下肢の痛み(腰椎椎間板ヘルニア)

下肢の痛みを原因により分けると3つに大別されます。

1つ目は神経が圧迫されるための痛みです。
代表的な疾患としては、50歳までによくみられる腰椎椎間板ヘルニアと60歳以上でよくみられる脊柱管狭窄症があげられます。
腰椎椎間板ヘルニアでは、背骨を形成する骨(脊椎)と骨の間のクッション(椎間板)が破れて、中身の柔らかい部分(髄核)が外へ出てきて脊髄神経を圧迫して痛みを起こします。痛みは臀部、下肢の後面、側面などに多くみられます。
脊柱管狭窄症では、脊髄が通っている背骨のトンネル(脊柱管)が加齢によって狭くなり、脊髄神経が圧迫され痛みを起こします。痛みは歩行時に強く、歩き始めてしばらくすると下肢がしびれ、痛くて立ち止まってしまいます。腰を丸めて休むと痛みが引いてまた歩けるようになります。
いずれの場合も痛みは神経の圧迫によっておこっているので、治療としてはまず圧迫されている神経のそばにブロック注射で局所麻酔薬を注入し、痛みを軽減させます。足の筋力低下がひどい、排尿排便の調子が悪いといった神経圧迫がかなり強い場合は、手術が必要になる場合があります。

2つ目は血行障害による痛みです。
糖尿病や高脂血症で動脈硬化が進むと、足先の血行がわるくなり阻血性の痛みを生じます。
治療は血管拡張薬の投与や交感神経ブロックをします。

3つ目は関節の痛みです。
代表的な疾患としては変形性膝関節症があります。これは、膝の関節の中にある半月板や軟骨が老化のためにすり減り、関節が次第に変形していく病気です。日本人では膝の内側が狭くなることが多く、そこに強い痛みが出てきます。
治療は関節内にヒアルロン酸ナトリウムの投与を行いますが、膝の変形が強く、痛みも強い場合は人工膝関節置換術も適応となります。

たぼ麻酔科クリニック