眠り月

エロですよ
いちゃいちゃですよ

















































































煌 第八話


あくる日、僕らのためにハルヒさんたちはわざわざ新しい家を用意してくれた。「わざわざってほど手間も掛けてないわよ。家になってくれそうなアーティファクトを探してきて、ちょちょっと家にしただけだし」
その言葉は本当なんだろう。
そうでなければこんなにも早く用意できるはずがない。
それにしても、
「わざわざありがとうございます」
ただでさえお世話になっているのに、と思い、そう深く頭を下げると、ハルヒさんはにやっと意地の悪い笑みを見せ、
「それに、あたしたちのためでもあるしね」
なんて言う。
ぎくりとしたところに追い打ちでもかけるように、
「夜中に騒げないんじゃ古泉くんたちも困るんじゃないの?」
と言われて、思わず赤面した。
「は、ハルヒさん…!」
「ハルヒっ!
彼も抗議の声を上げるが、彼女はむしろ得意そうに笑って、
「そういうことでしょ」
そういうことではありますけれど、面と向かって指摘されるのは非常に居たたまれない。
「ま、いつまでも客間にいたんじゃ手狭だろうとは思ってたから、この際理由は別になんでもいいのよ」
けらけらと笑って、
「いいからさっさと新居に入りなさいよ!」
と僕たちの背中を押した。
促されるまま入ると、そこには既に有希さんと朝比奈さんの姿があり、食事の支度をはじめていた。
「これは……」
「もちろん、新築祝いに決まってるじゃない!」
とハルヒさんが満面の笑みと共に宣言し、僕と彼とは二人で顔を見合わせた。
「お前、自分が騒ぎたいだけだろ」
「失礼ね! 少しは生活に変化がないと退屈するでしょ。言っとくけど、本気で退屈したあたしは、世界くらい指先ひとつで滅ぼすわよ!」
「勘弁してくれ」
ため息を吐いた彼に、ハルヒさんは満足そうだ。
本当に、仲がいい。
昨日までの僕なら、そう思うだけで酷く核が軋んだだろうけれど、今は違う。
微笑ましさと温かい気持ちが湧き上がるくらいだ。
にこにこと眺めていると、
「笑ってんじゃねえ」
と彼ににらまれたけれど、それでも嬉しい。
「多分、今の僕に何を言っても無駄ですよ」
「は?」
「…とても、幸せなんです」
そう囁くと、彼は恥ずかしそうに顔を赤らめた。
彼も同じだというのだろうか。
僕たちの胸の核が共鳴して小さく輝く。
こんな分かりやすいものがあったことさえ忘れてしまうほど、僕は彼のことを見ていなかった。
それなのに、勝手なことを考えて、一人で落ち込んだりして、本当に馬鹿げてた。
自分が珠魅であることに、初めてと言っていいだろう感謝を覚えた。
勧められるまま席に着いた僕に、有希さんが小さな声で話しかけてきた。
「…もう大丈夫?」
「ええ。…色々とご迷惑をおかけしました」
「……そう」
その声は少し柔らかく、暖かい。
僕は笑みを少し深くして彼女を見つめた。
人形らしい整った顔には、暖かさがにじんできている。
ある意味では、彼女のような人形の方が、僕たち珠魅には近いのかも知れない。
朝比奈さんもにこにこと、
「なんだかよく分からないけど、仲がよくって嬉しいです。おめでとうございます」
と言ってくれた。
僕は苦笑しながらお礼を返し、そうして僕たちは、新築祝いと称するパーティーを始めた。
それはもう楽しいもので、お酒の入ったハルヒさんはいつにも増して上機嫌だし、顔をお酒で赤く染めた彼がさりげなくテーブルの下で指を絡ませて来たりするのは可愛らしくて堪らなかった。
酔っぱらった朝比奈さんが披露してくれた歌はなるほどお世辞にも上手とは言い難いものではあったけれど、酔っぱらった僕たちには彼女の歌と言うだけでおめでたいもののように聞こえたくらいだった。
有希さんが全身のパーツをばらばらにして見せるなんていう、トラウマ寸前のかくし芸を披露し僕たちの酔いを醒まさせてくれたところで、飲み会はお開きとなった。
「びっくりしたな…」
まだ有希さんのかくし芸に度肝を抜かれたままらしい彼が呆然と呟く。
その足元はふらついていて少しでなく危うい。
「そうですね。まさか彼女にあんな特技があったなんて……」
「まあ、多分、俺たちの酔い方が酷いから一度ショックを与えてやろうとでも思ったんだろうが……」
それにしても、とぶつぶつ言いながら戸締りを確かめ、寝室に入った僕たちは、さっきとは違う意味で呆然とする破目になった。
「…なんだ、これは」
彼の声には呆れと驚きと戸惑い、それから少々の怒りがにじむ。
「……お祝い、ですかね」
寝室には大きすぎるほど大きなベッドがひとつと、こじんまりとしたタンスくらいしかなかった。
むしろ、ベッドを置いたらそれ以上場所はなかったという風情だ。
それくらい大きい。
多分、大の大人の四人や五人、並んで眠れるんじゃないか。
おまけに、そのベッドの上には鮮やかな花々が撒かれ、部屋の窓と言わずランプと言わず、花や果物やリボンやレースなどで派手に飾り付けられている。
若い夢見がちな少女ならともかく、僕らからしてみれば悪夢のような部屋だ。
「こんな部屋で寝られるか!」
という彼の唸り声には深く同意する。
でも、
「安眠は元からさせないつもりでしたので、ちょうどいいかも知れませんね」
ぽつりと呟くと、彼の顔が酒のせいでなく赤く染まった。
「んな…っ、こ、古泉……!?」
「あなただって、分かっているでしょう? それに、昨日も言ったじゃありませんか。環境が整ったら、我慢しなくていいんですよねって。あなた、否定しませんでしたよね?」
「それは……その………」
言いよどむ彼がそろそろと後ずさろうとするので、入口の方に回り込めば、彼は分かっているのかいないのか、ベッドの方へと追いつめられる。
僕は出来る限り優しく、にっこりと笑って見せると、彼は困ったように眉を寄せて、それから僕の方へと手を突き出した。
「ちょっと待ってくれ。今……覚悟を決めるから」
そう言って深呼吸をする。
そんな風にして間を置く方が余計に恥ずかしくなりそうなものなのに、と微笑ましく見ていると、彼もやっぱり恥ずかしさが増したんだろう。
じわじわと顔の赤みが増していく。
可愛い。
いっそこのまま押し倒してあげた方が親切だろうかと思いつつ、彼が心を決めるのを待っていると、彼は酷く真っ赤な顔のまま、でも、まっすぐに僕を見つめて、
「……古泉」
と僕を呼んだ。
その声の柔らかさに、核が震える。
共鳴した核が澄んだ音と輝きを返し合う。
言葉は、それだけでもう十分だった。
僕はゆっくりと彼に向かって歩き、彼はそろりと腕を広げて僕を迎えてくれた。
彼に抱きしめられると、核が触れ合った。
暖かくて愛おしい気持ちで満たされる。
上を向いた彼の唇に自分の唇を重ねると、それは薄く開いて僕を誘った。
触れ合わせた舌も柔らかく、積極的に僕を受け入れてくれているということが僕の興奮を煽りもしたし、がっつきそうになるのを抑える役にも立った。
好きで堪らなくて、切望し続けた存在が腕の中にいてくれる。
いや、あるいは最初から、彼は僕の中にいてくれたのだ。
僕がただ、それを認められなかっただけで。
唇の端から溢れた唾液を追って、顎のラインをなぞる。
形のいい耳を舐めて、少し硬い髪の毛を味わう。
「ん……っ、ぁ…くすぐってぇ……」
「くすぐったいですか?」
「…ん」
頷いて、彼は僕の首に腕を絡めると、後ろに倒れるような形で僕を引き倒した。
大きなベッドに体を預け、彼は僕を見上げてくる。
どこか恨みがましく、でも、優しい瞳で。
「…お前の触り方、ねちっこいんだよ」
「だめですか?」
「だめって言ったらやめてくれるか?」
そう問われて、僕は一瞬だけ考えたけれど、答えは決まっている。
「やめられません」
「だろ」
全く、と苦笑しながらも彼は優しい声で、
「お前がわがまま言ってくれるとか、なかったからな。……そのせいで、お前にねだられると弱いんだ。だから、全部お前が悪い」
と甘い言葉を囁く。
「全部僕のせいにしてください。…僕は、全部あなたのおかげだと思ってます」
「ん?」
何がだ、と問いかける彼に、僕は笑みを返す。
「こんなに幸せな気持ちになれたのも、こんな素敵な家に住めるのも、こうして穏やかに過ごせるのも、あなたのおかげです。感謝してます」
そう言ってもう一度唇にキスすると、軽く噛みつかれた。
「ばか。……俺がいただけじゃ、どうしようもなかっただろ」
「それでも、あなたがいて、あなたが僕を変えてくださったからこそだと思います」
それでこの話は終わりにしておかないと、いつまで経っても何も出来ないだろうと、僕はそっと彼の喉を撫でおろし、核の手前で指を止める。
「…今夜も、核に触れていいですか?」
囁くような声で問いかけると、彼は恥ずかしそうに目をそらし、それでも、
「好きにすりゃいいだろ」
と言ってくれた。
「嬉しいです」
と返して、僕はその核を見つめる。
虹色に輝く澄んだ核は、本当に滑らかで美しい。
触れた時、反発するというよりも受け入れられるような気がするほど柔らかく思えるのも、彼の核だからなんだろう。
核を宝玉と見たとして、多くの珠魅のそれは目で輝きを楽しむ類のものになるだろうけれど、彼は違う。
手で触れ、頬を寄せ、そうしてやっとその真価を理解できるものだ。
彼の核に指を這わせると、彼の四肢が小さく震える。
「ん……っ…ぅ………はぁ…!」
耐えかねたように漏れ聞こえてくる吐息が耳をくすぐる。
核と肌の触れ合う境をなぞり、そこから核の頂点へとぐるぐるとなぞり上げると、彼はきつくシーツを握り締めて何かを耐える。
「声…聞きたいんですが……」
「き、かせ、られるか…っ! あっ…!」
手の平全体で核に触れると、彼が小さくのけぞった。
甘い声をもっと聞きたくなる。
手の平を使って核を撫で回すと、彼は体をひくつかせ、
「は…っ、ぁ、ん、や、やぁ…!」
と甘い声を上げるけれど、本気で抵抗はしない。
しないように、堪えてくれる。
それが嬉しくて、調子に乗った僕は、彼の核のすぐ側にある、二つの小さな突起の一つに指を触れさせた。
「んっ!?」
まさかそんなところを触られると思っていなかったんだろう。
彼が驚いた声を上げるのも構わず、僕はそれを指先でこねる。
柔らかくて、そもそも色くらいでしか判別できなかったはずのそれがあっという間に硬くなり、指先だけでそれと分かるほどぷっくりと勃ちあがってくる。
「や…っ、ぃや……それ、ぞくぞくして…や……!」
泣きそうな声で彼が訴えてきてもやめられない。
「舐めてもいいですか?」
「ひぁ……? あ……なに…?」
戸惑う彼に、
「核と乳首、どっちを舐めてほしいです?」
と意地悪く問えば、彼はきっと僕を睨みつけてくるのに、帰って来る罵りの言葉は、
「いちいち聞くなばか!」
というものだった。
「…本当に、可愛いですね」
しみじみと呟いて、僕は小さな突起の方へと口づける。
ささやかなそれに歯をひっかけて、少しばかり強めに刺激すると、彼の体が一際大きく跳ねた。
「ふあっ…!」
「核にはこんな乱暴は出来ませんからね。…優しくしますよ」
そう囁いて、今度は核に口づけた。
優しく、触れるかどうかというほどそっと。
そうして、そろそろと舌を這わせれば、彼の顔に浮かぶのは、どこか恍惚として危うげな色だ。
その脚はいつの間にか薄く開かれ、誘い込もうとしているかのように思える。
核と乳首とを口で愛撫し続けながら、慎重に手を滑らせ、彼の脚に触れると、彼も気が付いた様子を見せたが、小さく身じろぎし、僕を見ただけで、止めろとも言わなかったし、脚をきつく閉じなおそうともしなかった。
膝頭から脚の付け根まで、滑らかな太ももを味わうように手を滑らせる。
いつまでも触れていたくなるような感触を惜しみつつも、彼の中心に触れると、
「あ…っ、ぅ…そこは……」
と抗議めいた声が上がった。
「だめですか?」
「だめ……つか…恥ずかしいだろ……」
「これからもっと恥ずかしいことをするつもりなのに、ですか?」
意地悪な笑みを見せると、彼は僕を睨み付け、僕の襟を掴むようにして僕を引き寄せた。
「俺だけ脱がしたりせずに、お前も脱げ!」
なんて言うところは本当に男前で彼らしい。
「すみません」
と笑って、僕は自分の服を脱ぎ棄てる。
僕の核も、彼の核に負けじと輝いていた。
自分でも見たことがないほど明るく、強く。
「…お前は俺の核がきれいだってそればかり言うけど、お前の核だって相当きれいだろ」
そう言いながら、彼は僕の核に触れる。
人に触れられるというのは滅多にないことで、少しばかり怖くもあるけれど、彼ならば平気だと思えた。
彼のあたたかな手が、僕に触れる。
生身をさらした心そのものに触れられるような感覚だ。
彼の核と重ね合わせるような形で、彼に伸し掛かる。
触れ合った核が共鳴し、深く伝わりあう。
……でも、もっと深くつながりたい。
「んっ……ぁ……古泉……」
彼の脚を割り開いて、興奮したものに触れる。
それだけでは足りなくて、もっと深いところを求める。
「あ……んな、とこ……」
わななくような呟きに、少しばかりの罪悪感を覚えながらも止められない。
彼のあふれさせた滑りをすくって、狭い入口をこじ開ける。
「いっ……た……こ、古泉…!」
「すみません、ゆっくりしますから……」
許してください。
「……ばか」
もうすっかり口癖のようになってしまった言葉を繰り返して、彼は僕の頭を撫でる。
「焦ってんのはお前だろ。……ゆっくりしてくれたら、大丈夫だと思うから……」
そう言っておいて、彼は顔を歪め、
「にしても…やっぱり俺が下なのか」
「嫌ですか?」
そう尋ねると、彼は少しましになっていたはずの顔の赤みをまた強くして、
「………や……じゃ、ないが…………萎えるなよ」
「萎えませんよ」
そう言って彼の頬にキスをする。
慎重に、じれったくなるほどゆっくりと準備をしながら、彼に囁く。
「あなたを傷つけるようなことはしません。……あなたとひとつになりたいんです」
「分かってるから…わざわざ恥ずかしいこと…ん、言う、なよ……」
彼は手を伸ばし、僕の頭を両手で包むと、ぐしゃぐしゃと髪を乱すように撫で回す。
「俺も同じだから…」
そう笑ってくれるのが嬉しい。
もう何度も思ったことだけれど、改めてまた思う。
この人を守っていきたい。
この人を守るために生きたい。
生きるために姫を守る騎士となるのではなくて、姫を守る騎士であるために生きていたい。
「………ああ、そうか」
僕が小さく呟くと、彼は小さく首を傾げた。
「どうした…?」
「いえ、大したことではないんです。……ただ、噂に聞いたんですが、ここ百年ほどの間、各地の珠魅は涙を流せなくなっているのだそうです。それがどうしてなのか、いくつもの説がありました。その理由が…なんとなく、分かった気がするんです」
「はぁ? お前はこんな状況で何を考えてんだ?」
「……全くですね」
「…っん! ちょ……っ、んぁあ!」
油断していた彼が上げた声に気を良くしながら、僕は彼の中をゆっくりとかき回す。
「ひっ…ぁ、ちょ、古泉……!」
「もうそろそろいいですよね?」
確認の言葉を掛けつつ、彼の脚を大きく割り開くと、彼は驚いた顔をした。
けれど、彼は恥ずかしいのを堪えてくれる。
「……調子に乗ったお前ってほんと、たち悪い…」
そう文句を言って、彼は呼吸を整える。
「褒めてくださってありがとうございます」
「褒めてねーよ。……全く…」
小さく笑って、彼は自分で脚を抱え、
「…もういいんだろ。も……早く…」
「……やり過ぎですよ」
「うるせ……っ、ん、ぁ……っ!」
高ぶったものを押し当てるだけでも彼は喉を震わせ、声を上げる。
ひくつく場所は求めているように見えるのに、とても小さく見え、傷つけてしまいそうで怖い。
大丈夫だと信じて、ゆっくりと力を込めた。
「あ……っ………く、ふぅ……っ…」
四肢を震わせ、体をのけぞらせる彼の表情を慎重に観察する。
痛むようなら止めようと思いながら、本当に少しずつ腰を進めていると、
「ばっか…! 見るんじゃ、な…っ、あ、ふぁあ…!」
と叱られた。
「不安なんですよ」
「うる、っさい、そういうことじゃ、なくって、ひ、ぁん…!」
「…でも、大丈夫そうですね」
「え?」
彼がぽかんとして力が抜けた隙に、一気に最奥を突くと、
「いっ………あぁああぁ…!」
悲鳴じみた声が上がったけれど、それは悲鳴じゃなかった。
「あっ…ぁ………な……に………、なんだ、これ……ぇ…」
「大丈夫ですか?」
「……大丈夫じゃ、ねえよ、ばか…」
苦しそうに息を吐き出して、彼は僕をじっと見つめる。
「…お前は……?」
「……熱くて、柔らかくて、気持ちいいですよ。……これがあなたなんですね」
「そこだけが俺みたいな言い方すんなよ」
と小さく笑って、
「…お前も気持ちいいなら、よかった」
僕は彼をきつく抱きしめ、彼の頬に口づける。
「ん………古泉……」
「あなたが好きです」
そう言って、反対の頬にもキスをする。
「…もう、あなた以外の姫なんて考えられないほど、あなたといたいんです」
「……そうか」
くすぐったそうに笑って、彼は僕の髪を撫でてくれた。
「…俺も、お前以外の騎士なんていらない。だから……ずっと側にいてくれ」
唇を重ね合うと、核も重なり、そうして強く輝いた。
「……もう、動いていいですか?」
そう声を掛けると、彼は小さく頷いてくれる。
ゆっくり腰を動かすと、彼は僕にだけ聞こえるような小さな声が聞こえる。
「…っ、ん、ぁ……はぁ…っ……」
その声の甘さが嬉しくて、くすぐったくて、愛しくて、止まらなくなる。
彼の中を大きくかき混ぜると上がる鋭い声も、ゆっくり律動した時に聞こえるかすかな吐息の乱れも全て愛しい。
熱く、きつく締め付けられるともう止められなくなる。
「もう……っ、我慢できません……」
「お、れも……だから……!」
今にもはじけそうになっている彼のものに手を触れさせると、
「ひゃっ…! い、ぁ……ぁあ!」
鋭い声を上げて、彼は命の欠片にも似たものを吐き出した。
その拍子に中もきつく締り、搾り取られるようにして僕も同じものを吐き出す。
ぐったりと力の抜けた彼を抱き締め直すと、彼はぼんやりと天井を見上げながら、
「……なんで、生殖機能もないのにこんな形の体なんだろうな。珠魅って」
と呟いた。
「僕も昔から不思議でした。……でも、最近分かった気がします」
そう僕が笑うと、
「なんでだっていうんだ?」
と問われる。
「とても簡単です。それに、あなたにも分かるんじゃないですか?」
「俺にも?」
「ええ。……きっと。」
――珠魅は、人になりたがった石なんですよ。
僕がそう告げると、彼は一度目を見開いたけれど、すぐに納得した様子で笑ってくれた。
「そうなのかもな」
それに、と僕は意地悪く囁く。
「子供を作るだけが目的の行為じゃないでしょう?」
「……まあな」
恥ずかしそうに顔を赤くした彼は、そっと顔を背けてしまったけれど、僕はもう前のように寂しくなんかならなかった。