口腔・咽喉頭は、鼻から肺への呼吸器と口から胃への消化管の交差地点ですので、その局所の状態だけでなく呼吸器全体、消化器全体の影響にも注意します。また、脳神経、頚椎からの病気にも注意します。急性の状態では感染症やストレス性の血行障害による粘膜の障害を、慢性では栄養障害、アレルギー、自己免疫異常、良性腫瘍などに注意して診察します。癌検診としてみれば、口腔・咽喉頭・頚部は視診、触診でおおよその判断はできますので、頭蓋内や胸腹部のように早期から積極的にCT、MRI、超音波などの画像診断にたよる部位ではありません。しかし、進行性の痛み・しびれ、出血がひどくなる時は、再診による再確認や精密検査が必要となります。
主な疾患:( )内に注意すべき原因を挙げています。
口内炎⇒ アフタ性(感冒後 ストレス 打撲 歯並びの不適合) びらん性 潰瘍性(腫瘍 感染)
舌炎⇒ 萎縮性 味覚低下 舌痛症 [ストレス性 薬剤性 亜鉛欠乏 鉄欠乏 VB3欠乏 VB12欠乏(ハンター舌炎)]
舌苔 黒毛舌 溝状舌 地図状舌 菱形舌炎 色素沈着(メラニンー生理的など) 色素性母斑(悪性注意)
扁平苔癬(タイセン)(代謝障害 金属アレルギー 喫煙)
白板症/紅板症(前癌状態)
*舌や頬粘膜は10才代3日、60才代10日のサイクルで再生を繰り返しています。 ストレス性の血行障害や胃腸障害、喫煙などで粘膜の萎縮や過増殖が惹き起こされます。
口腔(食道)カンジダ症/鵞口瘡 舌真菌症(カビ)
フォアダイス斑点(脂腺過増殖)
唾液分泌機能低下(加齢、糖尿病、薬剤性など) シェーグレン症候群(自己免疫異常)
口腔アレルギー症候群/クインケ浮腫(呼吸困難)
「有郭乳頭(味蕾)」 口蓋隆起/下顎骨隆起」
外傷(熱い食事による熱傷 固い食事 薬物)
(類)天疱瘡(粘膜の自己免疫異常)
口臭(揮発性硫化化合物)
鼻炎/副鼻腔炎 副鼻腔気管支症候群 <後鼻漏> トーンワルト病 上咽頭炎(Bスポット→頭痛)
咽喉頭炎 扁桃炎(膿栓 埋没型扁桃 舌根扁桃肥大) アレルギー性喉頭炎(披裂部浮腫)
耳下腺炎 顎下腺炎/唾石/ガマ腫 嚢胞 [扁桃 喉頭蓋 舌下腺 小唾液腺]
齲歯 歯肉炎(埋没知歯) 歯周病 根尖病巣/内歯瘻
蜂窩織炎(嫌気性菌) 咬筋筋炎(放線菌) 肉芽腫 結核
性行為感染症(クラミジア 梅毒 淋疾 AIDS)
ヘルペスウイルス(単純疱疹 / 帯状疱疹→ハント症候群) 反回神経麻痺(声帯麻痺)
咽喉頭異常感症 ヒステリー球/喉頭心身症(自律神経失調/更年期障害)
狭心症 不整脈→のどの閉塞感
舌咽神経痛 過長茎状突起 顎関節症
甲状腺腫(甲状腺機能亢進/低下)
頚肩腕症候群 頚椎ヘルニア 前縦靱帯骨化症
逆流性食道炎/咽喉頭酸逆流症 好酸球性食道炎 胃炎/機能性胃腸障害
プランマービンソン症候群/食道ウェブ(鉄欠乏) 下咽頭梨状窩瘻(左側)
嚥下機能低下(高齢者 誤嚥→肺炎) 異物(扁桃・咽頭・食道)(魚骨)
悪性腫瘍 舌癌 口腔粘膜癌 耳下腺癌 顎下腺癌 扁桃癌<高理リスク乳頭腫ウイルス16型> 喉頭癌 上・中・下咽頭癌 頚部食道癌 甲状腺癌 頚部転移
良性腫瘍 神経原性 血管性 嚢胞性 繊維性 骨性 乳頭腫症<低リスク乳頭腫ウイルス6.11型>
リンパ節 頭皮,顔面,口腔,咽喉頭よりの感染 血液疾患 癌転移 結核
主な検査:以下の項目が疑われれば必要に応じて行います
感染 ⇒ 細菌培養 真菌鏡検 クラミジア同定
炎症 ⇒ 白血球数 CRP(炎症反応)
ASK(扁桃炎に対する溶連菌抗体)
栄養障害 ⇒ 血清鉄 亜鉛 ビタミンB12
自己免疫異常 ⇒ 抗核抗体(膠原病)
SS-A・SS-B(シェーグレン病)
アレルギー ⇒ アレルギー検査
口臭 ⇒ 口臭測定
唾液分泌異常 ⇒ 唾液分泌機能検査 尿糖・血糖
その他の機能異常 ⇒ 嚥下内視鏡 肝機能
甲状腺機能 など
腫瘍 ⇒ 喉頭・食道ファイバー 頭頚部X線
下咽頭・食道透視 細胞診 組織診断 CT MRI エコー