得に応じた月負担額の上限設定” などの優遇があります。