Q&A 3
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Q3  賃貸マンションを退居する際、預けていた敷金のほとんどを内装クロスの貼替費用等に充てるので、返金できないといわれた。どうしたらいいの?
A3
1 敷金について
 賃貸借契約に当たって授受される一時金は、@賃料の前払い的性格を持つ礼金、権利金等とA預り金的性格を有する敷金、保証金等に大別されます。
 ただし、これらの一時金は地方の慣習によって名称や性格が異なります。あなたの一時金がどれに当たるかが最初のポイントです。愛媛県では、敷金は住宅の場合、家賃の3ヶ月相当が多いですが、その中には、一部「敷引き」といって、返還されない部分が含まれる場合があります。
 敷金とは、「賃料未払いの債務不履行等の債権を担保するために賃借人から賃貸人に交付される金銭であり、法的性質は、一種の停止条件付返還債務を伴う金銭所有権の移転」というものですから、基本的には債務不履行等がなければ賃借人に返還されるものです。

2 修繕費用について
 民法606条1項では「賃貸人は、目的物の使用収益に必要な修繕義務を負う」と規定されていますが、一般的な慣習、常識等によって、室内の消耗品等の交換などの小修繕は賃借人が行うのが一般的です。
 鑑定理論からいえば、賃料は「純賃料」と「必要諸経費」から構成されており、必要諸経費には会計学上の減価償却費が含まれます。
 ここで、減価償却の原因には、物理的要因と機能的要因などがあり、物理的要因とは、資産を使用することによって生ずる摩滅・損傷、時間の経過又は自然的作用によって生ずる老朽化等があります。したがって、理論的には、これらを原因とする価値の減少に係る修繕は、賃料に含まれている必要諸経費の中の減価償却費で充当されるべきである。(賃貸人が負担すべき)という結論になります。

3  結論
 あなたの場合、相当のヘビースモーカーで、内装クロスが「たばこのやに」で相当痛んでいる。小さな子どもさんによる襖等の損傷があるようですから、通常の使用収益を超える故意、過失の損傷に当たる可能性があります。
 したがって、襖の張り替えは賃借人の義務で修繕するのは仕方ないと思われます。しかし、クロスの場合、通常の「たばこのやに」程度であれば、貼替えでなく、クロスクリーニングで対応ができないかどうかも検討の余地がありそうです。また、敷金全額で修繕となるとかなり大規模な修繕と思われますので、賃貸人(又は管理会社)から修繕の見積りを見せてもらって、負担すべき部分とそうでない部分を話し合うことが必要です。
 こういったトラブルは最近多いですから、国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を出しています。これらを基に話し合ってください。

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