作品No06



 「はしれぇぇ、はしれぇぇ、それいけぇ!!」
 「う、うるせぇ、ボタン連打しながら叫ぶな。」
 只今ゲームの対戦中。義妹の菜野花とサッカーゲームで対戦中
 ゲームなんてつまんないし、なんて思ってたら何のことはない。これが結構燃える
 ワールドカップ人気で出たようなしょうもないゲームだけど、案外作りこまれてて結構楽しい
 昔みたいにボタン一つでパス、シュート、ゴール!!なんてもんじゃなくて、ボタンの押した時間によってパワーが変わったり、軌道が変わったり。
 スタミナとかスピードとかも各選手によって色々あるから、結構キャラごとに癖があってプレイ方法も変わる
 「ぬおりゃ、お兄ちゃん、くらえー、必殺ドライブシュート!!!」
 「うを、それただのロングシュートじゃねぇか。しかも俺の選手に命中しやがった。」
 「すかさすここで、スカイラ○・ハリ○ーン!!」
 「ただのヘディングに名前付けんな。ペナルティエリア外からのシュートは入れさせないぜ。」
 ゴールキーパーがヘディングシュートを見事なダイビングキャッチでセービング。
 菜野花の選手たちがディフェンスに戻る前に前衛にボールを送る。
 「そらそら、早くしないとシュート決めちゃうぞ。」
 「うう。こうなったらオフサイドトラップだ!みんな後退〜」
 あ。こいつセコイ手使いやがる。
 ディフェンスが一気に俺の選手の横を走り去る。
 「わははは、これでお兄ちゃんはオフサイドになってお終いだ!って、あれ?」
 オフサイドにならない。なんか俺の選手が独走状態でペナルティエリアに入ったぞ。
 「審判は常に正しいものの味方だ。悪は滅びるのだ!!」
 何だかんだいって俺もノリノリだな。
 「くそお、来い!お前のへなちょこシュート、がっちりがっしりセーブしてやる!」
 「それ、いくぞ。右だ!!」
 「えあ、うああ、右?」
 「うそ、左。」
 ごおおる!!
 菜野花は面白いように右にキーパーをダイブさせた。そしてシュートは左に突き刺さる。
 「うう、ずるいよ。」
 「何がずるいものか。オフサイドトラップしかけたくせに。」
 「うー、勝負はこれからだ。実力の差というものを見せ付けてやる!」
 妹は闘争心剥き出し。さあ、かかって来い。
 「いくぞ!正面突破だ!タイガードリブル!!」
 「おい、それ著作権に引っかかるだろ。」
 「構うものか!いけぇ!敵を蹴散らせ!」
 げ、結構スピード速い。直線コースで抜かれてるぞ。
 「く、こうなったら、みんな引け!オフサイドトラップだ!!」
 俺のチームのディフェンス陣が一気に後退する。
 ピピピー、オフサイド
 「あ、なんでー!ずるいよ。」
 「ふふ、常に正義は我と共にあり。」
 とは言うものの、こっちもやけくそでやっただけだがな。
 「くそぉ、審判のバカヤロウ。」
 「ふふ、いくぞ、これで追加点を入れてやる。」
 フリーキックからセンターフォワードへ、結構キック力あるなこの選手。
 こいつはスピードはないけどボールコントロールが抜群だからテクニカルなドリブルが出来るぞ。
 「えい、ショルダーチャージ!スライディング!」
 あ、おもしれぇ、相手の攻撃を紙一重で気持ちよくかわす。
 そして左サイドにロングパス。
 「おのれ〜、こうなったらファール覚悟でディフェンスだ!」
 突っ込んでくる菜野花の選手。すかさず俺はセンターリングでセットプレイを狙う。
 「ああ、ボールが、ボールが!」
 「そら、ボレーシュート」
 ごおおる!
 「う、くく、お兄ちゃん強すぎ。」
 「いや、お前が弱い。」
 「ぐは、言ってはならないことを!」
 妹よ、兄は常にお前の上を往く存在なのだよ。
 「こうなったら最終奥義を使うしかあるまい。」
 菜野花サイドのボールで試合が再開。
 攻撃的な布陣で一気に攻め上がる菜野花。しかし、そんなもの兄には通用しない。
 「そら、ボールをカットだ!」
 「えい、最終奥義発動!」
 菜野花は俺のコントローラーに手をのばして、取り上げた。
 「あ、こら、菜野花返せ!!」
 「やー」
 「やー、じゃない!」
 しかも自分の懐に隠しやがる。その間に菜野花の選手はどんどんと攻め入って、無抵抗な選手をくぐりぬけ、あっさりとゴールを決めた。
 「見たかわたしの最終奥義!」
 「見たか、じゃねぇ!卑怯な手使いやがって!」
 「いー、だ。可愛い妹に手加減しないお兄ちゃんがいけないんだよーだ。」
 そういいながら、勝手にプレイ再開しやがる。
 そしてあっさりカット、あっさりゴール。
 「あははは、お兄ちゃんよわーい」
 「もう許さない。菜野花覚悟しやがれ。」
 俺は菜野花に踊りかかってコントローラを奪還しにかかった。
 思いのほかこいつも抵抗しやがる。
 こりゃ、傍から見るとえらくヤバイ光景だな。
 義理の妹を押し倒す兄。
 お父さん、お母さん、どうか今この瞬間に帰ってこないで下さい。

 「つ、つかれた・・・」
 なにゲームごときで本気になってんだよ俺は。
 「う、おにーちゃんひどい。髪の毛ぐちゃぐちゃ。」
 なんかあれから、サッカーゲームやるよりか、取っ組み合ってプロレスしてたんじゃないか?
 菜野花腹にしいて、最終奥義をやり返してやった。
 「なんか、あれだ、いい運動になったよ。」
 今年一年分の汗を今日流したといっていいだろうな。
 「うう、力のない女の子を力でねじ伏せるなんて、お兄ちゃん、ひどい。」
 「さて、風呂に入るか。汗ながそっと。」
 「って、うわ、人の話し聞いてる!?ちょっと、まちやがれーー!」
 「おい、こら、風呂場に入ってくんな!やめろぉぉ!」
 色々な意味で疲れる。いい運動だろうけれど、もういやだ。
 「お兄ちゃん、もう1勝負!勝負だ!」
 「いやだぁ!!」
 



総合得点

18点(35点満点)

寄せられた感想

・和気藹々風味。 実際の兄妹はこんな風じゃありませんぜ、旦那……(遠い目 そういえば某サッカーゲームで友人にキーパーで4点ほど入れられた悪夢が甦ったw

・風呂、一緒に入ったのか・・・?w

・ある意味妹…っていうだけで反応したのは僕だけですか?w

・普通の萌えエピソード?w でも地の文とかこなれててすごくスイスイ読めました。

・良くある萌え話。とはいえ読みやすいのは良し。



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