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慢性の痛みと頭頸部疾患

慢性の痛みと頭頸部疾患
 頭頸部領域の急性の痛みは、原因が特定しやすいものの、脳血管障害を中心とした重大な疾患に注意します。反面、慢性的な痛みは原因の特定が難しいことも多く、全身的な病気の部分症状の可能性にも留意して診断を進めます。痛みがどういう時に誘発されるのか?痛みが出現した際に他の随伴症状はないのか?などをご自身でも記憶に留めて、診察時にお伝え下さい。必要に応じて他科専門医と連携します。

頭頸部で注意すべき急性の病態
扁桃周囲炎、咽頭炎、口内炎、口腔潰瘍⇒耳への放散痛 
耳下腺炎、顎下腺炎、唾石⇒食後痛
リンパ節炎、甲状腺炎、中耳炎(乳様突起炎)、外耳炎、副鼻腔炎
ハント症候群⇒耳痛、耳鳴、めまい、顔面神経麻痺(帯状疱疹ヘルペスの内耳での再活性)
片頭痛、群発頭痛、神経痛(三叉神経(顔面)、顔面神経(外耳)、舌咽神経(のど)、大後頭神経)⇒拍動痛 
蜂窩織炎、傍咽頭間隙膿瘍 
脳出血、くも膜下出血⇒劇痛 
髄膜炎⇒後頭部痛、背部痛
緑内障(高眼圧)

頭頸部で注意すべき慢性の病態
悪性腫瘍⇒2週間以上続き徐々に悪化する自発痛、微少出血
抜髄後(神経を抜いた歯)の根尖病巣⇒歯根部の鈍痛 
耳管狭窄⇒耳後部痛 
副鼻腔ブロック、部分的な副鼻腔炎⇒眼周囲痛 
上咽頭炎(トーンワルド孔)、過長茎状突起
ハント症候群、帯状疱疹⇒疱疹後神経痛 
肩こり、顎関節症⇒緊張性頭痛 
慢性硬膜下血腫
肩関節周囲炎(50肩)、頸椎ヘルニア、外傷性頚部症候群(むち打ち症)

全身的な慢性疾患 3ヶ月以上繰返す多発的な痛み
末梢性神経障害性疼痛:帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、三叉神経痛、慢性腰痛、ひざ関節痛などで末梢神経自体の障害から発生する痛み。一般的な鎮痛薬(NSAIDs)の効果が低い場合には、興奮性神経伝達物質の放出を抑制するリリカが有用(ただし肝機能障害に注意)。

繊維筋痛症:女性が8割
 原因;神経伝達物質セロトニンが脳内で過剰に放出、脳の過敏状態が惹き起す疾患のひとつ 
 症状;些細な刺激でも誘発される自発痛、睡眠障害、慢性疲労感、抑うつ状態などの気分障害 
 診断;全身の圧痛点18か所(頭頸部では後頭部、下部顎椎、僧帽筋の6か所が含まれる)中11か所以上で疼痛、血中セロトニン測定
 治療;主に抗うつ薬、抗けいれん薬、リリカを使用

脊椎関節炎:脊椎や大きな関節に炎症が起こり、疼痛やこわばりを惹き起こす。20~30才台に発症。潰瘍性大腸炎や乾癬(皮膚科)、ぶどう膜炎(眼科)など他の臓器と関連する場合もあり。

複合性局所疼痛症候群:骨折、捻挫、打撲などの外傷後に慢性的な腫れや痛みにより、筋肉や関節に障害が起こる。

脳脊髄液減少症:外傷などがきっかけで髄液が脊髄より漏れ出し、低髄液圧になる。

慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎):何らかの感染を繰り返した結果、休息で改善しない強い疲労感が6ヶ月以上続く。原因菌は発見されておらず、疾患概念や有効な治療法は十分に確立されていない。

疼痛性障害:精神的ストレスから惹き起こされた精神障害(身体表現性障害)。精神科的には線維筋痛症と同等のものと考えられている。

リウマチ性多発筋痛症:関節リウマチを代表とする膠原病の1種。

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