第8回 自己研修報告 −英検1級もやっぱり『通訳訓練法』と『やさビジ』−

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 実は英検対策について書いて欲しいというメールをたくさんいただいていたのですが、1級はおろか準1級さえも持っていなかった(つまり英検2級のみ、それも25年も前の学生時代に取った)ので、皆さんのご要望にお応えすることはできませんでした。このたび25年ぶりに英検なるものを受け、幸いにも1級に合格したので、ご要望にお応えして『英検1級のための効果的勉強法』を紹介します。
 本題に入る前に、英検1級とTOEICスコアの関係についてお話します。
 英検1級合格のためには、TOEIC900以上が必要条件だと思いますが、決して十分条件とはなりえません。というのは、TOEIC900をクリアしている人でも英検1級を持っている人は少ないのですが、英検1級を持っている人でTOEIC900をクリアしていない人はいないからです。
(このことは、IESの植田一三氏も著書の中で次のように指摘しています。
『また、英語の運用力をアップさせるのに非常に効果的な英検1級の対策勉強に背を向け、今主流のTOEICのスコアアップを中心に勉強している人も多いようです。事実、私の学校IESでもTOEICスコアが980点、960点、950点レベルの人はごろごろしていますが、そういった人たちでも1級は手ごわいようです。というのもTOEICは、語彙もパッセージの内容も簡単でしかも受信型のテストなので主に瞬発的に相手の言った情報をキャッチする能力は測れますが、英語でプレゼンテーションや討論する能力は測れないからです。』)
 私の印象では、英語の勉強をコツコツ続けることができる人ならいつかはTOEICAランクを達成できると思いますが、英検1級の方は「コツコツ努力」だけでは合格できない気がします。「努力」プラス「英語のセンス」と「日本語力」が必要だと思うのです。
 英検1級=TOEIC900以上の英語力+英語のセンス+日本語力 

 私の場合、『LLI井上語学研究所』で通訳講座を受講できたのが、英語学習の大きな転機となりました。通訳訓練を取り入れた指導法を研究するきっかけとなり、英語だけでなく日本語に対する意識が高まり、日本語力を磨くことができました。そして、通訳に対する興味が深まるにつれ、英語を使って何をやりたいかが自分の中で明確となり、英語へのインセンティブも一段と高まりました。LLI所長の井上先生からは英語に関してだけでなく、あらゆる面で学ぶことが多く、これまでの人生で最も大きな影響を受けました。先生の生き方に少しでも近づきたいという想いが、今では私の生きる原動力となっています。

 さて、本題に入りますが、実は勉強法といってもTOEIC同様これまでにこのサイト上で紹介した学習法以外には特別な方法はないのです。(ないというか、「必要ない」と思うのです。)過去問題集を購入し、実際の試験と同じように時間を設定して、過去問を2回分程度解いておくのは試験形式に慣れておくために必要ですが、それ以外に受験対策用のHOW-TOもののテキストだけで勉強するのはお勧めできません。ハウツーものが威力を発揮するのは、英検なら2級まで、TOEICなら700点くらいまでで、「英検準1級、1級、TOEIC800以上対策」としては、一見近道と思えるこういった受験対策テキストでの勉強は、『労多くして、益少なし』だと思います。それに、そういった勉強は大学受験の延長のようで味気ないものです。私は、大学受験程度の文法力が備わっている人には、このサイトで紹介しているような通訳訓練法を取り入れた「総合的な勉強」を継続することを勧めます。
(TOEICにしても英検にしても、モティベーションを高めるためにとりあえず目標にするのはいいと思いますが、これらは英語学習の最終目的にはなりえません。英検1級を取得しても、TOEICスコア900をクリアしたとしても、そこで終わったのではなんにもなりません。あくまで通過点であって、「そのあと英語を使って何をするか」が大切だと思います。
通訳や翻訳の技術を向上させたい
ガイドとして活躍したい
海外で協力隊として活動したい
医療技術を生かして、災害救援活動をしたい
留学してMBAを取得したい
ビジネスで生かしたい
 夢や目的は人それぞれですが、具体的な目的を持って英語を学んでいる人は途中でくじけることなく、継続して勉強ができるようです。)
 次にテキストについてですが、このサイトを御覧になっている方はおそらくもうすでにいろいろなテキストを持っておられることと思います。大切なことはどんなテキストでもいいから、今もっているものを最後までやり通すということです。テキストを最後までやり通すということが、意外と大きな自信につながります。
 私にとってもっとも役に立ったテキストを一冊挙げるとすれば、やはり「NHKラジオ やさしいビジネス英語」です。活用方法の一例を「第7回自己研修報告」で紹介していますので、御覧下さい。ハイレベルな言語材料がすべてこの一冊に集約されていると言っても過言ではありません。この一冊を「「完全に自分のもの」にすることができれば、高価なテキストを何冊も買い揃えたり、いわゆる英会話学校に通ったりする必要はまったくないのです。
 NHKやさしいビジネス英語を徹底的に読み込む 

 ただ、一人で英語を勉強するというのは、効率も悪く、モティベーションを維持するのも難しいと思います。そこで、私が勧めるのは次の方法です。
 同レベルの仲間を集めてグループ学習すること 
 この方法だとお互いの刺激にもなり、やる気も出ます。私も週に一度グループ学習をしていますが、緊張感の中にも楽しみながら勉強しています。
(先日も、私が英検1級の2次試験を受けるということで、グループのメンバーが本番さながら―あるいは、半分ひやかしながら!?―の面接試験をしてくれました。実際に任意のテーマを与えられ、2分間のスピーチをした後、8分程度のQ&Aをしました。1回目の後、悪いところを指摘してもらい、2回目に臨みましたがずいぶんリラックスして英語を話すことができました。本当にいい練習になったと思います。)

 さてこのテキストの活用法ですが、ただ単に覚えたり読んだりするだけではやはり受動的な学習にとどまってしまい、運用レベルまで高めることはできません。では、どのような学習法が能動的であり、運用レベルに到達する学習法だといえるのでしょうか。私は、通訳訓練を取り入れた学習法がベストだと考えます。詳細は、本HPの「通訳訓練体験記」や「通訳予備講座」の中で紹介していますが、来年1月からの通訳予備講座パートUのレッスンでも実践したいと考えています。 
 通訳訓練を取り入れた学習法 
 
 「自分一人ではやはり勉強できず、一緒に勉強する仲間もいない」、「テキストが難しくて、手におえない」という向きには、一度ウィン・ランゲージサービスの通訳予備講座で、体験レッスンを受けることをお勧めします。
(最後はちゃっかり通訳講座の宣伝になってしまいましたが、悪しからず。)