エロです
結構なエロだと思います
これで温いって言われたら困るくらいなので
苦手な人はバックプリーズ












































失うことを



失うことを知ったからじゃなく、衝撃を受けて我を失ったからじゃなく、ただひたすらに自分の中からその感情が湧き上がって来たんだと思う。
苦しいのではなく狂おしく、いやらしいというよりいっそ崇高な願い。
切実で、止めようもなくて、それ以前に、止める必要性も感じなかった。
それほど、俺は、古泉が好きなんだと、分かった。
見苦しさだとか醜さだとか愚かしさだとか、そんなものはどうでもいい。
ただひたすらに伝えたいものがあったのだと思う。


いきなり目の前に現れた俺にも、古泉は驚かなかった。
「大丈夫でしたか? 携帯を置いていかれたので、心配してたんですよ」
その声を聞いて、それだけで、涙が溢れてきた。
「…ひっ……ぅ…」
「ど、どうしたんです…!?」
俺はそれでも、もらったものを放り出したりしないように、傍らのテーブルの上にちゃんと置いて。
それからやっと、慌てる古泉に抱きつく、と言うより縋りつく。
涙はいくらでも溢れてきた。
俺は、泣きじゃくりながら、子供みたいにねだった。
「抱、き…しめ、ろ……」
「…いくらだって」
優しい抱き締め方に、首を振る。
「も、っと、強く……っく……」
「ええ」
ぎゅうっと力を込めて、痛いほどに抱き締められても、涙は止められない。
悲しかった。
苦しかった。
悔しかった。
俺は結局何も出来なかったようなもんだ。
ほんの少し、あいつらの苦しみをやわらげられたかもしれないが、その程度でしかない。
俺に力があれば、もっと何か出来たかも知れないのに。
そう悔やむ心とは裏腹に、込み上げてくるのは熱い感情だった。
俺の古泉は無事でいてくれた。
俺のことを抱き締めてもくれる。
会おうと思えばいつだって会えるし、俺のことを待っていてもくれる。
その幸せに震えながら、俺は古泉に縋りつく。
「…っ、キス、しろ……」
「いいですけど、あの、本当に何が……」
「いいから…!」
古泉は躊躇うように、それでも俺の唇に触れるだけのキスをくれる。
ついでのように、俺の涙を舐め取ってくれるその暖かさに、余計に涙が出た。
「…っひ、ぅ……えぇ……」
子供みたいに泣きじゃくる。
古泉にしがみついて、声を上げて泣く。
古泉は訳も分かってないだろうに、俺のことを優しく抱き締め、背中を撫でてくれる。
「…好き、だ……」
「はい、僕も好きです」
「……好き、だ、から……ひ、っく……ぅ…」
泣きじゃくって、泣きじゃくって、うまく話せもしない俺を、古泉はひたすらになだめようとしてくれた。
それが嬉しくて、幸せで、それでも涙は止まらず、やっと泣きやめた時には古泉の服をぐっしょりと濡らしていた。
「悪い……。気持ち悪いだろ、着替えて来いよ」
「別に大丈夫ですよ」
そう言いながら、古泉はそっと俺の頭を撫でてくれる。
「あなたこそ、顔を洗った方がいいかもしれませんね。目元も真っ赤になってしまってますし……」
「…そうかもな」
そう答えることは出来ても、動けない。
動きたくない。
古泉から離れたくなかった。
だから、
「…一緒に、来て、くれるか……?」
古泉はぽかんとした顔で俺を見た。
そりゃそうだろう。
明らかに俺の様子はおかしいし、そんなこと、普段ならどうあったって言えるもんか。
だが、今の俺はそんなことを言えるくらいには、古泉から離れたくなかった。
またぞろ涙が込み上げて来そうになるのを感じながら、俺は口を開く。
「…酷い、世界、…だったんだ……。お前がいて、俺がいるのに、……っ、その俺は、特別な力だって持ってたはずなのに、それでも……っ」
ひく、と横隔膜が震えて、声が途切れた。
俺は古泉の肩に縋りついて、顔を伏せて、小さく囁くようにしか言葉も出せなくなる。
「……誰より大切な相手を、…っひ、…お前……を、救えなかったんだ…」
「…それで……」
納得が言ったように呟いた古泉に、俺は首を振る。
「そりゃ、確かに、あいつを救えなかったのは悲しいし、あの世界の俺がこれからどんな風に暮らして行くのかと思うと、苦しくもなるさ。だがな、俺は、…っ、俺が、今、泣いてるのはだな……、っ、ぅ、……お前、が、」
ぎゅっときつく、それこそ全力で抱き締める。
「…お前が、生きててくれ、て、……嬉しいんだ」
「……僕はここにいますよ。ちゃんと、あなたの側に」
「頼むから、…俺より、先に、死なないでくれ……!」
もうあんな思いはしたくない。
お前が死ぬのを見るくらいなら、自分で首をくくるかどうかした方がいい。
「死な、ない、で……」
「死にませんから、…安心してください」
「…絶対、だぞ……?」
「ええ、なんとしてでも、あなたより長生きしますから」
優しく微笑んだ古泉にキスをする。
触れるだけじゃ足りなくなって、
「…っ、も、っと」
とねだる。
離れたくない。
どろどろにとけてしまいたかった。
「愛してます」
「ん、俺も、好きだから……」
くちゅりと舌が絡めば、その熱さに安堵する。
息苦しささえ、確かに古泉が存在することの証拠のように思えた。
「古泉……、な、ぁ…」
「…なんです?」
不安げに揺らぐ瞳を見つめ返して、俺はそろりとその首に腕を絡める。
「したい、から……」
かすかに息を飲んだ古泉に、もう一度口づける。
「…だめ、か……? お前がちゃんと生きてるんだって、感じたい…。お前が、好き、だから……」
悲しいからでなく、慰めてほしいからでなく、そう思う。
古泉が愛しくて堪らないから、その行為を欲する。
希う。
「……いいんですか?」
「ん…、お前が、嫌じゃなけりゃ、だけどな」
「嫌なわけないでしょう」
優しく笑った古泉の手が、俺の体を優しく撫でる。
それだけのことで、体が震えるほどに愛しいなら、躊躇う必要はないだろう。
「好きだ……」
「僕も、あなたが好きです。…愛してます」
囁いて、口付けて、また囁く。
同じようなことを繰り返しながら、少しずつ変わっていく。
たとえばそれは俺の息の荒さであったり、古泉の手が触れる場所であったり、俺の衣服の乱れであったり、古泉の体温の高さだったりする。
螺旋でも描くように、同じことの繰り返しから少しずつ変化していく。
古泉の手が俺の服を少しずつ脱がせ、素肌に触れてくる。
「ぁ…っ、ん、古泉……」
くすぐったさに声を上げると、古泉の唇が優しく弧を描くのが見えた。
「可愛いです」
「…っ、あほ、か……」
「本当ですよ?」
そう言って、その唇が今度は胸の尖りに触れる。
他より皮膚の薄いそこは、どうやら酷く敏感に出来ているらしくて、古泉の指先で弄ばれるだけでも身を捩って逃れたくなるほどだったってのに、唇で触れられると更に酷い。
「やっ、く、すぐった……」
「くすぐったいだけ、ですか?」
「他に何があるんだよ…!」
「聞いてないんですか? …他のあなたから」
低い囁きと共にそれを口に含まれ、甘噛みされて体が跳ねた。
チリリと痛むほどに感じるのに、それが、どうしてかむず痒い。
「き、いて、な…っ! ひゃ、っ、こ、んな…」
ぞくぞくとした訳の分からない感覚に体が震える。
分からないのが怖くて、古泉に縋りついたら、
「大丈夫ですよ」
と優しく笑われた。
「怖くありませんから。…ね」
「……こい、ず、み……」
「それとも、僕が怖いですか?」
そう問われて、俺は考える間もなく頭を振る。
古泉が怖いなんてそんなことはあり得ない。
「好き、だ、…から……」
信じられる。
怖いことはない、と。
だから俺は笑って体の力を抜く。
「全部、教えてくれる、ん、だろ…? 俺の知らないことも、全部……」
「ええ」
優しい笑みが俺に安堵をくれる。
「愛してる」
「愛してます」
馬鹿みたいに言葉を繰り返して、俺は手を伸ばす。
「そこ、触るってことは、そこが気持ちよくなるって、ことなのか…?」
「そう聞きますね。それに、」
と古泉はどこか悪戯っぽくその尖りを指先で押し潰し、
「触りたくなる色形じゃないですか」
「ひゃっ…ん、く、すぐったいって……」
「気持ちよくはありません?」
「…わ、からん……っ、けど、ひぅっ、ぅ、…や、ば……」
「僕は、あなたに感じて欲しい」
そう囁いた声に、ぞくんと体が震える。
「やっ…こ、いずみ…っ、お前、それ、たち悪い…!」
「何がです?」
「っ、その、声……! ひゃう…っ!」
きつくつままれ、引っ張られたそれは痛いくらいなのに、どうしてかもっとそうしてほしくなる。
「気持ちよくなってきた…?」
「や、わ、かんな……っ、け、ど……っ」
「けど?」
じっと俺を見つめる瞳が軽蔑に染まる瞬間を想像するのも苦しいほどだが、俺は古泉を信じると決めたんだから、とその服の袖をきつくつまんで、
「…っも、っと、…して、ほしいから…!」
と羞恥のあまり死にそうになりながら訴えると、古泉は喜色満面で俺の胸に唇を近づけてきやがった。
「本当に?」
「ん、と、だから……っぁ!」
小さな突起は古泉の唇の中に消え、その中で好き勝手に弄ばれる。
どうされるのかも分からないってのに、俺はそれが酷く……、そう、気持ちよくなっていた。
「ひっ、う、ふぁ…っあ…、んんんー…っ!」
ひっきりなしに上がる声に、古泉はむしろ嬉しそうな顔をする。
「可愛い」
「っく、ふあぁっ、ちょ、や、待てって……!」
俺の体はまるで古泉の指に反応するようになっちまったかのようだった。
普通に触られたってどうってこともないはずの腹筋のラインやへその窪み、脇腹なんかをその白い指先がそっとなぞるだけで、覚えたての快感に体が震える。
「ふあっ、あっ、あ…や……!」
「嫌がらないで…。大丈夫だから」
その声ひとつにも体が震える。
ぞくぞくする。
気持ちよくて、よくて、古泉以外の何もなくなる。
「こいず、み…っ、古泉…っ! ひ、やぁん…っ…」
びくと身を竦ませたのは、古泉の指がいつの間にか丸裸にされていた俺の腰を撫でつけ、脚の付け根に至ったからだ。
なんでもないような場所ですらこんなに感じてしまうなら、自分でしたって気持ちのいい場所に触られでもしたらどうなるのか、考えるのも恐ろしい。
だが古泉は俺が抵抗するより早く俺に口付けたかと思うと、それでもって俺の思考能力を骨抜きにしたばかりか、
「怖がらなくていいから、僕に任せて…ね?」
と囁いた。
考えることもろくに出来なくなった頭は勝手に首肯し、古泉は気ままに俺の脚を開かせると、はしたなくも半ば勃ち上がったものにそっと触れてきた。
「ひゃう…っ!?」
「ごめん、強かった…?」
心配そうに俺の顔を仰ぎ見る古泉に、俺はふるふると頭を振る。
「そう、じゃ、なくて……だな…」
「…気持ちよかった?」
こくん、と控え目に頷いた俺に、古泉はまたえらく嬉しそうに笑うのだ。
「じゃあ、これは……?」
言いながら古泉は、大胆にもそれに口付けてきた。
「ちょっ、そ、んな…!」
「嫌ですか?」
「…っ、い、やじゃ、ない、が、それにしたって……」
かああっと余計に赤くなる俺の内腿に、古泉はちゅっと薄ら赤い印をつけて、
「嫌じゃないなら、いいでしょう? …僕が、したいんですよ」
という言葉で俺を黙らせたかと思うと、その唇を更にキワドイ部分へと滑らせ、今度こそ、それに舌を這わせた。
「ひゃぅ、う…っ、んん…っ!」
勝手に腰がゆれ、体が捩れるほどに気持ちよくて、そのくせもどかしくて、涙が滲む。
古泉は、
「…っは……」
などと耳に優しくない声を漏らして唇を離したかと思うと、
「痛かったです…?」
なんて心配そうに聞くから、俺は真っ赤な顔のまま頭を振るしかない。
「じゃあ、気持ちいい?」
「ん…っ、いい、から……古泉…もっと、して、くれるか…?」
どろりと融けた脳でそう言葉を繋げると、古泉は柔らかく微笑した。
「勿論、喜んで」
その唇が、俺のそう大振りでもないものの、それなりにグロテスクなものを包み込む光景だけでも興奮が煽られる。
ましてや、その口淫と言ったら腰が跳ね上がるほどに巧みで、
「ひぅ、っな、んで、そんな、巧いんだよ…!」
と非難めいたことを口にしたら、古泉は困ったように笑って、
「どうしてでしょうね? 言っておきますけど、こんなことを他の人にした覚えはありませんよ。…ただ、あなたにこうしたいなんて妄想くらいなら、いくらだってしましたけど」
「んな…っ!?」
ぼっと赤くなる俺に、古泉はにやりと意地悪く笑い、
「軽蔑します?」
「す…るわけ、ないだろ…!」
むしろ嬉しいに決まってるだろ、ばか!
「ふふ、嬉しいのはこっちですよ」
ちゅ、とまたひとつキスを落として、古泉は俺の膝を立てさせ、脚を大きく割り開く。
恥かしい格好だが、古泉がさせたんだから、と居直る。
「恥かしいでしょうけど…我慢してくださいね。…なんの準備もしてなかったんです」
そう言って、古泉がそこに顔を埋めようとしたので、俺は慌てて、
「ちょっ、と、待て…!」
「はい?」
訝しげに顔を上げた古泉を見ると、心臓がバクバクする。
逃げ出したいくらい恥かしいのは、脚の間に古泉の顔があるなんて構図のせいじゃない。
これから自分が言い出すことの恥かしさに、だ。
「…ある、から」
「……あるって何がです?」
「…っ、ローションも、ゴムも、あるから…!」
ヤケッパチのように叫んだら、今度こそ古泉はぽかんとした顔で俺を見た。
「……え」
「お、俺の、カバンに、入ってるからぁ…!」
恥かしくて恥かしくて、顔から火を噴くかと思いながらそう言ったら、古泉はまだ呆然とした様子で、
「…どうして」
なんて聞いてくる。
「そ、れは…っ……」
「また余計な入れ知恵をもらいに行ったんですか?」
咎めるような口調に体が竦む。
「それはそうだけど、でも、その…っ、」
俺はぎゅっとソファのカバーを掴んで、古泉を見つめ返した。
「…そうした、のは、かっ……買いに、いったのは……、俺が、したかったから、だ、から…!」
小さくなろう小さくなろうとする声を、なんとか無理矢理絞り出した俺を、古泉はじっと見つめてくる。
それだけでも心臓に酷い負担になるというのに、古泉は更に、
「…本当にそんなことを思って?」
と念を押してくる。
「そう、だ…っ……!」
「…それでだったんですね」
納得した、とばかりに古泉は呟いて微笑んだ。
「昨夜、あんなに積極的だったのは」
その言葉に本当に心臓が止まるかと思った。
「…っ、だ、って、お前が何もしようとしないで、いつも通りでいるから…!」
「我慢してたんですって」
くすくす笑って、古泉はソファから下りると、俺のカバンを取り上げ、
「開けますよ」
「ん…一番下に押し込んであるから」
「はい」
カバンを開き、嬉しそうに引っ張り出されたのが、ドラッグストアの色の濃い袋ってのもどうなんだろうな。
せめてその顔をなんとかしてくれ。
「嬉しいものですから」
袋の中から取り出したボトルと箱が恥かしくて堪らん。
「あなたが用意してくださるなんて思いませんでしたよ」
「お、れだって、…人並みに性欲くらいあるんだよ…っ」
「ふふ、嬉しいです」
「同じことばっか言うな」
軽口を叩くことが出来たのは、古泉が薄いセロファンを剥がしてゴミ箱に捨て、必要なものだけを持ってソファに戻ってくるまでの間だけだった。
「…本当に、いいんですね?」
最終確認をする古泉に、俺は出来るだけ偽悪的に笑って、
「今更怖気づいたって遅いだろ」
と言ってやる。
「…愛してますよ」
その唇が俺にキスをして、それと共に俺の脚は再び大きく割り開かれる。
少し浮かせた腰の下に、放り出されつつあったクッションを入れると、何もかもさらけだすような格好になった。
「恥かしいでしょうけど、我慢してくださいね…」
「…ん……お前がしたなら、平気、だ…」
「またそんな可愛いことを言って」
半ば浮き上がった腰のラインに口付けて、古泉は微笑む。
その手にあるのがローションのボトルだなんて信じられないくらいの爽やかな笑顔だ。
「可愛いかどうかは知らんが、事実だから、な…」
「……愛してます」
「んん……」
くすぐったい声音で囁いて、古泉はその手の平にローションを広げた。
その光景さえむず痒い。
「ひとりで買いに行ったんですか?」
「…っ、わざわざ、遠くのドラッグストアまでな…」
恨みがましくそう言っても、古泉は嬉しそうに笑うばかりだ。
「誘ってくださったら付き合ったのに」
「冗談でもやめてくれ」
「本気ですよ?」
「だったら尚更だ」
嘆くように笑う、という器用な真似をしながら、俺は古泉を見つめる。
古泉は俺に向かって見せつけるように手の平の上でローションを粘つかせ、温めていたが、おもむろにその手の平を俺の体に触れさせてきた。
と言っても、直接目的の場所に触れてくるのではなく、会陰に粘ついた指を滑らせてきたのだが、それが思っていた以上に気持ちよくて、体が震えた。
先ほど昂ぶりに与えられたのと似てはいるがどこか違う、少しだけもどかしいそれが、酷く興奮を煽った。
「んぁ…っ、う…」
思わず声を上げ、体を震わせる。
「気持ちいい…?」
「ん……っ、たぶ、ん…?」
「…じゃあ、ここは?」
聞きながら、古泉はその粘りを伸ばすように、窄まりに触れてきた。
「ぁ……」
ぞくんと体が震えたのはおそらく、そんなところに古泉が触れているということによる、羞恥とか興奮のせいだ。
その刺激そのものによるわけじゃない。
古泉は躊躇うように、あるいは迷うようにそこをまさぐっていたが、
「…力を抜いて、」
と熱っぽく囁きながら、指先を押し入れてきた。
ぬるりとしたそれは案外容易に入って来て、ささやかな違和感を催させる。
「痛くない、ですか」
「平気…だ…」
痛くもない代わりによくもないがな。
しかし古泉はほっとしたように笑った。
「よかった」
と。
直されても面白くないので言わないでおいてやるが、なあ、お前、さっきから敬語が崩れてんの気づいてるか?
表情だって驚くほどにころころ変わってる。
とてもいつもの「古泉一樹」には見えやしない。
だが俺は、古泉がそんなにも俺なんぞの固くて平らで面白みのない体やら、上擦って聞き取りづらいような声やら、愛撫に反応してぴくりと震えるグロテスクなものやらに夢中になってくれるのが、酷く嬉しいのだ。
そうして古泉が、俺のことを熱くしてくれることが、触れてくれることが、そこにいてくれることが、堪らなく嬉しい。
だから、どんな違和感や異物感や苦痛にも堪えるつもりでいたのだが、古泉が非常に慎重かつ執念深い奴だったせいでその計画は脆くも崩れた。
俺の献身的な愛はどうなる、と抗議してやりたくなるくらいにな。
古泉は狭苦しいそこを呆れるほど丁寧に愛撫した。
肉の襞のひとつひとつを確かめ、広げるように。
脈打ち、震える中を余すところなく撫で上げ、そこの感触を確かめる。
そうして、
「ここ…かな」
と独り言を漏らしながら、とある一点への集中攻撃を開始した。
「そこが、なんだって…?」
と最初の内こそ疑問を口にする余地もあったのだが、そこはやがて異物感と違うむずがゆさを訴えはじめる。
「な、ん……?」
「黙って、意識を集中させて……」
と囁く声に震える。
繰り返し何度も押し上げられる場所は熱を持ち、何か迫り上げてくるものには恐怖感を覚える。
「やっ…ちょ、な、んか、変だ……! 古泉っ、それ……っ」
「大丈夫だから…」
と古泉は宥めるように言って、
「気持ち良く、なって?」
「ひぁっ、あ、…んな……!」
ぐちゅぐちゅという音が耳を犯す。
それはローションの音のはずだってのに、身の内からわきあがるようで酷く羞恥心を煽る。
「や、らぁ…! も、無理、だ、って……」
「じゃあ、止めます?」
そう言った古泉は、こちらがその言葉の意味を理解するよりも早く、中から指を引き抜きやがった。
「やめ、んなよ、ばかぁ…!」
ひくと体が震えた。
目の端から溢れ出たのは汗の一種に過ぎない。
「な、泣かないで……!」
うろたえた声を出した古泉が、指でそれをすくおうと近づいてきたのを、四肢の全てで強く抱きしめる。
「もう、前戯なんかどうでもいいから、…早くっ、お前を寄越せよ…!」
横隔膜の震えに翻弄されながらもなんとかそう訴えた俺に、古泉の喉が鳴る。
「本当に?」
嘘を吐いてどうする。
「はや、くっ…」
言いながら、古泉への拘束を外し、自由になった手で今度は自分の脚を持ち、限界まで割り開く。
古泉が散々に弄んだ場所を指で開き、その熱さとぬるついた感触にさえぞくぞくと震えながら、古泉を見つめる。
「ここ…にっ……お前の…入れろよ……!」
「…なんて誘惑の仕方ですか……」
呟いた声は俺の荒くなった吐息よりも熱かった。
「っ、他にどうすりゃいいのかなんて、知らんから、しょうがないだろ…」
唸った俺には優しく笑って、そのくせ、目だけはギラギラさせて、古泉は俺のそれよりもよっぽどグロテスクなものを取り出した。
思わずそれを凝視してしまいながら、
「お前…それ、ずっと苦しくなかったのか…?」
「苦しかったといえばそうですけど、そうでもないと我慢出来なくなって乱暴にしてしまいそうでしたから」
と笑って、古泉はゴムを被せたそれを俺に近づける。
開いたままにしていた指先にその熱が触れ、ぴくんと体が震えた。
「熱……」
「あなただって、」
笑いながら、古泉は戯れるようにそれを押し当ててくる。
ぬちゃぬちゃといやらしい音がして、それを恥ずかしく思う以上に、それに興奮した。
「あっ…、も、早く……!」
急かしながら腰を揺らせば、
「ん…、今、入れるから、力を抜いて……」
と優しく囁かれる。
その通りにして待ち侘びる俺の中を、それは悠々と拓いていった。
「ひ、ぁ、う…んんぁあ……!」
痛みを覚悟していたってのに、それは恐ろしく容易に飲み込めた。
そう、すっぽりと収まることが決まりでもしていたかのように。
「…大丈夫…?」
と心配そうに聞いてくる古泉に、頷きながら抱きつく。
「うれ、し…っ……」
体の中に満ちる熱も、伝わってくる脈も、なにもかもが。
「…僕も、嬉しい」
その唇が触れてくる。
「動いて、いい?」
「んっ…、いい、」
というか動いてくれと言いたくなるくらい、それは気持ちがよかった。
動かれたら、突き上げられ、揺さぶられたら、どんなにか気持ちいいだろうかと舌舐めずりしそうなくらいには、俺の体はいやらしく出来ていたらしい。
元々そうであったとは思いたくない。
古泉があの熱心さでもって、そうしちまったのだ。
古泉が腰を使うたび、俺は体を跳ねさせる。
口からは、
「はっ…、あ、あんっ…!」
などといった恥ずかしい声が溢れ出る。
「もっと、聞かせて」
と自分の方こそよっぽどやらしくて欲情しそうな声で、すっかり敬語を忘れちまったらしい口調で囁きながら、古泉が何度もあの弱い一点を突き上げるものだから、俺は早々に達してしまった。
ぐったりする俺を案じてか、古泉は優しく、
「大丈夫ですか…?」
などと聞いてきたが、そんな場合じゃないだろ。
俺の中に埋まったままのものは、今にも弾けそうに熱くなっているし、その額にも汗がにじんでいる。
「だい、じょうぶ、だから、…っ、続き、しろよ……!」
「…愛してる」
甘く熱く囁きながら古泉は律動を再開した。
「ひぅっ…、ふ、あぁ……!」
声を上げるしか出来ない俺のものもまた高ぶってくる。
そうして、古泉が俺の中を熱で焼き尽くして、俺も自分の腹と古泉の腹を汚して、そのまま昏倒しちまったのだった。