艦橋部の製作


後方より


組立前の仮組


テスト走航

航空戦艦「伊勢」

今月とりあげるのは、航空戦艦「伊勢」(昭和18年時)です。スケールは1/200、全紙製。本誌1978年4月号で新造間もない頃(大正10年頃)の状態の伊勢を紹介しましたが、その記事の中で実艦に施された2度の大改装(1.昭和12年時 2.昭和18年時航空戦艦)を、モデルにおいても楽しみたいということでした。
まず、1.の状態で製図にかかるつもりでしたが、よく考えてみますと、どちらか一つの状態でないと時間的にも無理と思い、実艦において世界に類のない「伊勢」「日向」の航空戦艦時のモデル化となりました。約9ヶ月前の作業に入っておりましたが、その間、小艦にRC搭載、重巡「利根」の改修等で中断しておりまして、このほど再開の運びとなりました。

イ.上部構造物はそのすべてを改装
日本戦艦の典型である前檣楼、煙突、その周囲の機銃台、サーチライト1台、および後檣等、とにかく全部作り替えなくてはなりません(本来ならば主砲と砲塔のみは使用できるのですが、これも当初、天蓋部の形状不正のため、改めて再製作)。

ロ.船体部
まずは艦尾の延長、そして最大のポイントは飛行甲板とバルジの装着です。最上甲板の形状も副砲撤去等で当初とは変わっているため、上甲板以上を作り直し、使用できた・・・といとも簡単に書きましたが、これはもう新造と同じで一部思惑外のところもありまして、大変な作業となりました。
「長門」型とならび、巨大ともいえるバルジの装着は図に示したとおりの取付方法で、片舷9つの気密区画に分かれ、その区画内部も一つ一つが耐・防水になっており、両舷合わせて18区画で外力により、その1/3以上が破損して浸水しない限り、転覆しても絶対に沈まない(そのつもり)構造となっております。しかし、オモテがあればウラがある・・・で、バルジがウキと同じで浮いて、浮きすぎて・・・、吃水線まで沈めるのにバラストの量、その積載カ所、そしてバラストの量がふえるほど、一番大事な船体強度等、その処理をどうするか?です。
船体部で不要カ所を取り除き、改装段階に入る前、各部を調べてみたところ、予想以上に初期の船体がシッカリできていたようで助かりました。バルジ部はボール紙1枚厚となっております。バラストは使用済みの乾電池などを何個か束にして移動しないようにして積み込んでおりますが、この「伊勢」の場合、2.5kgを使用して写真の状態です。吃水線までまだかなりの量が必要です。
メカ関係はどの組み合わせでも問題はありませんが、モーターはRS360Gより「比叡」からはずしたRS380に換装しました。他は4軸駆動等、前と同じ状態です。

本モデルの完成はまだ先のことですが、製作段階の一区切りがつきましたので紹介しました。
22号電探、ループ・アンテナ等の詳細部、起倒式クレーン、搭載艇の一部、そして25mm機銃3連装31基、同単装11基、計104門、および射撃装置は未装備。司令塔上部と艦橋右側に3連装2基を取り付けましたが、あとは一朝一夕には無理で、他艦製作時に2〜3基ずつ装備していくようにしております。
走航中より屋内写真のほうが、1工程後の状態(ブラスト・スクリーン等取付)となっております。
製図では、前檣楼およびバルジは、引いては消し、書いては消しでラインもどれがどれだか解らなくなることがしばしばで展開も大変でした。
ただ、高速運転時の写真が無いのが残念です。