36年前地元の大学を卒業して県外の民間会社に6年間勤務し、
家庭の事情で松山へ帰ってきた。
求職活動をしていた時、知人から「衆議院議員の選挙事務所を手伝ってくれないか」と言われ、迷いながらもお手伝いすることになった。ペーパードライバーの私が、いきなり代議士の運転をまかされた。道不案内な上に、運転にも全く自信がない。しかも、黒塗りの高級車ときている。
選挙も無事終わり、上浮穴郡の5町村を挨拶回りすることになり、最初の訪問地である柳谷村役場に到着した。
庁内で村長や後援会役員の熱烈な歓迎を受け、次の訪問地に出発しようとした時だ。
何と役場前に止めていた車が無くなっているではないか。 盗難か?
意外にも数分後、役場の下を流れる川で、見るも無残な姿になったクラウンが発見された。坂道駐車でのサイドブレーキの引き忘れが原因だった。
茫然自失。あまりのショックに言葉さえ出なかった。
過疎集落の柳谷に起こった久々の大事件ということもあり、そのことを伝え聞いた人たちが、どこからともなく集まってきた。
いてもたってもいられないくらい、恥ずかしくもあり、情けなかった。
それからしばらくして、柳谷村役場前の駐車場はきれいに整備されたと伝え聞いた。
人生は失敗の連続である。それを経て少しずつ、人間は成長するというが・・・
まだまだ修行が足りないのであろうか。