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溶連菌感染症

溶連菌感染症
●溶連菌とは:溶血性連鎖球菌の略で、多彩な症状を呈する細菌感染症です。A群溶連菌による感染症には、急性咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱、丹毒、伝染性膿痂疹、中耳炎などの多彩な病状が見られます。C・G群が上気道炎の原因となるほか、B群菌は新生児期の敗血症・髄膜炎の原因菌となります。

●A群溶連菌による病態
咽頭扁桃炎:のどが真っ赤になり、咽頭痛・嚥下痛を生じることが特徴的です。突然の発熱(38℃程度)、全身倦怠感、頭痛、頸部リンパ節の腫脹、苺舌(舌が赤くなってブツブツが目立つ)、発疹などを伴うこともあります。初期に中毒症状による吐き気や腹痛をきたすこともありますが下痢はまれです。また回復期にからだや手足の皮が薄く剥けることがあります。以前は熱・咽頭痛に加えて全身の発疹を伴うようなものを猩紅熱(しょうこうねつ)と呼んでいました。
➁ 溶連菌による皮膚感染症:一般的にはブドウ球菌と同じように膿痂疹(とびひ)を呈することが最も多いものですが、皮膚のより深い感染になると蜂巣炎となり、さらに進んでリンパ管炎を伴うものを丹毒と呼びます。   
*A群溶連菌感染症は母親からの免疫の残る生後6ヶ月未満ではまれで、1才未満は症状が軽いです。咽頭扁桃炎は一年を通じて見られますが冬~春に3~15歳で多くみられます。膿痂疹は夏に6歳以下で多くみられます。潜伏期は2~5日です。咳やくしゃみで飛び散った溶連菌を吸い込むことにより飛沫感染しますので、集団発生することがあります。

●合併症
(1)直接的な合併症:扁桃周囲炎・副鼻腔炎・中耳炎・リンパ節炎など
(2)急性腎炎:溶連菌による免疫複合体が原因で腎臓に炎症が起こります。溶連菌感染後、3~4週後に発生することが多いです。むくむ・尿が出にくい・血尿や蛋白尿が出る・血圧が上がるなどの急性腎不全の状態になります。予後は良好で1~2年のうちに90%以上は治癒しますが、入院や安静、食事制限、体育の見学などが必要になります。
(3)リウマチ熱:感染後に、発熱や身体の各部の炎症(多関節炎、不随意運動、皮下結節、心炎、心弁膜症など)が認められます。現代の日本ではほとんど見かけません
(4)IgA血管炎(ヘノッホ-シェーンライン紫斑病):感染後に、出血斑などの発疹・激しい腹痛・関節痛・浮腫を認めます。引き続き紫斑病性腎炎を起こすこともあります。

●診断:迅速診断キットでは約5分で判定可能。ただし約3%は陽性化しません。死菌や他の常在性の連鎖球菌にも反応します。特に検査前に抗生物質を飲んでいると判定が困難です。

●治療:咽頭炎は、抗生物質を2~3日飲めば症状は劇的に治まります。ただし発疹や皮膚の痒みは1週間、リンパ節の腫れは数週間続く場合があります。腎炎などの合併症を防ぐために5~14日間抗生物質を飲むことが勧められています。当院では、小児はペニシリン系10日間、セフェム系5日間(米国治療指針)、成人は5日間服薬します。小児では腎炎の否定のために発症3~4週間後の検尿を推奨しています。
*尿検査は当院で行っています。尿検査だけ希望する方は優先的に診察します。受付にてお伝え下さい。

●除菌不良:3週間以内の短期間で再発する場合は ⑴服薬が不十分 ⑵集団内のピンポン感染 ⑶溶連菌がバイオフィルム形成、細胞内感染 ⑷モラクセラ菌の混合感染でペニシリンの効果減弱などの原因が考えられます。
*日本では4~5種類のタイプがあり、小学生頃までに複数回感染します。
*発展途上国では15~20種類のタイプがあります。
除菌不良や、再燃を繰返す健康保菌者には、セフェム系やクラバモックス、ダラシンの10日間服薬やマクロライド系1ヶ月間服薬を試みます。
*マクロライド系への耐性菌やペニシリン系への抵抗菌が増えています。

●登園・登校:服用開始後約24時間で他の人への感染力は無くなります。治療を開始後1日以上経過して全身状態が良ければ、服薬の上での登園・登校は可能です。 学童は学校伝染病で公欠扱いになります。

●家族の予防について:家族が発症した場合、同居する幼児に3日間予防投薬を行うこともあります。
*兄弟で50%、親で20%が感染。感染者の50~80%が発病するという報告があります。
*予防投薬せずに、発症を確認してからの治療で良しとの意見もあります。

☆ 注意点 ☆ 抗生物質による治療を開始すると2~3日で症状はなくなり、すっかり治ったように見えますが、遅発性に免疫反応が起こる場合がありますので、指示どおりに服薬することが大切です。
 ただし近年、症状消退で服薬休止、尿検査は症状発現時のみで良いとの意見もあります。

《トピックス》劇症型溶血性レンサ球菌感染症(streptococcal toxic shock syndrome STSS):
 30歳以上の成人、特に高齢者が主に皮膚の傷からの感染によって(皮膚の傷がはっきりしない例も30%あるとされます)、高熱、手足の壊死から敗血症に陥り意識障害、多臓器不全を呈します。発病から病状の進行が急速に進み発症後1~3日で重篤化します。
 82年に米国、92年に日本で初めて報告され、死亡率が30%に達する重篤な病態で「人食いバクテリア」とも呼ばれます。日本では2015、2024年に多数に発生し、愛媛県でも報告されています。B群、C群、G群溶連菌も病原体になりますが、2024年にはA群(GAS)が60%以上と増加しています。

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