顔面神経は左右の脳(脳幹)から内耳道、中耳腔を通って顔面に出る脳神経で、文字通り顔を動かす筋肉へ信号をおくっていますが、涙や唾液分泌、味覚などもつかさどっています。
顔面神経麻痺では、顔の筋肉を動かす神経である顔面神経に障害が起きるため、顔に表情を作ることができなくなります。飲み物が口からこぼれたり、洗顔の時に目がしみたりして気が付きます。
顔面神経麻痺の原因は中枢性と末梢性に分けられます。中枢性は脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によるもので、四肢の片麻痺など顔面以外の神経症状を伴うことが多くみられます。末梢性ではベル麻痺(寒冷刺激による循環不全やストレスが原因)が最も多く、ラムゼイ・ハント症候群(帯状疱疹ウィルスの感染により耳たぶや外耳道に水疱ができ、耳痛もある。聴神経が侵されると難聴になることもある)があげられます。
治療は、ベル麻痺の場合は副腎皮質ステロイドやビタミン剤、血管拡張剤などの点滴があり、ラムゼイ・ハント症候群の場合は抗ウイルス薬の投与をします。また、両者とも星状神経節ブロックが奏功する場合が多いので、麻酔科受診をお勧めします。保存的治療で治らない場合は手術(顔面神経減荷術)も考慮します。 顔面けいれんは目の周りがぴくぴくする状態から始まり、やがて精神的に緊張すると勝手に目の周りがひきつれ、目が開けられなくなり、つぶってしまう状態となります。
顔面けいれんの原因は、脳から顔面神経が出てくるところで血管が神経にあたって、神経が過敏になることによりけいれんが誘発されると考えられています。
治療は薬物療法(精神的な緊張をほぐす精神安定剤や筋肉の緊張をほぐす薬)、神経ブロック療法、ボツリヌストキシン療法、(ボツリヌストキシンをけいれんしている顔の筋肉に注射し、人工的に軽い顔面神経麻痺を起こさせる)、手術療法(微小血管減荷術)などがあります。 |