<笠置先生>

 そこでいよいよ笠置先生の登場です。
笠置先生はずっと手術が続いていたとのことで
若干窶れた雰囲気でしたが、55歳の割には40代に見えました。
 院長は白衣と言っても上が白い開襟シャツで、下は白いズボンです。
聞いてみますと東京女子医大にいた頃からのユニフォームだそうです。




<診察>

 胸のレントゲン写真では心臓が漏斗胸の変形により圧迫され、私の場合は「左側に逃げているので、脊椎の右側には心臓は見えない」との事でありました。
 心電図では「やはり心臓が正常な位置にない為に、漏斗胸特有の異常が出ている」との事でしたが、私には何を言われているのか分かりませんでした。その様な難しい心電図の説明を受けても分かりません。呼吸機能は私の場合は正常以上であり、笠置先生は「これまで一所懸命息をしていたのね」と言っていました。
 胸のCTでは左右の肺の肺尖部と言われる肺の一番上の部分に「肺嚢胞がある」とのことでした。私は最初、松山笠置記念心臓血管病院のホームページを見たときにNuss法は2回の手術が必要であり、大変そうだなという印象がありました。そこで、笠置先生に「私は胸骨翻転術か、胸郭再建術で手術をお願いしたいのですが?」と聞いたところ、笠置先生は「私はこれまで世界中で一番多くの胸骨翻転術、胸郭再建術、そして胸肋挙上術をしていますが、今現時点に於いてはお勧めしません。確かにNuss法が始まってまだまだ大人の年齢に拡大されていない頃には、私も大人は胸郭再建術でしていましたが、その後、私自身の技術の開発や研究会に出席した時に発表された他施設からの手術経験を合わせ考え、現在では全症例にNuss法を行っています。」との事でした。
 更に笠置先生は「胸骨翻転術、胸郭再建術、胸肋挙上術は確かに良い手術術式でしたが、心臓及び肺の圧迫を改善するという面に於いては何と言ってもNuss法が優れています。2回の手術を必要としますが、1回目の手術に比べれば、2回目のバー抜去をする手術は入院期間も短く、手術による危険性及び術後の痛みも殆ど無い為にNuss法をお勧めします。」との事でした。
 最初に断ってデジタルレコーダーでレコーディングしていたので、後で漢字を調べていますので正確です。この事を言ったら、「仙台のSさんみたいだね。」と言われました。Sさんは入院する時に病室にノートパソコンを持ち込み、ずっと日記を付けていて、それをホームページにしたそうです。)
 漏斗胸の人の場合は「胸郭の長さが長く、扁平である事が多いので肺嚢胞を合併する率が高い」との事でした。胸のCTでは更に右心室と左心室は共に圧迫されていました。笠置先生が仰るには「この様に心臓が圧迫されているから漏斗胸の人の姿勢は猫背なのです。背筋を真っ直ぐ伸ばすと苦しいでしょう。猫背にする事で心臓を圧迫する前胸壁から心臓を逃がしてやっているのだ。」との事でありました。確かに背中を真っ直ぐにすると苦しくて続けられません。更に「この様な事は、まだ学会でも発表されていません。これから発表しようと研究しています。学会発表の準備が整う来年の春迄はホームページを立ち上げないように。」との事でありました。

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 ↑笠置先生です。

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