この数日前より、油蝉に交じって
つくつくぼうしの声を聞くようになった。
息苦しかった熱帯夜も一息ついて、
涼しい風や虫の声に秋の気配を感じる。
大阪で働いている娘が、父の一周忌のために久し振りに帰ってきた。 営業の仕事から自分の希望するプランナーへと部署が変わり、少し余裕ができたのか顔が穏やかになったような気がした。
開口一番「空気が全然違う。匂いが違う。」と切り出した。
住まいと会社は梅田の近くにあり、交通の利便はすこぶるいいが、緑も少なく空気も汚れているという。
会社の先輩のお子さんが、ハイキングに行った時に森の匂いを「緑臭い!」と言ったそうである。 娘にはそれが信じがたかったようである。
子供たちは幼い頃、家のそばの蝉林で、服や顔を泥んこにしながらよく遊んだ。木々や草の匂いは子供の頃からの刷り込みである。
都会の人には、田舎に住むことは刺激が少なく、少し魅力にかけるかもしれないが、それはそれで、こんないい環境の中で暮らせることに感謝をしながら、今日も石手川沿いをウォーキングする私である。