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アレルギー性鼻炎の治療あれこれ 手術、注射、漢方、免疫療法

アレルギー性鼻炎の治療あれこれ 手術、注射、漢方、免疫療法
アレルギー性鼻炎(くしゃみ鼻水型、鼻閉型)、鼻過敏症(血管運動性鼻炎)、肥厚性鼻炎に対して、当院では以下の治療法を取り入れています。

1、手術アレルギー反応や過敏症が持続すると鼻の粘膜が徐々に腫れてきます。こうなると、薬が効き難くなり慢性的な鼻づまりや水鼻が続きます。粘膜を瘢痕収縮させるとともに、アレルギーを感じるレセプターの数を減らします。

A、トリクロロ酢酸による化学剤手術
蛋白変性を起こす薬剤を下鼻甲介表面に広く塗ります。薬剤自体は妊婦さんでも使えるような副作用の心配の無いお薬です。
方法 
①粘膜にガーゼを当てて表面麻酔します。
②トリクロロ酢酸を綿棒で塗布します。(所用時間約2分) 
*処置直後10分間ヒリヒリした痛みを、その後30分前後重い痛みを感じます。約7日間ゼリー状の鼻水が出やすくなります。

B、レーザー照射
鼻の入口の最も外界の刺激を受けやすい粘膜にレーザー光をやんわり照射することにより、粘膜のむくみや過敏性を取り除きます。
方法 
①粘膜にガーゼを当てて表面麻酔します。
②炭酸ガスレーザーを照射します。(所用時間約10分) 
*処置当日はくしゃみが出やすいです。約10日間かさぶた様の鼻水が出やすいです。小学生でも施行可能です。

C、高周波電気による粘膜焼灼術
電極を下鼻甲介の粘膜下に刺入し、粘膜の中から固めます。粘膜下層の浮腫が強い場合に有効です。
方法 
①電極を刺入する為に、表面麻酔だけでなく粘膜内への麻酔の注射も行ないます。
②鼻の粘膜の腫れの強い部分を、粘膜の中から高周波電気で収縮させます。
③処置時間は約10分、麻酔注射の時間も含めると約1時間かかります。
*術中チクリとした痛みを感じる事があります。術後に強い痛みはありません。約10日間鼻の入口の奥にかさぶたが付きやすくなります。

<術後の注意事項>
①当日のみ念のため、軽い入浴までとして、飲酒は控えてください。
②かさぶた様の鼻水で鼻づまりが強い場合は、適宜鼻づまり改善用の点鼻薬を使用後、鼻をかんでください。
③翌日(ないし数日後)と2週後に再診して頂きます。
④アレルギー性鼻炎の方はより効果が出るために、粘膜が再生する2週間後までは、アレルギーを感じるレセプターの再増殖抑制の意味で、抗アレルギー剤を持続的に服用することをお奨めします。
<費用>両側でレーザ照射は健康保険3割負担8.730円その他は5.600円(他に診察料、薬剤料が必要です) (2014年2月現在)
<治療成績> 主な英語論文データ (日耳鼻専門医通信より) トリクロル酢酸による化学剤手術:鼻腔通気抵抗による客観的鼻閉改善度 3年後72% CO2レーザー照射:鼻閉に対する自覚的改善度  1年後57~93% 高周波電気による粘膜焼灼術:    〃   術後80~90% 1年後48% 2年後36%
*いずれも鼻粘膜の一部である下鼻甲介のみの処置であり、症状が完全に無くなる訳ではありません。また、アレルギー反応の度合いによりますが、術後、粘膜が徐々にアレルギー反応を惹起する粘膜に戻って行きますので、長期的な改善率は徐々に低下します。

D、後鼻神経切断術:下鼻甲介の奥から後鼻神経が出ています。この神経が刺激されると下鼻甲介から鼻水が出たり、くしゃみが誘発されたりします。この神経を内視鏡下に切断します。術後出血の可能性もあり、短期入院を要する施設が一般的です。手術を取り入れている病院に紹介します。

2、注射と漢方薬
A、ノイロトロピン:抗原誘発時の症状抑制、鼻粘膜副交感神経受容体数の調節、好酸球浸潤抑制など、 アレルギー炎症の抑制作用があります。内服薬の抗ヒスタミン剤との相乗効果を 期待します。症状の強いときに適宜行います。
B、強力ネオミノファーゲンシー:肝臓の働きを整えて、アレルギー反応を出にくくします。 週1回の注射を適宜行います。
C、ゾレア(遺伝子組換え製剤抗IgE抗体):スギ花粉症限定。対象は、既存治療で効果不十分な重症の12才以上でスギIgEがクラス3以上。総IgE量と体重から投与量を設定。2~5月に月1~2回注射。標準的な薬剤費は1回9万3千円×4回(3割自己負担で計11万2千円)
 *長期作用ステロイドは副反応が遷延化する可能性があり原則使用しません。
 *ヒスタグロビンは血液製剤に準じるため使用していません。

C、漢方薬(小青竜湯など):長期服用では変調作用により、休薬後も症状が出にくくなる方もみられます。(体質が全く変わる訳ではありません) 市販薬を購入するよりは健康保険が適応されますいので薬剤費負担が少なくすみます。

3、皮下免疫療法(SCIT)(減感作療法):アレルゲンを注射して過敏性を減少させる治療法です。”原因物質を摂取することによって体が慣れて再調整される”もので機序が厳密に解明されている訳ではありません。ハウスダスト・スギ・カモガヤ・ブタクサ花粉用があります。副反応発現の可能性があることから当院では行こなっていません。腕に抗原エキスを少量注射し、注射後30分院内で様子をみます。2回/週より開始して、1年後には1回/月、2~3年後は1回/2~3月、行います。有効率は約4~7割。一般に治療開始後2ヶ月目頃より症状の改善がみられ、1年後に半数で症状の安定化がみられます。
 副反応は、①局所反応;注射部位が脹れる・痛い・赤くなるなど ②全身反応;非常に稀ですがアナフィラキシーショックと呼ばれる全身反応の起こる可能性があります。注射後30分以内に起こり緊急処置が必要です。体中に蕁麻疹が出るなど全身にアレルギー反応が出た場合も含め、以後の治療は中止となります。
 食物アレルギーでは、1週間程の入院で維持量に持っていく急速減感作療法も行われています。

4、舌下免疫療法(SLIT):抗原を毎日自宅で舌下に含ませて体を慣らす方法です。5才以上65才未満の方、血液検査で抗体の保有を確認できた方が対象者です。当院より耳鼻科基幹病院に紹介の上、導入期の服薬を行い、その後当院にて維持期の投薬を、1日1回、2~3年間行います。1回/1ヶ月の通院が必須です。妊婦、授乳婦、重症気管支喘息・悪性腫瘍・免疫異常の方には行いません。副反応発現の恐れがあるために、緊急搬送先病院を明記した患者携帯カードを常に携帯する必要があります。
 費用:スギ用の薬価は初年度37.000円、次年度以降32.000円程度で自己負担は年間12.000円程度。ダニ用の薬価は72.000円程度で自己負担は年間30.000円程度。その他に、1ヶ月毎に初再診料・管理料・処方料・調剤料、初期の検査料・基幹病院への紹介料などがかかります。
スギ
効果:10%が症状消失、70%が症状軽減、20%が改善なし。
副作用:国内臨床試験アナフィラキシーなどの重大な副反応は報告されていません。13.5%に口内炎、舌下腫脹、口腔内腫脹、咽喉頭掻痒感、耳掻痒感、頭
痛などの副作用が認められています。
 *花粉症シーズンを避けた5~12月上旬に開始します。
  *数回の投与で長期的な症状寛解を目指す治療ワクチンの臨床試験が日本で始まります。
ダニ:コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニの2種のアレルゲン抽出物含有
効果:3ヶ月後より症状軽減、1年後に有意な症状軽減。総合評価で著明改善22%、軽度以上改善58%。1年上の投与で効果が得られなければ継続は慎重に判断します。
副作用:アナフィラキシーなどの重大な副反応の発現の可能性に対して、適切な処置を行うことが求められています。6~7割で口内炎、舌下腫脹、口腔内腫脹、咽喉頭掻痒感、耳掻痒感、頭痛などの副作用が認められています。治療開始初期1ヶ月は特に副作用発現に注意します。

 *スギとダニの舌下免疫療法を同時に行うdual SLITが2019年から行われるようになりました。
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