H22.9
60歳の誕生日。 還暦である。

 めでたいことだと世間ではいうが、60歳の大台に乗ったという一抹の淋しさもあって、何だか複雑な心境である。

 日課のウォーキングの途中、時おり出会う80歳位のご婦人に、「姿勢がいいですね。若々しい。」とすれ違いざまに声をかけられた。
 お世辞だと分かっていても、満更でもなく、実に気分がいい。

 それからいつものように朝風呂に出かけ、玄関のところで同年代の女性二人から、「おいちゃん。 そこの入り口、まだ開いてないよ。」と親切心からだと思うが、声をかけられた。
 小、中学生から「おいちゃん」と言われることはあるが、いくらなんでも同年輩の女性から「おいちゃん」はないよなと思った。
 さっきとは対照的に、少し力が抜けた。がっくり。
 「頭は白い。確かに少し老けて見えるかもしれないが、僕の肌艶を見てよ。」と言いたかった。
 自分ではまだまだ若いつもりでいる。

 これを教訓として、同年輩の女性などに、口が滑っても「おばちゃん」などとは、絶対に言ってはならない。禁句である。
 仕事柄、言葉使いには特に注意しなければならない。 くわばら。くわばら。

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