RC装置に重量をとられ、
上部構造物はわずか60gで仕上げなければならなかった。


メカを仮セットして浮力テスト


池での走航テスト

防空駆逐艦「初月」

今回は、秋月型防空駆逐艦「初月」。縮尺1/200、全紙製で昭和19年後半の状態を再現しました。RC装置は三和ミニプロポ2F-2MY、モーターはRS360G1基、2連ギアを使用し両軸駆動となっております。
本モデルは、秋月型1番艦として約17年前(昭和36年頃)に製作したものを、今夏RC装置搭載を図り、手直しをしました。
当時は正確資料(図面・写真等)もほとんど手に入らず、不鮮明な写真と簡単な絵画的な図面くらいで、友人、知人等の詳しい方のアドバイスを受けたりで頑張りましたが、上部構造細部の形態・配置にいたっては当時の作品のほとんどが省略となっておりました。現在はペラ径、舵形にまでも精密資料があり、ありがたいこととなっております。
改造するにあたり、完成時の状態の「秋月」を昭和51年に1隻製作しておりますので、同型12隻中の「涼月」「初月」「若月」のうち、いずれにしようか迷いましたが、各年代により、対空兵装の配置が多少異なる程度なので「初月」と決めました。
改造の第一目的は重量・スペース・バランス関係で、どこまでのクラスにRC装置が搭載できるか・・・ということです。同シリーズ(1/200)の5500トン型軽巡「多摩」が普通搭載の状態でこれまでのところ限界となっておりますが一部を応用することにより駆逐艦クラスにも搭載可能ではないかとテストしてみました。
モーターはRS360Gを使用しましたが、この電源としては容量の関係で単3乾電池(4本6V)とし、これが無理な場合は単4を使用の予定でした。あとは受信機用電源をいかに小さく軽くするかです。写真用の6V酸化銀電池を見つけましてボックスを作り、後でスイッチ及び余分なコードは少しでも重量軽減のため取り除きました。
一応目安の付いたところでメカ全てを仮セットして水槽で浮力テストをしてみました。艦橋下から後部4番砲塔下まで、メカが腹いっぱいで思ったとおり厳しい状態となりました。その結果、甲板以上の構造物は塗装を含め60g内外で仕上げなければなりません。内部壁の一部もカットし、強度の許す限り薄手の紙を使用しました。
後部マストの13号レーダーおよび単装機銃は未装備の状態となっております。走航テストでは吃水線わずかにオーバーの程度で重量は一応範囲内に収まったようです。
一番懸念されたのは、メカ関係搭載による重心点上昇で高速旋回時のバランスの問題です。当地(松山市)も例にもれずカラカラ天気で池の水位が下がり藻の群生もいたるところにあり、安全水路が狭く全力発揮が不十分でしたが、現在のところモデルにおいても実艦の安定性と復元力の良さが立証された感じでした。
17年前の面影は製作過程の艦首部に少し見えておりますが、灰色と赤色の部分と隔壁3〜4枚を残すのみとなり、改造に費やした時間は220時間余りで新造より手間がかかったようでした。