ベィビィ・ラブ




高耶さんは、時々、妙なモノを欲しがります。





「あのさぁ…直江……」

竹を割ったような性格そのものの高耶さんが、少ぉし語尾を引き摺るような物言いを

する時は、………何か…あります。

「俺さぁ、欲しいものがあるんだけど…」

ほうら、きた。

でも、そんじょそこらの願いごとを叶えるぐらい、私にはへでもありません。

「何ですか?」

数多の美女を腰砕けにさせてきた、極上の笑みに愛をトッピングして答えます。

ぽっと赤みを帯びた頬が可愛らしいなんて、彼が聞いたら湯気をたてて怒りそうな気は

しますが、事実だから仕方ありません。

「叶えてくれる?」

「勿論です」

ん?と、少々の引っ掛かり…。

用件より先に、約束を取り付けるんですか、高耶さん?。

まぁ、たぶんどんな願いごとでも大丈夫でしょう。

だって私は……。

「良かったぁ~、直江なら絶対そう言ってくれると思ってた。あのね、俺が欲しい物

はね」

お日様のような高耶さんの笑顔。

だって私は…貴方を愛している……魔神ですから、不可能なんて。 「赤ちゃんなんだ!」

…………………………………………………………………………………………………

…………………………………………………………………………………………………

……………ありました…………………………。








当然ながら、無理ですという私の返事に高耶さんは、かなり落胆された。

「叶えてくれるって、言ったのにぃ……」

ぷぅっと膨れた頬が、凶悪的に可愛いですよ、高耶さん。

つい、つんつんと突付きたくなりますねぇ。

でも、高耶さんも半分ぐらいは駄目だと思っていたんでしょう。だって、がっかりは

していても、怒ってはいないんですから。

「何で、赤ちゃんが欲しいって思ったんですか?」

「ほら、昨日、伯母さんとこの初孫披露に行っただろう?俺、末っ子で下がいないか

赤ちゃんに縁が無くてさ、まともに触ったのって、昨日が初めてだったんだ。あんな

可愛いもんだと思わなかったぁ~」

ぷっくりしてるのに、ふにゃってしてて、ほわほわで・・・砂糖菓子みたいだったと蕩

けた瞳で高耶さんは続けた。

「それなら、ご両親に頼まれた方が筋ですが…無理……ですねぇ」

高耶さんを産んだ後、身体を壊した母親にはお願いしたくても出来ないのだった。

ぽかっと頭を軽く叩かれ、高耶さんに睨まれた。

「ったくぅ、当たり前じゃんか。だから、お前にお願いしてみたのにぃ……」

すみませんと肩を縮めた私に、高耶さんはまぁいいやと 「本当は、赤ちゃんそのものって言うより…あの頬っぺの感触が良かっただけなのか

もしれないからさぁ」 その時の感じを思い出しているのか、自分の指先を目を細めて見つめた。

「直江は、赤ちゃんとか子供が欲しいって思ったこと無かったのか?」

おやおや、そうきましたが。

「……うーん、それが殆ど無かったんですよねぇ」

「ふぅん……」

何ですか、その疑いの目は………。

「それに今は超とびっきり可愛いBabyに夢中ですし…」

「えっ?何処??」

「ここですよ、私の可愛い高耶さん」

えっと目を瞠った高耶さんを素早く両腕に閉じ込めて、耳元に好きてすと囁きを落とす。

途端に、真っ赤に染まった耳たぶが、凶悪なほど可愛くて…可愛くて。



砂糖菓子のような日々はとろけるように過ぎていく。



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コメント
なんだかだんだん、宿題をこなしている感が強くなっいてるなぁ…
連載モードに入れないんで、せっせとお題をこなしているんですが、
まだ終わらない(泣)