作品No01
2時間S/散文 Thema:『写真』 #ストロボライツ −strobe lights− 光。千分の一秒の、一瞬で貫いてゆく稲妻のような。 コンパクトに圧縮された鋭い閃き。 まだ少し熱めの紅茶で唇を湿らせて、ひたすら楽しそうに自分のことを話してくれる笑顔に相槌を打つ。疑問や肯定の言葉を投げかけては、返ってくる反応を楽しむ。決まりきった一連の作業。レンズを通して被写体を描写するカメラマンのような。たった一枚の決定的な瞬間を切り取り手に入れるためだけに切られる幾千のシャッター。 人間を舐めている。そう言われれば頷くしかない。人間一人のうちの数千数万数億分の一にすぎない情報を手に入れただけでわかったような気になっているのだと言われれば否定する要素は何一つとしてない。ただ、僕が自分の思い通りにしたくて、そのために必要なその僅かなデータを手に入れてそれで満足しているだけなのだからそのことには何の不都合もない。 どんな巨大で複雑な機械であっても、それを動作させたいなら操作するためのボタンの位置さえわかればそれでいい。何も一つ一つの部品の製造工程やら総ての動力装置制御装置の仕組みやテクノロジーを理解する必要はないのだから。 うん、そうだよね。あ、でもこんなときはどうするの? 目の前の相手と会話を続けながら、僕はシステムの確立した世界のことと未開拓の原野のまま放置されている世界のことを考えていた。 世間で声高に言われているような、リスクには釣り合うリターンが必ずしも存在するわけじゃない。そんなものは予めパッケージングされた大衆向けの画一化された商品にしか当てはまらない。安全な、製品化されたゲームのルール。公平で皆に都合の良い方程式。分の悪い賭けが存在することを知っているのなら、何故分の良い賭けを探してそれに乗ろうとしない? 冒険の海は何も架空の世界にあるわけじゃない。ワンピースみたく分かり易い形をしていないだけで。むしろそれを見つけることこそがゲームに参加するための条件。イーストブルーを出るためのパスポート。 そんなことを考えたところで話してた相手のことが解り終わったので土足で他人の心に踏み込むタイミングを計る。ネガに焼きついた望みと弱み。してほしいこととゆるしてほしいこと。悦びを得られるスイッチと取り除きたい劣等感。 魂を支配する真名のように。ひとの情動を操るファクター。+と−、ゼロとイチを切り替えるトランジスタ。 ねえ。 ちょっと、きみのこころを奪い殺して。 ぼくのものにしてみてもいいかい? END |
20点(35点満点)
・最後が惜しい、『奪い殺して。』と句読点があるせいで文章がぶつ切りになって最後の布石になってないようなきがしました。
・俺には難しくてちょっとわかりずらいです。
・作風的には面白いかも。 少し分かりづらいのは自分の読解力が足りないだけか……
・哲学的っぽくて、なじみずらいかもったです。
・写真は魂を吸い取ります。いや、マジで。
・うーん、判断しにくい。惹かれるものはあるんだけど、少しわかりにくいかな。