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声の障害をきたす疾患について

声の障害をきたす疾患について
 声帯は長さ10mm、幅3mmの粘膜に覆われた筋肉の帯です。人体の中で最も高速振動しています。ミリ以下の微小な障害でも声が痛みます。
 <声帯を痛める要因>
  ・乾燥した空気:湿度40%以下 鼻詰まりによる口呼吸
  ・たばこの煙
  ・声の出し過ぎ:教師、歌手、カラオケ、スポーツ選手
 <声がれの原因>
  ・かぜなどの炎症で声帯が腫れる
  ・声の出し過ぎによる声帯の変化
  ・反回神経(声帯の動きをつかさどる)の麻痺
  ・良性腫瘍、悪性腫湯、加齢による声帯筋の萎縮 など

<主な疾患>
急性喉頭炎:病原菌;インフルエンザ・パラインフルエンザ・RS・ヒトメタニューモ、アデノなどのウイルス、マイコプラズマ・クラミジア、インフルエンザ桿菌、百日咳菌など
 声門下喉頭炎(クループ):1~4才児、パラインフルエンザウイルスが多い
 急性喉頭蓋炎:緊急入院も考慮! インフルエンザ桿菌で重症化
慢性喉頭炎:舌根扁桃炎、喫煙、アレルギー、副鼻腔炎による後鼻漏、咽喉頭酸逆流(逆流性食道炎)

声帯溝症(声帯萎縮):慢性炎症、加齢 *コラーゲン注入で中期効果
声帯結節:声帯振動で最も刺激される声帯前方1/3の部分に、多くは両側性に固い肥厚部が出来ます。*学童結節は硬くならないことが多い
声帯ポリープ:白色―赤色、有茎性―広基性、多発性
ポリープ様声帯:声帯全体がポリープ状に腫れる、喫煙が大多数
喉頭肉芽腫:慢性炎症、咽喉頭酸逆流(逆流性食道炎)
喉頭乳頭腫:乳頭腫ウイルス感染、徐々に増大、レーザー焼灼
喉頭結核
声帯嚢胞(のうほう)
声帯出血:生理に連動

白板症  *前癌状態が疑われれば経過観察が必要
喉頭癌:喫煙者に多い
下咽頭癌、頚部食道癌:喫煙者、過量飲酒者に多い
甲状腺癌:反回神経麻痺を続発

反回神経麻痺(声帯麻痺):最も多い原因は一般的なウイルス感染だが、帯状疱疹ヘルペスによるハント症候群では回復し難い。回復傾向の無い場合は、頭部~胸部に腫瘍性病変の精密検査が必要
痙攣性発声障害(喉頭ジズキネジア
):発声する際に無意識に声帯が異常な動きをする病気。声帯の動く方向で内転型95%、外転型、混合型に分かれる。20~40才女性に多い。他の発声障害と異なり発声練習(音声治療)で改善しないことが多いという特徴がある。声帯周囲にボツリヌス毒素を注入する注射療法(ボトックス 2018年保険適応)もあるが効果の持続は3~4ヶ月なので定期的に注射する必要あり。 甲状軟骨形成術Ⅱ型(チタンプレート)
音声振戦

甲状腺機能障害(亢進―バセドウ病、低下―橋本病)
心因性発声障害:思春期の女性に多い。難治な場合には精神科的アプローチを必要とします。
変声(声変わり):男児、第二次性徴期の11~14才で始まり、13~18ヶ月続く
仮声帯発声
喉頭斜位
Ω型喉頭蓋


<主な治療法>
トラネキサム酸(トランサミン):血管の出血傾向を軽減します。
消炎鎮痛剤:ロキソニン、ブルフェン、ロルカム、ハイペン、ソランタールなど
抗生物質:細菌やマイコプラズマによる感染に用います
経口ステロイド:声帯の高度腫脹にごく短期間用います。
吸入ステロイド:噴霧式の喘息治療用の吸入薬。喉頭粘膜表層の炎症が4日程度で軽減してきます。重症高血圧・糖尿病では使用しません。長期服薬で口腔カンジダ(かび)症の発現に注意します。
PPI(プロトンポンプインヒビター):作用の強い胃酸止め。逆流性食道炎では、青壮年期は食後に、高齢者は睡眠中に胃酸が逆流する傾向があります。PPIテスト(1週間服薬して症状が改善するかをみる診断的治療)も試みます。
うがい薬:抗炎症作用のあるアズレン
精神安定剤:心因性発生障害や痙攣性発声障害で試みます。
音声治療、音声訓練:深いゆっくりとした呼吸で、硬起声というのどを絞める発声をしないよう心掛けて下さい。横隔膜を使う感じで「ハーッ」という呼吸法で発声してみて下さい。

手術

 ラリンゴマイクロサージェリー(喉頭微細術)
:声帯ポリープなどの腫瘍の摘出や組織検査の為に行なう喉頭の手術です。全身麻酔の上、口の中から細いメスやピンセット(鉗子)を入れて顕微鏡下に処置します。傷口が落ち着くまでの術後1週間の完全沈黙が求められるため、8日程度の入院が必要です。入院設備のある耳鼻咽喉科へ紹介します。

 音声機能外科(喉頭枠組み手術、音声機能改善手術):声帯の動きや振動が悪くなって声がれ(嗄声させい)を来す病気では、声帯に直接侵襲を与えずに、声帯を取り囲む枠組みの甲状軟骨(のどぼとけの軟骨)の形を変えたり、声帯の後方部が付着する披裂軟骨の位置を変えることによって、間接的に声帯の緊張や位置を変える手術を行います。喉頭枠組み手術は1970年代から京都大学の一色教授によって、世界的にも先進的に研究開発が進められました。 
★喉頭枠組み手術は、良い声の獲得を目指します。声は実際に発声した状態を見ないと評価できないことから、この手術は基本的に局所麻酔下で、術中に患者さんに実際に発声してもらいながら調節をしていきます。喉頭枠組み手術は大きく分けて、甲状軟骨形成術4タイプと披裂軟骨内転術があります。
 甲状軟骨形成術Ⅰ型:片側声帯麻痺や声帯萎縮で発声時に声門間隙を生じる場合に行います。患側声帯の裏側に位置する甲状軟骨に小さな穴を開け(開窓)てインプラント素材を充てんすることにより患側声帯を内方に移動させます。
 甲状軟骨形成術Ⅱ型:内転型痙攣性発声障害で声門間隙が狭くなることが続く場合に行います。痙攣性発声障害は、発声する際に無意識に声帯が異常な動きをする病気です。声帯の動く方向で内転型95%、外転型、混合型に分かれます。他の発声障害と異なり発声練習(音声治療)で改善しないことが多いという特徴があります。声帯周囲にボツリヌス毒素を注入する注射療法もありますが効果の持続は3~4ヶ月なので定期的に注射する必要があります。Ⅱ型手術では、甲状軟骨を正中で離断して外側に移動させることで両側の声帯を外側に牽引させます。離断した間隙にチタンブリッジを挿入固定します。チタンブリッジは本邦で開発されました。
 甲状軟骨形成術Ⅲ型:声帯の過緊張によって息が漏れる気息性嗄声に行います。甲状軟骨の前後径を縮めて声帯を弛緩させることによって声を低くします。
 甲状軟骨形成術Ⅳ型:男性的な野太い声を女性的な高い声に変える目的で行います。他の病気による蛋白同化ホルモンの投与で男性化音声となった女性や、性同一障害(GID)で声を女性化したい患者さんが対象になります。輪状軟骨と甲状軟骨を接近させて声帯の緊張を高めることによって話声位を上昇させます。Ⅳ型手術以外にも、直達鏡下に声帯内筋切断、声帯縫縮、前連合部軟骨前方移動などの喉頭内腔からアプローチする手術もあります。
 披裂軟骨内転術:Ⅰ型手術と同様に声門間隙が狭くなっている患者で、麻痺声帯の萎縮や筋緊張の低下で発声に必要な声門閉鎖を得られない患者に行います。披裂軟骨の筋突起に糸をかけて披裂軟骨自体を内転させることによって声帯を正中に移動して固定させます。
 音声機能外科の研究も進んでいます。反回神経麻痺で声帯を動かす神経が麻痺した症例に、神経終末が含まれる胸骨舌骨筋を喉頭内の甲状披裂筋につなぐ神経筋皮弁移植術が大学病院レベルで行われています。海外では、甲状軟骨を切開せずにガイドワイヤーで披裂軟骨に針をかけるsling arytenoid adductionという手術法の報告もあります。患部を切除する侵襲的手術では手術の成否が客観化されますが、音声機能手術は”良い声”になったという患者からみて主観的な要素が多い手術です。客観的な手術後の声の評価法の確立が待たれます。う喉頭の手術です。全身麻酔の上、口の中から細いメスやピンセット(鉗子)を入れて顕微鏡下に処置します。傷口が落ち着くまでの術後1週間の完全沈黙が求められるため、8日程度の入院が必要です。入院設備のある耳鼻咽喉科へ紹介します。

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