眠り月

エロです
いちゃいちゃです
でも丁寧に書いてないからエロとしては微妙だよ!←

















































































ツメミガキ


映画館でデートをして、食事は古泉の部屋で古泉の手料理を食べて、まだ夜にしても早い時間だから寝るのも少し惜しく、何をしようかと思いながらも、習慣で風呂に入り、温まった体をやわらかなネグリジェに通すと、自分がとても穏やかな気持ちになっているのを感じた。いつの間にか、自分の部屋や実家よりも、古泉の部屋、古泉の側というのが落ち着ける場所になってきているような気がする。
それが嫌だとまでは言わないが、少しばかり気恥ずかしいものは残る。
顔の赤みは、湯上りだからという理由で誤魔化せる程度だろうかと心配しつつ、リビングに戻った。
古泉は後片付けを終えた様子で、何やらパソコンをいじっていたのだが、俺が戻ってきたのを見ると、人懐こい子犬のような顔で振り向いた。
「しっかり温まりました?」
「ん…、気持ちよかったぞ。お前も入ってきたらどうだ?」
「そうですね」
と頷いたくせして、古泉はバスルームには向かわず、ソファに腰を下ろした俺の側にやってきた。
「……どうかしたか?」
「どうかした、という訳じゃないんですけど……」
少し困ったような笑みを浮かべながら、そっとかがむと、俺よりも低い位置から、
「いつもお疲れ様です」
と唐突に口にしたので、俺は少しばかり驚いた。
「いきなりなんなんだ?」
「いえ……いつも忙しくしておられるあなたを労いたいと思っただけですよ?」
「……なんというか、久しぶりだな」
思ったままを呟くと、古泉は、
「え?」
と短く声をあげて、不思議そうな顔をする。
「ああいや、別にお前が優しくしてくれてないって訳じゃないぞ」
勘違いするなよ、と言い聞かせておいて、俺は小さく笑った。
「お前がそういう胡散臭いことを言いだすのが、久しぶりだと思っただけだ」
「……胡散臭い、ですか?」
「そうだろ? 少なくとも、いつも通りのお前なら、労いたいなんてことは言わずに、存分に俺を甘やかしてくれると思うが?」
ニヤリと意地悪く笑ってやれば、古泉は苦笑を浮かべる。
反論しない、ということは何か企んでいるということだろう。
俺はあえて挑発的に、
「で? 胡散臭いセリフの次には何が始まるんだ? ちょっとしたサプライズって済ませられるくらいならいいが、別れ話やお前と会う回数を減らすなんて相談なら受けつけられんぞ」
「ありえないことをおっしゃいますね」
と軽く声を立てて笑った古泉は、俺の隣にそっと腰を下ろし、
「いえ、ね」
と少しばかりもったいぶるように言葉を濁したが、もったいぶるということは大したことではないんだろう。
「……本当に、あなたは学校に、SOS団の活動に、モデルとしての仕事にとあれこれ忙しくしていて、お疲れだろうなと思ったんです。いえ、思ってきた、というべきでしょうか」
その些細な違いは別にかまわんのだし、大して忙しくしているという感じもないのだが。
「十分忙しいと思いますよ。それで……僕にも何かできることはないのかと思いまして」
「お前は十分よくしてくれてるだろ?」
俺の勉強を見てくれたり、気晴らしに連れてってくれたり、ハルヒの無茶を少しは止めようとしてくれるようになったことなんて、大した違いだと思うんだが。
それに、モデルの仕事がある時にはマネージャーよろしく律儀についてきてくれて、かいがいしく世話を焼いてもくれるなんて、これ以上を望むべくもないような厚遇じゃないか。
「あなたにそう言っていただけるのは嬉しいですが、」
と古泉はまたもやあの困ったような複雑な笑みを見せ、
「もっと何かしてあげたいと思うんですよ」
「……ばか」
と呟いたものの、それは罵りや文句の類じゃない。
いや、ある意味では文句の一種かも知れないが、そう悪いものではなかった。
嬉しくて、くすぐったくて、顔が熱くなる。
「いつかお前に殺されるな、俺は」
「ええ?」
驚いて、少しばかり間の抜けた声をあげた古泉を、
「だって、」
と見つめ返す俺の目は潤み、顔だって真っ赤になっているに違いない。
「溺愛され過ぎて、こっちの方が溺れ死にそうだ」
古泉はかっと頬を染めたかと思うと、
「その時は一緒ですよ」
なんて囁きながら、俺を抱きしめた。
その暖かさにさえ、愛されてるなんてことを感じて、堪らない気持ちになる。
「古泉…」
と熱っぽく名前を呼んだのだから、俺の意図なんて分かってるだろうに、
「それで、」
と古泉は無邪気にすら見える笑みを見せ、
「何かできないかと思って、少し考えてみたんです」
「…別にいいってのに……」
しかし、わざわざ何か準備してくれたってことなら、今更そんなことを言っても無駄だろう。
俺は眉を寄せないように気を付けながら、
「で、何をしてくれるって?」
と尋ねると、
「ネイルケアくらいなら、僕にも出来るかと思いまして」
と返された。
「……出来るのか?」
「調べて、いろいろと準備もしたんですよ」
そう言っていそいそとあれこれ取り出すあたり、こいつも結構な凝り性なんだろうな。
「そうじゃなくて、あなたに何かしてあげられるのが嬉しいんですよ」
「だったらいつも嬉しそうにしてろよ。…俺はお前に世話を焼いてもらってばかりなんだからな」
「ええ、いつも幸せですよ」
軽やかにそんなことを言ってのけた古泉は、まずはと俺の手をホットタオルで優しく拭った。
「本当は消毒も必要だそうなんですけど、あなたと僕なら今更、手の平が触れ合ったからといって何も変わりませんよね」
そう悪戯っぽく笑っておいて、ちゃんとネイルケアとやらを続行するあたり、こいつは律儀だ。
古泉は優しく俺の手を取ると、ガラス製の爪やすりで俺の爪を整えにかかった。
自分でもきちんとしているつもりではあるのだが、人からとても慎重な手つきでじっくりとそうされると、なんだかひどくくすぐったい。
俺の爪をきれいに丸く整え、どこかおかしなところがないかと見つめる古泉は真剣そのもので、どこか職人のようだ。
苦笑しながらもそんな古泉をほほえましく見つめていると、
「どうかしましたか?」
と問い返された。
「どうかしたってんじゃないが……
俺は意地の悪い笑みを向けて、
「一生懸命なのが可愛いなとか、それだけされるなんて愛されてるなとか思ってただけだ」
しれっと返せば、古泉は嬉しそうに笑って、
「ええ、愛してますよ。…可愛いと言われるのは照れますけどね」
と本当に照れくさそうに言うので、俺は小さく笑っただけで勘弁してやった。
古泉はぎこちないながらも丁寧な手つきで俺の爪に専用のクリームを乗せ、それを優しく塗りこむ。
そうして指先を揉まれると、痛気持ちいいくらいの刺激が来て、血行が良くなってくる気がした。
「あー……気持ちいい…」
気の抜けた声で呟いても、古泉は喜ぶばかりだ。
「それは何よりです」
といつも以上ににこにこしながら言って、右手の指を全部きれいに揉んでくれる。
それから、一度俺の側を離れて、わざわざ運んできたのはぬるま湯に指先を浸させた。
それもただのぬるま湯ではないらしく、ほんのりと甘い香りがする。
「いい匂いだな」
「気に入っていただけて何よりです」
そう微笑んだ古泉は、左手の指に取り掛かった。
やはり同じように丁寧な手つきで、飽きることもも辟易することもなく俺の指を揉んでくれる。
その忍耐強さはどこから来るのか聞いてみたいもんだね。
「簡単ですよ。耐え忍んでやっているわけではないというだけのことですから」
愉快そうに笑って、古泉は俺に柔らかなまなざしを投げかける。
「あなたのためだと思うと、どんなことでも楽しくなりますし、何より、あなたに触れるということが僕は好きなんです。ですから、これはむしろ僕の楽しみなんですよ。あなたこそ、嫌ではありませんか? こんな風にして動きを拘束されて。退屈でしたら、テレビをつけましょうか」
「いらん。……お前の奉仕を甘受するのに忙しいからな」
「ふふ」
古泉は本当に楽しそうだった。
左手のマッサージを終え、ぬるま湯でふやかした俺の手を取り出すと、洗いたてのさわり心地のいいタオルで丹念に水滴を拭い取ってくれる。
そのままタオルを巻いて保温しておいて、左手のために新しいぬるま湯を運んでくるという甲斐甲斐しさだ。
そうして、細い金属のスティックを使って柔らかくなった爪の甘皮を優しく押し上げる。
痛くないようにそっと、最低限の力でされると、それは気持ちのいいものであるらしい。
あるいはそれも、古泉にされるだろうか。
古泉が左手に取り掛かる頃には、俺はもうすっかり寛いだ気分になっていて、いっそ蕩けているとでも言った方がいいような状態だった。
「眠くなったなら、寝てもいいんですよ?」
そう言ってくれるのはありがたいが、
「ん……まだ起きてたいから…」
「そうですか」
苦笑しながら左手を放した古泉の手を、名残惜しい思いで追いかけると、古泉の両手で柔らかく包み込まれた。
「マッサージもします?」
「んー…」
否定とも肯定とも取れない呟きを、古泉は自分のいいように解釈したらしく、俺より一回り大きくてしっかりした手で揉みほぐし始めた。
「結構凝ってますね…」
親指の付け根を力を込めて解しながら、古泉は独り言のようにそう呟いた。
しかし、俺がそれを独り言にしてしまうはずもなく、
「ん…まあ、なんのかんの言って使うからな」
指を立ててぐいぐい押されても、気持ちいいばかりで痛くはないのは、爪が食い込むことがないからだろうか。
俺はじっと古泉の指を見つめて、
「…なんか、いつも以上に爪がきれいじゃないか?」
「え? ……ああ、」
納得したような声を一人で上げた古泉は、少しばかり照れくさそうに、
「あなたにちゃんとしてあげられるように、練習しましたからね。そして、練習するなら自分の爪でするのが一番手近でしょう?」
「だな」
頷きながら俺は右手を伸ばし、古泉の手を取った。
「…あの……?」
丸く整えられた爪は断面の鋭さすらなくて、ひたすら優しい姿をしていた。
まるきり、古泉が俺に向けてくれる感情そのもののようだ。
俺はそれを指先で確かめながら古泉の目を覗き込み、
「……ちょうどよさそうな爪だな」
と謎かけをした。
流石にそれだけでは分からないのだろう。
きょとんとした顔をする古泉に、俺は悪辣な笑みを見せ、
「これなら、爪で傷がつくなんてこともなさそうだと思っただけだ」
と告げて、その手を引き寄せ、軽く口づけた。
古泉の顔に赤みが差し、ソファが軋んだ音を立てた。
「……誘ってます、よね」
「………今更そんな確認を求められるとは思わなかったな」
呆れてそう言った俺に、
「すみません」
と謝りながら、古泉は俺に伸し掛かるような形で俺の唇を奪った。
奪ったとは言ったものの、それを奪うように仕向けたのは俺だし、奪われるも何も、それはとっくの昔に古泉のものである。
しかしながら、そう言ってもいいような気がするほど、情熱的で大胆なキスだった。
「ん……っ、は……ふ…」
息継ぎの合間に声を漏らし、それでも離れがたくて体を寄せると、ころりとソファの上に横たえられた。
「…ここで……?」
ぼんやりしながら問えば、
「寝室がよければ、移動しますよ」
「……ん、ここで、いや、ここがいい…」
甘えた声を出しながら抱きつけば、古泉は嬉しそうに鼻を鳴らした。
「好きです」
「俺も好きだから……もっと…」
ねだる俺の胸をそっと撫でた古泉は満足そうな呟きを漏らした。
「ブラもパッドもしてないんですね」
「…お……お前が何度も何度も、しなくていいってしつこく言うからだろ…」
言っとくが、してないってだけでも死ぬほど恥ずかしいんだからな。
「あなたのその恥じらいも含めて、好きですよ。……今度はお化粧なしで、なんてどうです?」
「無理だ…」
すっぴんで女装なんてしたって不恰好にしかならないんだから無茶を言うな。
「僕には十分かわいらしく見えるんですけどね」
恥ずかしげもなく言ってのけた古泉は、薄く柔らかな生地越しに胸の突起を撫でくすぐる。
「は…っ、あ………んん…」
くるくると円を描くように軽くなぞられるだけでもむずがゆく、円運動の中心がつんと尖ってくるのが確かめなくても分かった。
「あっ…あ、古泉……っ、もっと、ちゃんと触って……」
「こうされるのも好きなくせに、何を言うんですか?」
意地悪なことを言って、古泉はじわじわと煽るばかりだ。
「や、ぁ……!」
「もう少し……ね」
ね、じゃねえよ。
「苦しく、なるって…!」
「まだ平気でしょう?」
「い、じわる……!」
罵ったところで、それくらいでは古泉にはまるで堪えず、むしろ睦言のような甘さで届くらしい。
「好き、でしょう?」
「………ばか」
今日何度目とも知れない悪態を吐きながら、腕を伸ばし、古泉を抱き寄せる。
「お前こそ、俺のこのぺったんこのおっぱい、好きなくせに」
羞恥心をかなぐり捨てる思いでそう囁いてやると、古泉は軽く息を詰めた。
俺はにたりと笑って古泉を見つめ、
「好きだろ?」
「…好きですよ」
渋々というような調子ではあったが、柔らかな声でそう言った古泉に、俺はあえて尊大に、
「それを舐めさせてやるって言うんだから、ありがたくそうしろよ。…ほら」
ネグリジェのボタンを外し、はだけてやれば赤くなった乳首が震えそうに顔を出す。
「……あなたには本当に敵いませんね」
幸せそうに呟いて、古泉はようやくそれに唇を寄せた。
ふわりと甘く香りそうな吐息が触れたと思うと、舌先でちろりと舐められ、指先とは違うもののまだもどかしさの強い感覚にびくんと腰が震えた。
「ひゃ…」
「ん……もっと、ですよね」
独り言よろしく呟いて、古泉はそれをれろんと大きく舐め上げた。
弾かれた乳首がひりりと痛むのだが、それすら気持ちよくて、
「あん…っ」
「感じてるんですね。こんなに真っ赤になって…痛そうなのに……」
「だ、れのせいだと……、ん、ぅ……」
古泉は片方の手を俺の胸の中心に置いたと思うと、そこからゆっくりと下へとなぞり下ろした。
振れるか触れないかという距離がもどかしく、そのくすぐったささえ性感を煽る。
「ん、んん……」
俺の喉を震わせたその指は、へそのまわりをぐるりと撫でて俺を悶えさせておいて、そのままさらに下へと下りた。
ネグリジェ越しに下着のゴムを引っ張って、
「今日は紐じゃないんですね」
「っ、な……」
「あれ、結構好きなんですけど……」
「へ、変態…」
「あなただって、あれをつけてると興奮するのか、大胆になるじゃないですか」
揶揄するように囁いて、古泉はわざとやりにくい状態のまま、じわじわと下着を下ろす。
もういっそ一息に引きずり下ろして欲しくて腰を浮かせても、そうはしてくれないのが憎たらしい。
「いっそもっとエッチな下着でもプレゼントしましょうか」
「は!?」
何を言い出すんだと驚けば、古泉は恥ずかしげもなく、
「それこそ細い紐そのままのように頼りないTバックにします? あるいは、こうして下ろさなくてもいいように、大きく切れ目の入ったものなんてもの、悪くはありませんね」
「変態……!」
もう一回罵れば、古泉はくすくすと声を立てて笑って、
「あなたにだけですから安心してください」
「…っ、ほんとにお前ってやつは……」
「ふふ」
やっとネグリジェの中に手を差し込んできた古泉は、さっきまで焦らしていたのは自分だってのに、いきなり乱暴な手つきになって、俺の下着を剥ぎ取った。
「うあ……!」
「脱がされただけで興奮したんですか?」
「う、るさ…っ、あ、やああ…!」
すっかり硬くなっていたものをきゅっと握り込まれ、軽い恐怖とそれによって強められた快感に体が跳ねる。
「濡れて、ぬとぬとになってますね。…舐めていいですか?」
「し、ないで、いいから…っ、それより、後ろ……っ!」
「こちらに欲しいんですか?」
俺の出したもので滑りを帯びた古泉の指が、ぬるりと滑って望む場所に触れると、そこがひくつくのが分かった。
「ふあ……、ん、そこに……」
「……可愛い」
ぼそりと低く呟いて、古泉はあの丸い爪をした指先をくぐらせた。
それは当然のように俺を傷つけることなく柔らかな内壁をくすぐってくる。
「あ…っ、あ……!」
「今日も熱くて柔らかくて……気持ちいいですね」
そう呟きながら、古泉はもう一本指を入れた。
「んぁ…! あんっ…ん、気持ちいい……」
少しばかり強引に押し広げられても感じるなんて、とんだ淫乱だと薄く笑えば、快感も余計に強まった。
「古泉……っ、早く、入れて…。お前が欲しい……」
古泉が望むならもっといやらしくて、とてもじゃないが電波には乗せられないような言葉を使ってやってもいいと思ったのだが、今日の古泉はそこまで鬼畜ではなかったらしい。
「……僕もですよ」
そう囁いて、すぐに用意を整えると、俺のそれ以上に熱くて硬いものをぐっと押し当てた。
「んっ……ぁ…はや、くぅ………ぅ…」
うめき声にも似た喘ぎを漏らしながら、きつく古泉の手を握り締めれば、なだめるようなキスを落とされた。
くすぐったいそれに気を取られている間に、一番深くまで古泉を飲み込めたので、その腰に脚を絡めた。
「はぁ……」
「大丈夫ですか?」
「ん……、平気だ…し………気持ちいい…」
体の中に熱いものがあって、しかもそれがドクドクと脈打っているのが、どうしようもなく気持ちいいのも、古泉だからだと思う。
「んん…古泉、動けよ……」
「喜んで」
くすりと小さく笑ったのは見逃してやる。
じゅぷじゅぷといやらしい音を立てて擦れ合うと、それだけで頭の中が白くなりそうなほど気持ちよくて、俺はひたすら喘ぎ声をあげるばかりになる。
すがるものは古泉しかないが、それ以外の物があったとしてもすがりたいとは思わなかっただろう。
手入れされたばかりの優しい形をした爪を古泉の背に立てて、大きく体をしならせた。