口内炎、口腔真菌症、味覚障害
  ー歯、舌、義歯、口の中いつも清潔に

 まず口内炎ですが、中心部が白く、周辺に赤いふちどりのできる直径数ミリの円形またはだ円形のアフタ性口内炎というタイプが一番ポピュラーです。舌、くちびる、頬粘膜、歯ぐきなど、口の中のどの部位にでもでき、多発したり、再発したりします。ひりひり痛かったり、肩が凝る、頚のリンパ節が腫れるなどの症状が起こります。

 原因は 感染、ストレス、アレルギー、ビタミン不足、自律神経異常、消化不良、内分泌異常などが考えられていますが、まだ本態は不明です。このタイプの口内炎は局所にステロイド含有の口腔用軟膏を塗ることで通常は四、五日から一週間前後で治ります。難治性の場合は、ヘルペス性口内炎や、全身疾患(例えばベーチェット病)の部分症として発症する口内炎との鑑別が重要です。

 次に、「舌、口腔のカビ(真菌症)」はカンジダという種類の真菌(カビ)が一般的です。白いヨーグルト状の膜やかたまりができたり、赤くただれるなどの外観を呈します。これは舌に限らず、頬粘膜、歯ぐきなどにも発症することがあります。症状としては、ひりひり痛む、熱いものがしみるなどで、口内炎との鑑別が困難なこともあります。健康な人の口の中にも多少のカンジダは生きており、一般成人で約一割、六十歳以上の人では約半数に認められると言われていますが、膜ができるほど大量に増殖し、症状があれば治療の対象になります。

 微生物から体を守る免疫機能の低下している状態で発症しやすく、糖尿病や、口の中の清潔度が下がった状態、虫歯、歯肉炎、歯槽膿漏、義歯装着など、また歯科用に使われる金属に対するアレルギーもきっかけになりやすいと考えられています。もう一つ重要なのが先述の口内炎用のステロイド軟膏ですが、これがかえって、カンジダを増殖させる場合もあります。

 治療はまず口の中を清潔に保つことが大切です。虫歯、歯肉炎は必ず治療が必要ですし、歯や舌を歯ブラシでブラッシングします。義歯であればそれに付着することもありますので、日ごろからよく手入れをします。薬としては内服薬は副作用が強く、通常はうがいの後、真菌用の口腔用軟膏を塗ります。

 最後に味覚変化についてですが、口内炎や、カビによる舌炎などの物理的な刺激によって痛みがある場合、女性で更年期を迎える四十、五十代以上の方の約半数に味覚変化が認められるとの報告があります。ホルモンのアンバランスや自律神経の変調に影響されるようです。また歯科用の金属に対するアレルギーや、血液中の亜鉛などの欠乏が一因になっている場合もあります。最近では、心理的要素も、重要な原因と考えられていますので、治りにくいといっても、がんなどの心配をしすぎるのもよくないようです。