作品No08









ひらひら、ひらひら。



舞い落ちる薄紅の欠片の中に隠れて。




見送る僕の姿を、先輩は知っていたのだろうか。














踊落の季節

















僕はこの北中に入学してすぐにバスケ部に入った。

ずっと女だけの家庭で可愛がられて育ってきたから、どうにも男らしさに欠けるような気がしてたんだ。

そこで会ったのが同じクラスのモテ男、今や名実ともに僕の一番の親友たる浜田修也、通称シュウなのだ。

んで、そのシュウが入学して1ヶ月も過ぎた頃から付き合い始めたのが、なんと一コ上でしかも堅物の眼鏡美人と有名な雪野先輩だった。


僕が初めて先輩とお話したのは、梅雨が終わったころ。生徒会の関係で一緒に資料を運びながら歩いていた時だった。

「先輩って、何でそんなに落ち着いたオトナってカンジに振舞えるんですか?」

前からずっと聞いてみたかったのだ。ようやくその機会が得られたことで、僕は嬉しくて少し舞い上がりぎみに尋ねた。

「うん? そうねぇ…昔から、落ち着いた子供だって言われてたから、特に意識してそうしてる訳でもないのよね」

「でも、先輩だってたくさん可愛いところとか持ってるじゃないですか〜?」

どうしても知りたくて、どんどん質問を重ねていく。

先輩は、一瞬意外そうな顔をしたけれど、少し面白そうに笑って言った。

「あら、どうしてそう思うの? 私の可愛いところって、どこかしら?」

そう言われたから、僕は資料の入った袋を持ち替えて先輩の左手を取り、その薬指に巻かれてた可愛い柄付きのバンソーコーを指したのだった。

先輩は少し恥かしそうに顔を赤らめたあと、

「可愛いでしょう?」

と言って、微笑んだのだった。


僕はそのときには当然、気づいていた。

あのバンソーコーが誰の手で先輩の指に巻かれたのかということ。


…さすがだ。

僕は僕の親友の女のコを見る眼の素晴らしさを誇らしく思いつつ、少し、負けたような気にもなってしまったのだった。














そして、次に先輩に会ったのは秋の入り口に入ったころだった。

放課後、自分の教室に入ると先輩がひとりきりで窓際の席に座って外を見ていた。

なんだか声をかけづらくてためらっていると、先輩が気づいて席を立った。

「どうしたの?忘れ物?」

ふわりと、春よりも少し伸びた髪の毛に隠れた顔が微笑して。

僕は、急にどきりとした。

(……あ)

そして気づいた。そこが、シュウの席だってことに。

「いえ…その、先輩は、シュウを?」

そういうと、少し表情に影を増して、

「ううん、……いま、話が終わったところ」

と言った。

なんだか、それだけでわかってしまった。

シュウと先輩が、いまさっき、別れを選んだこと。

「じゃあ、この後部活だね。頑張ってね」

そう言って出て行く先輩に

「あ、…は、はい。先輩も、受験がんばってください」

としか言えなかった。

その頃の僕は、本当に子供で、どうしようもないくらいに子供で、そんなどうでもいいような当たり障りのないことしか言えなかった。











これが、僕の初恋の一部始終。

そして、僕の桜の記憶。




総合得点

15点(25点満点)

寄せられた感想

・終わっているのか終わっていないのか微妙w

・テーマを内容に組み込めればよかったかも・・・

・展開が急、と感じました。主人公や先輩についてもう少し掘り下げて欲しかったかも。

・ほぼプロットのみでの提出です。しかもラストシーンどころか中盤すら最後まで書けなかったのが死にそーに心残り。(本人)

・言葉が足りない感じはするかな



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