先日、新聞の社会面に、
埼玉・男児放置死
6歳長男「僕が悪い」
母に言われ 2歳双子を世話
という見出しがあった。
ご覧になった方もいらっしゃるかと思う。
9月3日に判決が言い渡された埼玉県の男児放置死事件である。
育児放棄をし、居酒屋に入り浸り、男と遊びまわる無責任な母親から幼い双子の兄弟の世話をいいつけられた6歳の男の子は、精一杯面倒を見ていたが、先天的に病弱な双子の弟が亡くなってしまったという内容である。
胃に先天的な通過障害のある2歳の弟に、食事を少しずつ口に運んで食べさせてやったという。それでも、空腹に声をからして泣く双子の兄弟にうろたえて、何10回と母親の携帯を鳴らしても、「何とかしなよ」と言われ一方的に母親から電話を切られたという。
その忌まわしい光景が眼に浮かんでくる。
双子の男の子が息をしていないという異常の知らせで、やっと駆けつけた母親は、わが子の遺体を目の当りにして、6歳の男の子に平手打ちをして怒鳴ったという。6歳の子は「全部僕が悪い」と言って、泣きじゃくったそうである。
男の子があまりにも健気で、不憫である。それに比べ、犬畜生にも劣る鬼のような母親である。母親としての責任感や愛情はみじんも感じられず、子供を育てる資格などない。
とは言え、母親を責めるのは簡単である。社会の複雑に絡み合った背景を考える時、こういう時代に政治に関わるものとして無力感を感じながらも、今、自分の役割は何なのか、自分に何ができるのか、深く考えさせられた事件である。
この度の事件で残された兄妹には、周囲の温かいサポートによって、明るく、前向きに生きていって欲しいと切に願う。