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味覚障害と舌萎縮・舌痛症

味覚障害と舌萎縮・舌痛症
 栄養障害や血行の障害で舌が委縮すると、味を感じる味蕾が減少し味覚障害が、知覚神経が過敏になることにより舌痛症が引き起こされます。味覚障害は二次的な原因まで含めればその半数が亜鉛欠乏で、味細胞の新生が障害され引き起こされます。亜鉛欠乏は、亜鉛の摂取不足、服用している薬と亜鉛が結合して体外に排出されるキレート作用、鼻炎による嗅覚減退からの風味障害、風邪やストレスによる血行障害からの粘膜障害、鉄欠乏、ビタミンB12欠乏などで起こります。

■舌萎縮の原因と治療
 亜鉛欠乏
 鉄欠乏:組織鉄の欠乏で粘膜萎縮、食道粘膜の萎縮でweb(ヒダ)形成 慢性胃炎で鉄吸収低下
 ビタミンB12欠乏:悪性貧血(Hunter舌炎)、壮年性白髪、高齢者に多い、慢性胃炎・胃切除でVitB12吸収障害、菜食主義、慢性アルコール中毒 大球性貧血 MCV>100 網赤血球増加なし メチコバール筋肉注射隔日2~3週
 葉酸欠乏:フォリアミン1錠/週
 ストレス性、扁平苔癬、歯科金属アレルギー
 胃炎:機能性胃腸障害、逆流性食道炎
 薬剤性:
 風味障害:感冒後の鼻呼吸障害など

■味覚障害の分類
味蕾の障害
 特発性:亜鉛80μg/dl以上
 亜鉛欠乏:亜鉛値が80μg/dl未満
 薬剤:細胞障害性、粘膜障害、亜鉛キレート作用(200種類以上で記載あり)
 感冒後:嗅覚障害の合併が多い
 全身疾患:腎不全(人工透析含む)、糖尿病、胃腸疾患、肝疾患、悪性腫瘍、消化器術後 *80%以上の患者が亜鉛不足
 舌粘膜障害:熱傷、舌炎、口腔真菌症、ベーチェット病(口内再発性アフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、眼皮膚症状、HLA-B51A26 CRP陽性)
 加齢:亜鉛吸収の低下

唾液減少(ドライマウス)
  加齢性
  自己免疫疾患:シェーグレン病(ドライアイ、SS-ASS-B陽性)
  薬剤性:抗ヒスタミン剤、抗コリン剤、抗精神薬

末梢神経障害
 特発性:顔面神経(鼓索神経)、舌咽神経、迷走神経障害
 医原性:扁桃摘出術、中耳手術、抜歯、舌咽神経切断など
 末梢神経疾患:顔面神経麻痺、ギラン・バレー症候群など
 薬剤性:

中枢神経障害:脳実質疾患、頭部外傷、認知機能低下、脳血管障害、加齢性 *味覚検査にて検知閾値と認知閾値の乖離、片側性味覚低下

心因性:心身症(ストレス性)、うつ病、統合失調症など

■亜鉛の主な働き
 味覚・嗅覚・視覚、300種以上の酵素活性の補因子、免疫機能、細胞分裂、創傷治癒、胃腸機能、精神機能、精子形成、アルコール分解、小児の成長、線維化抑制、解毒作用など

■亜鉛補充療法を検討する疾患
 耳鼻科:味覚障害、嗅覚障害、舌痛症
 胃腸:胃潰瘍、クローン病、潰瘍性大腸炎
 肝胆膵:肝炎、慢性膵炎、肝硬変、肝性脳症、Wilson病
 循環器:高血圧、心筋梗塞
 腎:慢性腎不全、腎性貧血
 内分泌膠原病:甲状腺疾患、糖尿病、下垂体疾患、SLE、強皮症など
 皮膚:アトピー性皮膚炎、乾癬など
 眼:眼精疲労、視力低下、視神経炎
 老年性:褥瘡、老年性うつ、食欲低下、感染

■亜鉛欠乏症診断基準  日本臨床栄養学会ミネラル部会2016年
 亜鉛欠乏症:亜鉛 60μg/dL未満
 潜在性亜鉛欠乏症:60~80μg/dL   *血清アルカリフォスファターゼ(ALP)の低値も指標

■食事による亜鉛摂取の問題点
 亜鉛の1日の必要摂取量10mgです。日本食での1日平均摂取量は9mg、さらに若者やダイエット好きな女性は6mg程度しか摂取できていないことから、日本人は亜鉛不足の傾向があります。

■亜鉛補充療法
成人50~100mg/日 小児:体重20kg 未満で25mg/日 体重20kg 以上で50mg/日
プロマック錠75mg(1日2錠で亜鉛含有量34mg/日) ノベルジン錠25mg50mg(1日2錠 薬価高め)
*慢性肝疾患、糖尿病、慢性炎症性腸疾患、腎不全では亜鉛欠乏症状が認められなくても亜鉛投与考慮
*亜鉛投与による副作用:嘔気・腹痛などの消化器症状、血清膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)上昇、銅欠乏による貧血・白血球減少、鉄欠乏性貧血。亜鉛投与中は3ヶ月/回、血清亜鉛(鉄、銅)を測定。血清亜鉛250μg/dL 以上で減量。銅や鉄の欠乏が見られれば亜鉛投与の減量中止または銅や鉄の補充を行う。

 漢方薬:補中益気湯、八味地黄丸 五苓散など

■検査
血液検査:一般血液、CRP、血清亜鉛、血清鉄
血清ビタミンB12、抗核抗体、葉酸 など

唾液分泌機能検査:ガムテスト 正常値10ml以上


Q: 極端な辛口やマヨネーズを好むなど最近の若者の味覚に変化が生じているのではないか。また、極端な偏食によって、最近、味覚障害が増えている、というようなことがないか?
A: 味覚は主に舌の味蕾(みらい)という味を感じる細胞が集まった部分で感じますが、この味蕾の機能が低下すると味覚異常が惹き起こされます。以前より、薬剤の長期服用や、胃、肝臓の異常、糖尿病などの全身疾患などで惹き起こされることは判っていましたが、最近はダイエットや食生活の乱れた若者に増えているといわれています。最近の研究では、微量元素の一つである亜鉛の欠乏で味覚異常が惹き起こされる事が注目されています。亜鉛は体内に微量しかないミネラルですが、これが不足すると味覚を感じる細胞の新陳代謝が阻害されて味覚の感度が悪くなります。亜鉛の1日に必要な摂取量は成人で10mgですが、日本人の一般的な献立では9mg、若い女性では6.5mgしか摂っていないとの報告もあります。また、加工食品に含まれる品質改善剤のキレート剤は体内で亜鉛の吸収を阻害することから亜鉛の欠乏を助長します。このようなことから、コンビニ弁当などの保存性の加工食品を多く摂るような若者の食文化の変化は、亜鉛欠乏という観点からも味覚障害の増加を伺わせます。さらに、からしに含まれるカプサイシンという物質が粘膜を障害するように、激辛食品のブームで味蕾を痛める若者が増えている可能性もあります。(南海放送 なっとくテレビN 取材メモより) 
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