製作者のご紹介

艦艇の製作者と妻:久子
(アメリカ・サンディエゴにて)

渡部 康夫

1940年(昭和15年)愛媛県松山市生まれ。
1954年より、紙を素材とした艦艇模型の制作を始める。
一見、紙でつくられたとは思えない精密・緻密さのモデルはマニアの間でたちまち評判を呼び、ついにはモデル専門誌(月刊モデルジャーナル・電波実験社刊行)の知ることとなる。
1977年〜1985年(約8年間)、同誌(紙とプロポで艦隊編成)に専属として作品掲載の依頼を受け、全国艦艇クラフトマニアの注目を浴びる。
また、同時期に地元新聞・テレビ・ラジオのマスメディアにも取り上げられるが、残念ながら本質までは伝わっていない。

現在、艦艇づくりはおこなっていない。
1993年より始めた絵画(油絵制作)にいそしみ、郷土の自然をテーマとした作品づくりで穏やかな生活を送っている。

なぜ「旧日本海軍艦艇」なのか?
軍艦と聞くと、どうしても暗いイメージ、軍国主義、戦争思想等を想像してしまいます。
とくに旧日本海軍の軍艦ということですと、人類が刻んだあの悲惨な歴史を蘇らせてしまうのも否めません。その「軍艦」の紙製モデルを作っていた私の父が戦争好きとか、兵器・武器が好きということではありません。では、なぜ軍艦にこだわっていたのでしょう?
ずっと以前に「帆船は作らないの?」と聞いたことがあります。帆船はどちらかというと平和的なイメージがするでしょう。すると、父は笑って「作っていても面白くないから」とだけ言ってました。
その真意はよくわかりません。ただ、いえることは戦争当時、少ない資源・材料にも関わらず、
技術の粋をつくして建造された日本の軍艦に対し、終戦直後、物資の少ない時期に幼少時代をすごした父には何らかの思い入れがあったのでは、と思います。
あくまで想像ですけど・・・

文/渡部憲一