作品No07
どうでもいい。そう、どうなっても、何が起こっても、どうでもいい。 どうせ俺は変わらないだろう。……変えるつもりもない。 今も変わらず歩き続けている。あの日、ただひとり当てもなく彷徨ったあのアスファルトの上を。 ―――7歳の子供でしかなかった自分が、この世のあらゆるもの総てを拒み、それでも逃げ切ることのできなかったあの夜道を。 ムーン・シャイン 「駄目人間だもの…」2時間SS テーマ:『空』 蒼いひかり。 (何もない) (薄暗い寂寥感を) ただ目の前にあるだけの。 (この足を止めたら) 止めたら。 「今日は弁当?ああでもいいや。学食行こー」 とりあえず強引が身上の友人ドモに連行されながら、さっきまで定期的に頭の中をリピートさせていた数式とその使い方のパターンを最後にもう一度だけパパッと脳のスクリーンにサブリミナルさせて思考を切り替える。 「なあ、向こうから走ってくんの亮人の新しい彼女サンなんじゃないの?」 「……あ、やべえ」 既に俺達の間では見慣れた、彼女との約束を忘れてたときのマズイという顔をして、前を歩いていた亮人が振り返る。 「さっさと行って来い、そしてあの手作りらしい弁当を屋上かどっかで存分に食してくるがいいさ。ってゆーかそのまま永遠に帰ってくんな」 その隣を歩いていた明人が毒づきながら送り出した。相変わらずどこまで本気なのかわからない。 一緒になって誠を蹴り出していた正也が興味深そうに向こうで待っている彼女を観察している。これもいつものことか。 「ああ、あれが例の新しいコ?えーと、由紀ちゃんだっけ?」 そんな正也を遠巻きに見ながら井戸端会議の真似事をする俺達の横を、後輩の一団が奇異なものを見るような目をして擦れ違った。 「お〜お〜、相変わらず常にちゃん付けだぞ五木正也18歳」 「今度、俺のことも礼司ちゃんて呼ばないと不公平だってダダこねてみようか」 昨日と同じように。 どうでもいいような会話をしている。けれど。 (今日は、……さすがに来るか) やっぱり。 和泉、と俺の名前を呼ぶ女性教師の声。 少しかすれたような音が混じっているせいか、すぐにそれ(・・)とわかる言葉。 「あ、悪い。ちょっと先生に呼ばれてたの忘れてた」 何やったんだ、とか立派に更正してこいよとかいう声を背に、先生の後ろを付いてゆく。 (……どうでも、いいんだけどな……) 長い髪がゆるやかに揺れる後姿を眺めながら。 先生の指先が緊張のせいか少し震えているのが分かる。 校舎裏の人けのないところに着いてから、思い切ったように振り返った先生が口を開く。 「……どうして呼ばれたかは、分かっているわね」 「ええ。笙子のことでしょう」 言った瞬間、相手の感情が突然に昂ぶるのがわかった。 「大野先生を名前で呼び捨てにするのはやめなさい!ここは校内ですよ!!」 いいじゃないですか、先生しか聞いてないんだし、と言ったらますますムキになって俺を責めた。 そんな仕草がすこし可愛く思えて、戯言を重ねてみたくなる。 「ひとに言われて止めるくらいなら、最初からこんなことはしない。……でしょう?」 大体こういうお話のラストは決まっていると思いませんか、と。言葉を続けてみた。 「そう。こういうお話のラストシーンは、『周囲の全てに反対された若い二人は、手に手を取って逃げました。それでも追手は迫ります。追い詰められた崖の上で、逃げ切れないと悟った恋人たちは、互いの手を堅く、堅くつないでその絶壁から身を――』」 「やめなさい!!自分を使って脅迫するつもり!?」 顔が真っ青になって。先生の足ががくがくと震えているのが見えても、やっぱり俺の心は変わらなかった。 |
19点
・時間が足りなかったのでしょうか? いまいちよくつかみとれませんでした。
・これも未完かな? 現時点ではこの点数だけど、話の作り方によっては物凄く化けそう。
・未完なのかな・・・正直得点がつけにくかったりw
・続きが気になるんですがw 2時間でやるにはちと向かないかなと思います。なので点数は辛めに。
・途中なのでノーコメ
・友人の個性がバラバラでいいですね!ヨタ学生の会話が淀みなく展開されていて良いです。こんな友人関係がかきたいなーwあとテーマは…題名からして夜の空かな