エロです
珍しくキョンが発情してます←
それでよければどうぞです
















































往生際の悪いカレ



何かがおかしい、何かが妙だと思った時、大抵は何かしらの大迷惑な能力が働いており、それに伴って宇宙的未来的超能力的な抑制が働いたり働かなかったりするものなのだが、今回のこのことに限っては、そのどれも関係がないのだともっともらしく超能力者は言ったが、それを認めてしまうと俺のアイデンティティーの中でも重要な位置を占める何物かが崩壊する恐れがあるため、何が何でも認めたくはない。
とにかく、その日の俺はおかしかった。
ただ単純に件の超能力者の部屋でいつものように過ごしていただけであるというのに、いつもであればどんな与太話も聞き流してしまえるほど集中するはずの掃除に身が入らず、気を抜くと古泉の姿を目で追い、我に返っては慌てて手を動かすというような有様だったし、間違いなくうまいと感じているはずの料理をうまく口に運べなかったりして、古泉を不安にさせちまったりもした。
本当に、何かがおかしいとしか思えなかった。
食欲がないらしいのに何かに飢えているような感覚はあり、目はひたすらに古泉を追う。
ああ、変だ。
全くもっておかしい。
飯を作ってるところならともかく、せっせと飯を食う古泉なんて見てたって楽しくないってのにどうしてこんなに見つめちまうんだ。
そんなことに気付かれてみろ、このまま飯も放り出して抱き上げられた挙句、ベッドに持ち込まれるに決まってる。
そんなことを考える俺の心情は実に苦々しく、顔だって苦虫を噛み潰したような感じだったはずなのに、古泉はきょとんとした顔をして、
「どーしたんだよ。変な顔して?」
「変な顔だと?」
「ん、変。熱でもあんの?」
と言って、箸を置き、俺の額に向かって手を伸ばしてきた。
「ちょっ…」
仰け反って逃れる間もなく、その手の平が俺の額に触れる。
ひんやりしているのは、さっきまで水仕事をしていた名残だろうか。
気持ちいい、と思った時には自分からすり寄せるように頭を動かしていた。
「…キョン?」
驚いた声を出した古泉に、俺も慌てる。
「…ち、ちが…っ……」
何が違うんだ、何が、とセルフツッコミする余裕もない。
なんだ今のは。
俺はどうしちまったってんだ?
本当に今日はおかしい。
「顔も赤いし…やっぱ熱っぽいんじゃねーの? 触った感じだとそんなでもないけどさ」
心配そうに言いながら、古泉は俺の頭を軽く撫で、
「ちょっと休む?」
と聞いて来た。
「休む…って……」
「布団貸すよ」
「お前の布団とか……嫌な予感しかせんのだが……」
我ながら失礼なことを言った俺に、古泉は一応唇など尖らせて、
「ひっでーの!」
と文句を言いはしたものの、それでも優しく微笑んで、
「心配しなくったって、しんどそうなあんたに変なことしねえっての。余計なこと考えずに、大人しく寝てろって」
「…別に、調子が悪いとかいうことはないんだが……」
「そ? それにしちゃ、ちょっと変に見えるけど?」
「……どう変だって?」
「ぼんやりしてるだろ。何か気になることでもあんの?」
「いや、特にはないはずなんだが……」
「ふーん…」
古泉は確かめるようにまじまじと俺を見つめていたが、ややあって小さく笑うと、
「じゃあ、そういう気分の日ってことかもな。そういう日だってあるだろ?」
「…かもな」
ああ、そういうことなのかもな。
ただ何かよく分からんがぼんやりして、どこか熱っぽくて、何かが欲しいのにそれが何かよく分からんと言うような……。
何が欲しいんだろうか、と考えながら、またぼんやりと古泉を見つめる。
古泉の指がきれいに箸を持って、ふきの煮物をつまみ上げ、薄い唇の奥、真っ白な歯で挟みこむ。
咀嚼する口の動きや、喉の動きに、どうしてだか惹かれる。
あの指に、唇に、歯に、喉に、触れたい。
触れられたい。
そう思ったことを自覚して、思考は停止した。
「……キョン? どうかした? なんか今物凄い血の気が失せた顔になったけど……」
心配してくれる古泉の声も耳になんぞ入らなかった。
今、俺は何を考えた?
何を欲しがった?
何を望んだ?
どうしてそんなことを、と思いながら、自覚すると余計に歯止めが利かなくなる。
心なしか慌てた古泉が、
「なあ、本当に大丈夫なのか?」
と言いながら俺の顔を覗き込んでくる。
近づいた唇に触れたい。
そのまま重なり合って、気持ちよくなりたい。
これじゃまるで、発情でもしてるみたいじゃねえか。
「ぅあ……」
ありえないと呟く代わりの呻き声にしてはいやに甘えた声が漏れた。
「キョン?」
「……な、んでも、ない……」
「なんでもないって……」
戸惑う古泉から少し距離を取り、ソファに移動する。
まだ残ってる食事については、
「後で食べるから」
と言っておく。
古泉は案じるような目を向けながらも、俺があえて距離を取ったのが分かったのだろう。
無理に近づいたりはせず、そのまま食事を続けてくれた。
そのことに安堵しながらも、そんな自分の身勝手さが古泉に申し訳なくて、じわりじわりと罪悪感が込み上げてくる。
ソファに座って膝を抱え、顔を手の平で覆う。
はぁ、と漏らしたため息がいやに悩ましく響いたのは被害妄想めいたもののせいだと思いたい。
唇に触れたのは自分の手の平で、いくらかかさついたそれは古泉の唇なんかとは比べ物にならない感触しかない。
足りない、ともどかしさにも似た飢餓感が湧き上がってくる。
これは時間が経ったら収まってくれるんだろうか。
それとも、飢えを満たすまで続くのだろうか。
ぞっとしない想像に寒気さえ感じたが、なんとかしてこの恐るべき欲求を押さえ込もうと躍起になっている間に、古泉は食事を終えたらしい。
「ごちそーさま」
いつもよりも覇気のない声で言って箸を置き、洗い物を始める。
早くなんとかしようと思うのに、焦れば焦るほどどうにもならなくなる。
困り果てた頃になって、古泉は作業を終えたらしい。
「……なあ、隣り行って、いい?」
いつになく控え目なことを聞かれ、俺はしばらく迷ったものの、のろのろと頷いた。
ゆっくりと隣りにやってきた古泉が、そろりと慎重に腰を下ろす。
すぐ近くにある体温に引き寄せられそうになる体をなんとか支え、平常を装う。
本当はこのまま抱きついて、伸し掛かって、それこそ乗っかってしまいたいくらいに欲しているなんて、本当にどうかしている。
誰が何をしたんだ。
これは誰のどんな陰謀だと問い詰めてやりたくなる。
しかし、こんなことになって一番喜ぶはずの男は、俺のおかしな挙動に戸惑い、混乱しきっている。
「…なあ、本当に大丈夫なのか?」
「……大丈夫じゃなかったら、どうだってんだよ…」
「風邪とかそういうんじゃねえの?」
だったらどんなに喜ばしいことか。
今ならたとえ新型インフルエンザだのSARSだのコレラだのチフスだの口蹄疫だのに感染していると言われてもむしろ喜べたに違いない。
ああそうとも、理由もなく発情してるなんてわけの分からん状況よりはそっちの方がよっぽどマシだ。
常日頃古泉に盛るなしつこいいい加減にしろと暴言の限りを尽くしている俺が、どの口で触って欲しいだのキスして欲しいだの抱いて欲しいだの言えるというんだ。
特に三番目な。
俺は死んでも言わんぞそんな恐ろしい台詞。
だから古泉、こういう時こそお前のその無駄なほどの勘のよさを発揮して察しろ。
そうでなければ本当にそれは無駄と言うほかなくなるんだぞ。
怨念染みたものを送る俺に、古泉は気付いているのかいないのか、じっと俺を見つめてくる。
その視線にさえ、すっかり開発されちまったとしか思えない背中がぞくぞくと震える。
「…古泉……」
小さく呟くように名前を呼んで、そっと手を伸ばし、古泉の手を握り締める。
ひんやりした手の平が気持ちいいのは、温度差のせいだけではないのだが、それでもこの冷たさに、うんざりするほど昂ぶった熱を冷ましてほしいと思った。
「大丈夫…?」
「ん……」
大丈夫だから、こういう時こそケダモノになっちまってくれとある意味酷いことを考える俺に、古泉はあくまで優しく、
「気分が悪いなら、何かさっぱりしたもんでも飲む?」
なんて言って来るが、そうじゃないんだ。
何を飲もうと何を食べようとこの飢餓感は満たされない。
俺は頭を振って古泉を押し留め、意を決して、その肩に頭をもたれさせた。
「キョン……?」
訝る古泉に何も返事はしない。
察してくれ、分かるだろ、頼むから。
かすかに喉の鳴る音が聞こえたかと思うと、ぎゅっと手を握り締められた。
「……もしかして、誘ってんの?」
問いかけながら見つめてくるその瞳は熱を帯びていて、俺よりよっぽど欲情してるみたいな色をしていた。
それにぞくぞくと体を震わせながら、目をそらす。
沈黙は肯定だ。
「めっずらしーね。明日は赤い雪でも降んのかな」
意地悪くというにはあまりにも軽くからかいの言葉を口にしながら古泉は俺の体を強引に引き寄せ、正面から抱き竦める。
痛いほどのそれが心地好くて、どうにかなりそうだ。
「ぁ……、古泉…」
「珍しいけど、悪くないね。……かわいい」
にやけながらそう言った唇が俺のそれに重ねられる。
柔らかくて滑らかな感触に、安堵にも似たものを感じながらそのまま体の力を抜いて委ねる。
はぁはぁと荒い呼吸を吐き出しながら、古泉の体にすがるように抱きつけば、嬉しそうに笑うのが見える。
ああくそ、くすぐったくなる顔をしやがって。
「いいんだよね?」
日頃が日頃だからか、そう念を押してくる古泉に、俺はぎゅっと抱きつきながら、
「ん…っ、早く……」
と、ねだるというにはあまりにも甘さがなく、切羽詰まった声を上げる。
ふふ、と小さく笑った古泉は、その唇を俺の喉に押し当ててくる。
「んぁ…、あ…っ…!」
「凄い、びくびくしてる」
「…っ、ふ……」
ゆっくりと俺の体を這う指は、服越しに俺の体のラインをなぞり、凹凸を確かめていく。
「ひゃ…っ、あん……んっ…」
「興奮してんのかな。…いつも以上に感じやすくなってねえ?」
「し、るか…っ! ふ、んん……っ…、ん、ぅ…」
「ああほら、声堪えなくっていいって。苦しいだろ。出しちゃいなよ」
「や…っ、ぅ……くぅ……!」
「……あー……これはこれで色っぽくて色々やばいんだけど」
「アホか…!」
罵る俺を困った顔で見つめて、
「ほら、無理しなくていいから…全部聞かせてよ。な?」
とかなんとか言いながら、その手はするりと俺の服の中に入り込み、めくり上げて行く。
「ん…っ、こい、ずみ……ぃ……」
「ん?」
「……も、どかしい、から…!」
「……」
古泉は驚いたように目を瞬かせていたが、にやりと笑い、
「…今日は本当に嬉しいね。あんたがそんな風に求めてくれるなんてさ」
「る、っさ……」
「ああ、うん、分かった分かった。変に焦らしたりしません。あんたがして欲しいようにするからそう睨むなよ」
茶化すように言って、古泉は俺のズボンを寛げ、ずり下げる。
「あ…っ……」
「うわ、ほんと、興奮してんだ…」
嬉しそうに言われても恥かしいんだからやめろばか!
「ごめん」
謝りながら、ちゅっと俺の胸に口付ける。
「ふあっ」
焦らすようにじわじわと突起へ近づいてきたそれが、きゅうっときつく吸い付くと、それだけで体が跳ねた。
「ひゃんっ、あっ、それ……!」
「気持ちいい?」
「んっ……」
反射的に頷いて、それから思わず赤くなる俺に、古泉は殊更優しく笑って、
「じゃあ、もっと、な?」
なんて言いながら、更に刺激してくる。
硬くなったものをやんわりと握り込み、音を立てて擦り上げられるとそれだけでも堪らなくて、
「ぃ、や…っ、も、出るから……っ…そこ、やめ……」
「ん? ここをやめて…こっち?」
ぬるついた指先が会陰を撫で、更に下へと触れてくると、それだけで体が震えるほど気持ちいい。
「そ、っち…!」
「ん、りょーかい」
あのニヤケ面、後で思う様殴り飛ばしてやる、と思いはしても今はどうしようもない。
「はや、っく…」
喘ぎ喘ぎそう求めるのが精一杯だ。
こんなにも欲していても、体の方はなかなかそうもいかないらしくて、きつく締まったそこをほぐしてもらわなければならんのがもどかしいくらいに、欲しくて仕方ないなんて、一体何事かと俺が聞きたい。
「いつもより柔らかくて熱くなってんな」
独り言らしきものを呟きながら、古泉は指を埋めてくる。
その異物感に違和感よりも期待が込み上げてくる。
もう俺はろくに何も考えられなくて、急かす言葉ばかりを喘ぎに混じらせるのが精一杯になっていた。
恥ずかしげもなく脚を開いて、古泉のギラついた視線にすら感じて、熱に浮かされたみたいになりながら、
「早く…っ……」
とねだる俺に、古泉はぐちぐちと音を立てて俺の弱いところを攻め立てる。
「ここ、好きだよな?」
「ひぁ…っ、んっ、好き…っ! だ、けど……っ、も…」
「苦しい?」
「んんっ…」
こくこくと頷く俺に、古泉は意地悪く笑って、
「もう、我慢出来ないって?」
「ん、だから……」
「…まだ痛むかもよ?」
「いいっ、から……!」
「…分かった」
頷いておいて、古泉が俺から離れようとしたので俺は慌てて、
「やっ…! な、んで……」
「え? …いや、だって…ゴム取りに……」
戸惑うように言う古泉に、俺は頭を振って、
「いい、要らない、から……!」
「要らないって……」
「生、で、いい…」
我慢出来ない、と小さく喘げば、古泉はごくりと喉を鳴らして、
「…ほんとに?」
「…ん、頼む……から…」
「……分かったよ」
そう言って優しく俺の頭を撫でた古泉が、自分のズボンを緩める。
「力、抜いててな?」
んなこと言うだけ無駄だ。
力を入れようにも入る気がせん。
さっきので使い果たした。
潤んだ目で古泉を見上げるのがやっとだ。
「…あーもう、ほんと、可愛い」
馬鹿みたいなことを言いながら、古泉ははしたなくひくつく場所に熱を押し当てる。
「あ…っ、ん……」
熱いのがおかしくなりそうなほど気持ちよくて、そのくせまだ足りない。
「古泉…っ……」
「ん、すぐだから……」
そう言って、古泉はぐちりと音を立ててそれを押し入れてきた。
「ひ……う、ぁあ……!」
痛くないわけではないのに、それ以上に気持ちよくて、体が緊張する。
「ちょっ…、締め過ぎ……!」
「んな、こと…言われて、も……」
「…んとにっ……」
文句でも言うように古泉は唸り、そのまま強引に一度腰を引いてから、無理矢理奥まで貫いた。
「ひあぁ……!」
悲鳴染みた嬌声を上げて、俺は白濁を吐き出し、自分の腹を汚す。
爪先が丸まるほど力を込めて、強すぎる快感をやり過ごす。
いつもならこれで満足して、ぐったりしちまう俺を案じてだろう。
「大丈夫?」
と心配そうに古泉は言ってくるが、俺は首を振って縋りつく。
「キョン? 大丈夫じゃない? ちょっと休もうか?」
「…い、い……」
「……はい?」
きょとんとした顔をする古泉を睨み上げ、
「まだ…、足りない、から……っ…動け……!」
「……ほんとに今日はなんなんだろーね、って、一番聞きたいのはあんたか」
全くもってその通りだとも。
なんで今日はこんななんだ、とのたうち回りたくなりながら、腰を揺らす。
「ふぁ…っ、あ……」
「ああほら、疲れてるんだろ。無理しなくていいからさ」
そう言って、古泉はずるりとそれを引き抜き、俺の弱いところを狙って擦り上げる。
「ひっ、ぃ、ぃあ…っ! あん…っ、ん、もっと……そこして…!」
「仰せのままに」
冗談めかして返しながら、古泉はぐりぐりとそこを押し上げ、時にフェイントでもかけるように大きく腰を使う。
「っ、あ、ふあぁ…っ、ん、んん…っ、気持ち、い……っ…」
「んっ……俺、も……。なぁ、中に出しても…」
「出して、いい…っ、あんっ、出し、ちまえ……」
罵るように吐き出しながら、きつく背中に爪を立ててやると、低く呻いた古泉が俺の中に吐き出した。
その熱ささえ快感になり、俺ももう一度同じものを吐き出す。
「はぁ……っ、……ぁ……」
「…気分は?」
「……まだ、変…」
「変?」
囁くような声で尋ねながら、俺の頬に口付けてくる古泉に、俺はこくりと頷き、
「……後で絶対後悔するだろうし、そうなったら自分の頭を壁にぶつけるか散弾銃でもぶっ放してすっきり片付けたくなるんだろうとも思うが、人間と言うのはどうにも欲望に弱いらしく、俺もまた例外ではないようだ」
「……あー…」
半分分かったような、しかし納得まではいってないような顔で古泉は苦笑する。
「…まあ、そうなったらなったで、俺がちゃんと止めてやるし、全部俺のせいにしちまっていいから」
「絶対、だぞ」
「ん、約束な」
「……じゃあ、」
と俺は古泉の耳に口を寄せ、
「…もっと、するぞ」
と囁いた。