讃 歌










もう何も欲しくないと解ったから、俺は笑える





夏には、まだ遠い海


どこまでも青く、やがて光と抱きあう


ジーンズにTシャツ姿と珍しくラフなお前の姿


白いシャツが海風にはためき、眩しかった


歩きましょうかと手を差し出され、俺は素直に掌を重ねた


「何?」


「いえ、珍しいなと思いまして…」


あぁと、俺は頷き直江の手をしっかり握り返した


「たまには、いいだろう?」


「……たまに…ですか……」


多少、不満そうな彼の頬を、軽く指で弾いた。 「贅沢者」


ふっと笑いをこぼし合い、見詰め合う


「………」


言葉にならない言葉を、俺は囁いた。


直江に訴えるように、熱く。


応えはきつい抱擁。


約束も誓いも、無駄な繰言。


全てを与えて包み込む体に身を沈め、彼の鼓動に耳を傾けた。





『波の音がするよ…直江……』










たまには、こういうタイプもよろしいかと
管理人自己満足意味不明型散文Part1(苦笑)



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