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もう20年も、それ以上も昔の話。
昼休みの散歩コースは何時も堀の内一周。
途中、市役所前の「八股榎お袖大明神」を祀る「お榎さん(お狸さん)」の御真言
「ナマクサマンダバサラナンカン」
を唱えながら通るのが常であった。
話によれば「お榎さん」は男前が好きで、綺麗な女学生に化けると言う。
ある日、目の前にその綺麗な女学生が現れ、にっこり笑いながら声をかけられた。
松山辺りではあまり見かけん制服で、上品な女学生じゃった。
あまりの突然の事で呆然として何を話したか覚えが無いほどに興奮した・・・「どろんどろん」。
昔、安井産婦人科の先生が化かされて、お産の手伝いをさせられた話は聞いたことはあったが、まさかと思いながら時は過ぎた。
「八股榎お袖狸」の事をもっと詳しく知りたいと思い映像作家で知人の上田雅一氏に相談したところ「いよ狸サロン」を紹介された。
実は三越前の某喫茶店がその連絡事務所で、狸のことなら何でもという狸通の穴倉であった。
松山中学の教師をしていた漱石が東京に居る子規に出した葉書には
「昨夕こんな句が出来ました。
『枯野原 汽車に化けたる 狸あり』
なんだか松山とはおかしな国です。
日々そんな氣がしてなりません。」
東京下谷区上根岸八二番地 正岡常規 様
イヨ 松山市二番町二八番地 愚陀佛庵 夏目金之助
漱石には「おかしな伊予の国」だったようです。
「化けて来し狸と秋を語りけり」 柳原極堂
坊ちゃん列車に化けた毘沙門狸と出会った極堂翁の句ですが、漱石の話はこの事だと察せられます。
蛇足になりますが「愚陀佛庵」は現在、旧久松亭「万翠荘」に在りますが、元の場所への復元運動が始まっています。