百合でエロですよー。
「触って、いい?」 床に押し倒しておいて聞くことでもないだろうに、長門はわざわざそう尋ねた。 みくるは赤い顔をしてしばらく唸っていたが、 「…さ、触って、ください……」 と恥じ入って消えてしまいそうな風情で答えた。 了承を得たからいいと判断したのか、長門は手早くみくるの服を脱がせ、その胸に直に触れた。 「ふあっ…!」 みくるの口から艶っぽい声が漏れる。 長門はふにふにと柔らかな感触を手で味わいながらも、みくるの顔から目を離さない。 どこが一番いいのか探るように、じっと見つめている。 「やっ……、見ないで…」 懇願するように声を上げたみくるに、長門は淡々と言った。 「だめ。あなたは私に見られている方が快感を増長させる傾向がある」 「いちいち、っぁ、そんなこと、い、言わないでくださいぃ…」 「……マゾヒスティック」 「ふひっ、ひゃっ…あ、ああっ…」 「胸だけでこんなにも感じるあなたは…淫乱?」 「い、やっ…酷い…っ」 泣きそうに歪んだみくるの顔に、長門はやんわりと口付けて、 「安心して。そんなあなたも好き」 「あんまり、う、嬉しく、…っない、ですぅ…」 長門は立ち上がってきたみくるの乳首を指先で転がしながら、みくるに問う。 「舐めて、いい?」 「な、なんでわざわざ、聞くんですかぁっ…!」 「恥ずかしいことを言わされる時のあなたの顔が好きだから」 「……っ、ずるい、ですっ、有希さん、こういう時ばっかり、好きって、言って……」 「私はいつあなたに好きと告げてもいいと思っている。でも、人前ではやめるよう言ったのはあなた。私はあなたに許される範囲で言っているだけ」 「そ、んな…」 「それより、ペナルティ」 言いながら、長門はみくるから体を離した。 「…え……?」 戸惑うみくるに長門はいたって普通に、 「二人の時は、有希と呼ぶと約束した。あなたは今それを忘れた。だから、ペナルティ」 「な、何するんですかぁっ」 「今から私は、あなたが言ったことしかしない。これ以上続けて欲しければ、あなたから私に指示して」 「えぇっ!?」 驚いて声を上げたみくるをじっと見つめて、長門は言った。 「それとも、やめていい?」 「ぅー……」 今にも泣き出しそうな顔で唸るみくるに、長門は触れもしない。 ただ、その目だけは犯すようにみくるの体を見つめている。 みくるは今、上半身はほとんど裸なのに腕にはブラウスとブラが絡み、スカートや靴下はきっちりと身につけているという、ある意味全裸よりも恥ずかしい姿だ。 着崩れたそれを直そうともせず葛藤していたみくるだったが、たっぷり三十秒はその姿のまま悩み通した挙句、顔を真っ赤にして、蚊の鳴くような声で訴えた。 「さ、ささ、さ……触って、ください…っ」 「どこを?」 「あ、あたしの……胸、触ってくださいっ」 目の端に涙を浮かべるみくるに、長門は満足そうに頷き、 「こう?」 とみくるの胸に触れたが、それは触れただけで止まってしまった。 「有希…っ」 「上目遣いに睨んでもだめ。可愛いだけ」 「そんなこと言ったって……」 「ちゃんと言って。私はあなたの言う通りにする」 「……もう、いいですっ」 そう言ったみくるが、長門を押し退け、逆に長門を押し倒した。 「…みくる?」 「長門さんがそういうつもりなら、あたしがやります!」 「……そう」 長門は椅子に座って本を読んでいる時と同じような調子で答えた。 驚きも焦りもない。 「…抵抗、しないんですか?」 「あなたがそのような行動に出ることも想定済み。私は構わない」 「本当に、いいんですか?」 「いい」 「じゃあ、あたしの好きにしちゃいますからねっ」 意地になったように言ったみくるは、長門の服に手を掛けた。 震える指でゆっくりと脱がして行くみくるの手を、長門はじっと見つめているだけだ。 指一つ動かしもせずに。 露わになった胸にみくるの手が触れると、ぴくりと長門の体が震えた。 その反応に、みくるの表情が緩む。 「気持ちいいんですね」 「…いい」 「考えてみたら、別にあたしからしてもいいんですよね」 「いい。けど…」 「けど?」 「……面白くない」 「有希がそれでいいって言ったんですよ?」 黙り込んだ長門の胸に、みくるは笑って口付けた。 「っ…」 「声を出してもいいのに」 「んっ……は…」 「有希、かわいい」 心なしか紅潮した長門の頬にキスして、みくるは長門のスカートを脱がせる。 飾り気も何もない白いショーツを脱がせると、長門が声を上げた。 「みくるも…脱いで……」 「あたしもですか?」 「脱いで…」 「……じゃあ、有希が脱がせて」 そう言ってみくるが長門の上から退くと、長門はゆっくりと体を起こし、まだ残っていた服を脱がせる。 服を脱がせるだけのはずの手が、立ったままのみくるの体を撫でる。 円やかな双丘を揉みしだく手に、みくるが抗議の声を上げた。 「ずるいっ…」 「我慢出来なくなった。……それに、これは長みくでなければならない」 「何、言って…っ、あんっ…! は、そんなところ、触らないでぇ…」 「あなたも望んでいるはず。それとも…やめて欲しい?」 「ややや、やめないでくださいっ!」 慌てて言ったみくるに長門はぱちぱちと目を瞬かせた後、 「分かっている」 と答えた。 その唇が、みくるが触らないでと言った下生えの奥に口付ける。 「ひっ…あ、んぅっ……!」 「甘い…」 「そんな…っ、ふぁあっ…」 ぴちゃり、と濡れた音が静かな部屋に響き、みくるの耳を刺す。 余計に溢れるそれを音を立てて長門がすすると、みくるが悲鳴染みた声を上げた。 「やぁあっ…!」 がくりとみくるが膝を折ると、その体を抱きとめて、長門が言った。 「可愛い…」 「あ、あたしばっかりじゃ、嫌ですっ」 泣きじゃくりそうになりながらみくるが言うと、長門はみくるの体をもう一度床に押し倒した。 その上に自分も体を横たえて、体を重ねながら、 「あなたの胸、大きくて好き…」 「有希の胸の方が、あたしは好きです。大きくても邪魔だし、変な目で見られたりするし」 「……今度、そんな目で見られたら私に言って」 「え?」 「制裁措置を加える」 「だだだ、だめですって!」 「どうして」 「そんなことしてたら有希が危ないし、危なくなくないかも知れないけど、とにかくっ、だめですっ!」 「……分かった」 不満そうに呟いた長門にほっとしながら、みくるは小さく笑って、 「有希があたしのことを思ってくれるのは嬉しいんですよ? でも、それで有希が手を汚すようなことは…嬉しくないから……」 「分かってる。それより今は…」 と長門はみくるに口付け、それとともに湿り気を帯びた部分を押し付ける。 「ぁ…」 「私も、あなたを感じたい」 「有希っ…」 名前を呼んで、抱きしめると挟まれた胸が柔軟に形を変えた。 押し寄せてくる快感の波は緩やかに二人を包みこむ。 脚を、指を、舌を絡め、どれがどちらのそれか分からなくなりながら、繰り返し名前を呼び、思いを囁く。 そうしてくたりと身を横たえ、今にも閉じてしまいそうになる目を必死に開けて、みくるは長門に微笑んだ。 「好きです…」 「私も、好き…」 すぅっと目を閉じてしまったみくるのまぶたに口付けて、長門は空っぽだった自分を満たすように湧き上がったものがなんなのか、思考を巡らせるのだった。 |