作品No02
「ゆういち~、はやくはやく~♪」 「だから焦るなって……っておい!」 必死(とは言っても形だけだが)で止めてみるが名雪は俺の話など聞く耳持たず、と言った感じで外に出ようとする。 いや、まだ俺靴も履いてないんだけど。 「ほら、行こうよぉ~」 「わかった!わかったから靴ぐらい履かせろ!!」 「あ……えへへ」 ようやく俺が靴をはいていない事に気付いたのか名雪はちょっとばつが悪そうに笑った。 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・う、可愛い(汗 ぶんぶんぶんっ!!! 「? ゆういち、どうかしたの?」 名雪が不思議そうに聞いてくるが、答えられるわけが無い。 お前のその笑顔にやられた、なんて……。 「あの、えと……」 ん?なんか名雪の頬が赤くなったけど気のせいか? 「ゆういち……ありがと」 ありがと? ……まさか!? 「なぁ名雪……もしかしてまたやったか俺?」 「…………(コクッ」 名雪は赤い顔のまま頷いてくれた。 あぁ、正直に言ってくれてありがとう。でもいい加減どうにかしたいぞこの癖は(涙 「と、とにかく、いくか!」 照れくささもあってそそくさと靴を履いて俺は玄関の戸を開けた。 「あ、待ってよゆういち~!!」 素早く玄関を抜け出た俺を追いかけるように名雪も家を出てきた。 そしてそのまま名雪は俺の隣に並んで、俺の腕に自分の腕を絡めてきた。 いわゆる腕組みという奴だ。 ……最も、これが一般的なカップルであればの話だが。 何故俺がそんな事を言うかって? それは…… 水瀬名雪は、今、ちっちゃくなっているからさ。 ~ちっちゃいって事は優しいねっ♪~ Hyper Short Version 「いいお天気だねぇ~」 名雪がシートの上に寝転びながらそんな事を呟く。 俺も名雪に倣って同じように寝転げていた。 「そうだな……たまにはこんなのもいいかもな」 「うん、えへへ……」 2人で何をするでもなしに空を見上げる。 やはりここの丘から眺める景色は綺麗だと思った。 透き通るような青い空、まばらにちらばった小さな白い雲たち。 ぽかぽかと心地のいい気温が更に満足感を刺激する。 冬の寂しい景色とは一転して緑に包まれた丘は、見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれる。 やっぱり、今日の散歩(デートとも言うが)はここ、ものみの丘にして正解だったかもしれない。 「そういえば、桜が咲くのってもうすぐだよね?」 「ん? 俺はまだこっちの事がよく判ってないから何とも言えないけど、多分もうちょっと先なんじゃないか?」 「そっかぁ……」 名雪はなんとなく寂しそうに呟く。 「どうかしたのか?」 「ううん。ねぇゆういち」 「なんだ?」 「桜が咲いたらお花見に行こうね」 にっこりと。 本当に楽しそうに名雪は笑った。 「あぁ、そうだな」 言いながら名雪の頭を寄せる。 名雪は一瞬驚いたようだったが、すぐに安心したのか俺に身を委ねてきた。 こんな風に笑われてしまっては断れる筈が無い。 いや、元から断ろうとは微塵ほども思っていないのだが。 ただ、いつも照れてばかりなのは癪なので、俺はせめて名雪に顔を見られないように頭を寄せた。 「……うにゅ……くぅ」 しばらくすると名雪はあまりにも気持ちよかったのか眠ってしまった。 勿論、俺の腕に抱かれた(というか先ほど頭を寄せた状態の)ままで、である。 「すぅ、すぅ……」 「やれやれ、いい気なもんだ」 言いながらなんとはなしに名雪の頭を撫でる。 すると、名雪は気持ち良さそうに微笑んだ。(恐らく偶然であろうが) ……全く、いつから相沢祐一はこんなにコイツに対して弱くなったんだろうか。 恐らくどんな状況に置かれていても、こいつさえ居れば俺は幸せなのだろうな、と柄にも無い事を思ってしまう。 だが、実際そうなのだろう。 それほど今の俺にとって名雪と言う存在はかけがえの無いものになっている。 「……それに、約束したからな」 そう、それはある冬の日の約束。 悲しい時も。寂しい時も。辛い時も。そして、嬉しい時も。 これからは、ずっと傍にいる。 俺は、名雪とそう約束した。 「……ずっと一緒だぞ、名雪……」 今は夢の中にいるであろう少女の頬に口付けると、俺はそう呟いた。 空が青く澄みわたる春の一日。 そんな、ある日の出来事だった。 |
23点
・二次創作は評価がつけにくいです(汗 点数が低いのはヒロイン的なものです(ぉ
・甘~い …ってか誰の作品か一発で判るあたりが素敵(ぉ
・あ、甘甘ぁぁぁ~
・あ、甘い…(死
・んー、ちょっと微妙。特筆してどうってのもないんですが、読み流してしまう感じです。
・これ書いたの誰かなあ(ぉ
・ちっちゃさへの優しさがぎゅうぎゅうに詰まっています…肩に乗せたいw