H20.3
我が家で飼っていた柴犬のコロが先月末に亡くなった。16才と5ヶ月余りだった。
人間の年齢で言うとおそらく90才に近いのではないかと思う。
私と家内に看取られながら眠るがごとく静かに息を引き取った。老衰による大往生だった。ここ1、2年は白内障で眼が見えず、耳も聞こえず少し認知症もあったが、日々穏やかな生活を送っていた。手前味噌になるが、本当に性格のいい犬だった。
親友の獣医の助けもあって、大きな病気をすることもなく元気な生涯を送ることができた。
コロが我が家に来たのは16年前の秋祭りの前日で、生後50日くらいだったと思う。
口の周りが真っ黒で、まるで小熊のプーさんのようであった。手足が大きく、やんちゃ盛りのかわいい犬だった。子供たちはもちろんであるが、犬を飼うのは小学校以来ということもあって、それ以上にはしゃいだのは正直言って私かもしれない。
我が家に来た早々、居間の真新しい絨毯に早速見事な世界地図を描いてくれた。それも今となっては懐かしい思い出である。近くの淡路峠にも一緒によく登った。
血気盛んな頃で、急峻な坂道を休むことなく一気に駆け登り、息絶え絶えについて行ったことも何回かある。
コロが来て間もない頃、近所の家に泥棒が入ったことがある。我が家はコロが珍しく夜中に吠えた為、危うく難を逃れたが、3,4軒が被害にあった。そのことがご近所で話題になり、すぐに近隣の2軒が犬を飼い始めたことがあった。不審な物音で吠えたのか、ただのおしっこだったのか、いまだもって真相はわからないが、コロがお利口さんだということになって、鼻が高かったことがあった。
コロが我が家に来た時は長男が小学校3年生、長女が小学校に入学して間もない頃だった。子供たちも無事成人し、未熟ながらもなんとかまっすぐに成長できたのも、コロのお陰というところも少しはある。飼い始めた理由は、情操教育の一環などといったたいそうなものではなかったが、私たち夫婦のよきサポート役としてよくがんばってくれたと思う。
子供たちもコロに接した時のように、思いやりやいたわりのある人間に成長して欲しいと願っている。
コロ 長い間ほんとうにありがとう。 さようなら.
<<過去のコラムページへ戻る